チョコレートの甘美な香りとその口溶けの良さは、大人から子どもまで幅広い層に愛されています。そんなチョコレートの源ともなっている原材料、「カカオマス」についてご存知でしょうか?キャンディやデザートの最終製品だけでなく、その原点となる原料にも焦点を当ててみましょう。今回は、チョコレートの心臓部ともいえる素材、「カカオマス」について深堀りします。
カカオマスとは?
チョコレート製作の出発点となる「カカオマス」は、カカオ豆の胚乳部である「カカオニブ」を砕いたものとして知られています。
カカオ豆を収穫後に自然発酵させ、乾燥・焙煎を行い「ココアビーンズ」へと変え、さらにこれを磨砕してペースト状にしたものが「カカオマス」です。また、このペーストを固形化したものもカカオマスと呼ばれ、さらには液体状の「カカオリカー」や「チョコレートリカー」、「ビターチョコレート」等も同様にカカオマスと名付けられています。
多くの製造業者では、カカオマスは一種類だけでなく混合され、嗜好に合わせたチョコレート作りに利用されています。これはカカオマスだけでなくカカオニブやカカオリカーの工程で行われることもあります。そして、こういったブレンドされたカカオマスに砂糖や粉乳、それに植物油等を加え、さらに磨砕や精製などの工程を経て、ようやく市場で見かけるチョコレートとして出来上がります。
カカオマスはチョコレートの風味と香りを左右し、またその深い味わいとコクを引き立てます。そのため、質の高いチョコレートほどカカオマスの使用量が多く、風味と品質に直結しています。カカオマスには食品添加物や人工の甘味料、香料などが一切加えられておらず、そのままの状態では強い苦みと特有な風味があります。そのため、この特徴を生かしたダークチョコレートやビターチョコレートなどが生まれています。
また、このカカオマスは食用だけではなく、料理やスイーツ、飲料など幅広い用途で利用されており、私たちの日常において様々な形で楽しまれています。
カカオ豆からカカオマスになるまで
チョコレート製造の重要な一案内となる原材料、カカオマスはどのようにして誕生するのでしょうか。本稿では、カカオ豆のセレクションからロースト、そしてカカオマスへ至るまでの一連の工程を解説していきます。
まず初めに、カカオ豆の輸入と選別が行われます。カカオ元産地で発酵から乾燥までを経たカカオ豆が工場に届けられ、その中から良質な豆を選び出します。この選別はカビ、虫食い、異物などを慎重に取り除くという作業を含みます。
次に、選別したカカオ豆がロースト、または焙煎されます。一般的には、100〜140度の温度でロースティングを施し、豆本来の香りと風味を引き立てます。ただし、ローストの条件はその後のチョコレートのフレーバーに大いに影響するため、メーカーはローストの度合いを調整し、最終的な風味プロフィールに役立てます。
ローストされたカカオ豆は「クラッキング」、つまり、粗砕の工程を経由し、皮や胚芽とカカオニブに分けられます。特殊器具である「ウィノワ」を使用して、カカオニブは連続的に分離、選別されます。
そして、最終的にはカカオニブが様々な機械を経由して砕かれてペースト状になります。これがまさに、チョコレートの起源とも言えるカカオマスなのです。まさに、我々が愛してやまないチョコレートの旅路は、手間暇をかけて辿られるものなのです。
カカオマスの量によるチョコレートの分類と割合
カカオニブを砕いて得られるカカオマスは、チョコレートの風味や味わいを支配する要素です。カカオマスは、基本的に水分を除いたカカオの100%の状態を指し、独特の苦みや酸味を持つため、ココアバターや砂糖、乳製品、さらにはレシチンや香料と合わせて調合され、それにより我々が日常で楽しむ多種多様なチョコレートが生まれます。
チョコレートは大きく""ダークチョコレート""、""ミルクチョコレート""、""ホワイトチョコレート""の3つに分けられます。ダークチョコレートには、カカオマス、ココアバター、砂糖、そしてレシチンや香料が配合されています。一般的にカカオマスが40~60%以上含まれたものを指し、そのカカオ含有率が70%を超えるものは高カカオチョコレートとも称されます。
一方、ミルクチョコレートは、カカオマス、ココアバター、砂糖、乳製品が主成分となり、それにレシチンや香料が加わります。乳製品には主に全粉乳や脱脂粉乳が用いられます。
また、ホワイトチョコレートはカカオマスを含まず、ココアバター、乳製品、砂糖にレシチンや香料が用いられます。そのため、淡い色合いを持つ特徴があります。
これらの違いを見分けることで、チョコレートの風味をより深く理解することができ、自分の好みを見つける手掛かりともなります。
カカオマスとカカオ、カカオニブの違い
カカオマス、カカオ、カカオニブといった用語、一見似ているようで実はどれも何を指しているのかよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。これらは全てカカオ豆という種子から生まれます。まず理解すべきは、「カカオ」がアオイ科の植物で、「テオブロマ・カカオ・リンネ」という学名を持つことです。このカカオの樹が実をつけ、その中にあるのがカカオ豆という種子です。
カカオニブは、カカオ豆から実皮などを取り除いた部分、つまり胚芽部分を粗く砕いたものです。ヘルシーフードとして人気で、生チョコレートやグラノーラに加えると、栄養価を高め、風味を引き立てることが可能です。
次に「カカオ」は、一般的にカカオ豆を焙煎し、粉砕したものを指します。この粉砕したカカオは、主にチョコレートやその他デザートの風味付けに利用されます。
最後に、「カカオマス」は、焙煎したカカオ豆をさらに加工してカカオバターやカカオパウダーを抽出したものです。このカカオマスはチョコレートの原型となるもので、海外のチョコレート製品では「ココアリカー」や「チョコレートリカー」という名前で表記されることもあります。
これらの違いを知ることで、カカオという素材がどのように加工され、様々な製品に生まれ変わるかを理解できます。味わいや香りにどのように影響を及ぼすか検討して、チョコレートへの理解と享楽を深めてみてはいかがでしょうか。カカオの世界への一歩が始まります。
カカオマスとカカオニブの栄養とは?
カカオ豆はカカオマスとカカオニブの主原料で、鉄分やビタミンE、そして食物繊維をはじめとする豊富な栄養素を持っています。これらは便秘の改善や肌の美白、さらには免疫力の向上など、健康や美容に気を付ける方から大変喜ばれています。各栄養素が何をもたらすのかについては一旦横に置いておきましょう。
これらの栄養を摂るために一時はチョコレートが注目を集めましたが、実はそのカカオ分はビターチョコレートだとしても75%程度しかありません。それに対して、カカオマスとカカオニブは原料のカカオ豆から直接作られていて、栄養がギュッと詰まっています。カカオ100%なので、カカオマスとカカオニブの栄養価にはほとんど差がありません。
カカオマスとカカオニブが認知されるようになったのは、このカカオ豆の健康効果が大きな要因だと考えられます。両者はおいしさだけでなく、その栄養価の高さでも注目に値します。これらを日々の食事に適度に取り入れることで、健康や美容維持に一役買うことでしょう。
"カカオマスとカカオニブの風味とは?
チョコレートに欠かせない成分、カカオマスとカカオニブは、各々カカオ豆を元に作られ、その純粋な風味はまさにカカオ100%の証と言えるでしょう。それぞれの風味や食感は独特で、素材そのものの味わいが味わえる贅沢さがあります。
カカオニブは、カカオ豆を粉砕し、そのまま乾燥させて作られるもので、そのまま食べても美味しく、その歯切れの良さはカカオニブ特有の魅力と言えます。また、その強烈な苦味と酸味は、直接的でもありながら多種多様な料理に最高のトッピングとして活躍します。
また、あくまでもカカオ豆をパウダー状にしただけで成型されるカカオマスは、口の中でなめらかに溶ける食感はまさに本物チョコレートそのもの。またその風味は、ビターチョコレートのようでありながら、甘さを加えることによりさらに深みを帯び、味純粋なチョコレート風味を楽しむことができます。
苦味が苦手な方は、ハチミツやアイスクリームと一緒に食べることで、カカオの風味と甘さが見事に調和し、さらに一層美味しく堪能することができます。
これらのカカオ製品を理解し使いこなすことで、あなただけの特別なデザートや料理に一体感をもたせることができます。もっと深いチョコレートの世界に足を踏み入れてみませんか?
まとめ
カカオマスは、チョコレートの風味となる要素を含んだカカオ豆の焙煎後、細かく砕かれたものです。甘さやテクスチャーに変化を付ける各種チョコレート製品の原点となる素材です。カカオの濃厚な香りと、その後追加される甘さが、チョコレート独特の魅力を作り出す源となっています。