上用饅頭とは
上用饅頭(じょうようまんじゅう)は、日本の伝統的な和菓子の中でも、その上品さと歴史的背景が際立っています。「上に用いる」という意味を持つこの饅頭は、かつて身分の高い人々に献上されるために作られた特別なお菓子であり、その贅沢な素材と作り方は、今もなお多くの人々に愛されています。この記事では、上用饅頭の基本的な情報から、葬式で用いられる理由や地方によるバリエーションについて詳しくご紹介します。上用饅頭の深い歴史とその意味を理解しながら、その魅力を再発見してみましょう。
上用饅頭とは
上用饅頭(じょうようまんじゅう)は、その名の通り「上に用いる」ための饅頭であり、身分の高い人々に献上するために作られた高級感のある和菓子です。この饅頭は、上新粉や米粉などの粉を用いて生地を作り、その中に甘い餡子を包み込んで焼き上げるシンプルながらも上品な味わいが特徴です。日本の貧しい時代においては、砂糖や餡子を贅沢に使ったこの饅頭は、一般の人々が手に入れることができない高価なものでした。
葬式で上用饅頭を用意する理由
葬式や法要において配られる上用饅頭は、「葬式饅頭」と呼ばれることがあります。現代では返礼品の選択肢が多様化しているため、饅頭が選ばれることは少なくなっていますが、昔はほとんどの葬式で饅頭が配られていました。現在でも、喪主の意向や地域の風習により、葬式で饅頭が配られることは珍しくありません。
葬式で饅頭を用意する習慣の背景には、仏教の教えが関係しています。仏教では金銭欲を手放す修行が重視され、亡くなった人が多くの財産を持っていることは、金銭欲を捨てられなかったとされ、貧しい人々への施しが不十分だったとみなされます。このため、お金を饅頭に換え、参列者に配ることで、故人の財施としての意味を持たせるのです。喪主が参列者に饅頭を配ることで、故人の供養が行われると考えられています。
地方によって異なる葬式饅頭の種類
葬式饅頭には地域ごとにさまざまなバリエーションがあります。例えば、関東地方では、緑色の抹茶入り饅頭と白い饅頭を組み合わせて配ることが多いです。一方、関西地方では、黄色と白の饅頭が一般的です。見た目や色だけでなく、地域によっては形状が大きく異なることもあります。
北海道では、どら焼きのような見た目の饅頭が葬式饅頭として配られることがあります。また、山陰地方の一部では、菓子パンにのしをかけたものが用意されることもあります。これは、かつて饅頭の代わりに餅を使っていたものが、時代の変化とともにパンへと変化したためです。
さらに、上用饅頭と似た言葉に「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」があります。薯蕷饅頭は、大和芋やつくね芋などの粘り気のある芋をすりおろして生地に加え、ふっくらと仕上げた饅頭です。上用饅頭と同じく、葬式饅頭や贈答品、お祝い事に用いられることがあります。
まとめ
上用饅頭は、日本の伝統と職人技が詰まった和菓子であり、「上に用いる」という名の通り、かつては特別な人々に献上される高級なお菓子でした。葬式で配られる「葬式饅頭」としての役割には、仏教の教えに基づく深い意味が込められており、金銭欲を手放し、故人の供養を行うための象徴的な存在です。また、地域によって異なる種類の葬式饅頭が存在し、そのバリエーションは日本各地の文化や歴史を反映しています。上用饅頭を通じて、日本の豊かな食文化やその背景に触れることができるでしょう。