カカオ豆とは

カカオ豆とは

カカオ豆とは

カカオ豆は、熱帯地方に自生するカカオの実から採れる種子です。その豆から加工されたカカオ液や粉末は、チョコレートをはじめとするさまざまな菓子や飲料の原料となっています。カカオ豆の栽培と利用には長い歴史があり、古くからその味と香りが愛されてきました。カカオ豆の魅力と生産過程、さらにはその効能や利用方法について、詳しく見ていきましょう。

カカオ豆とは。大きさや特徴は?

カカオ豆は、熱帯地方に自生するカカオの木から採れる実の種子です。カカオの木は、アオギリ科テオブロマ属の常緑樹で、幹や枝に果実が実るのが特徴的です。この果実をカカオポッドと呼び、直径10〜15cmほどの楕円形をしています。硬い殻に包まれたカカオポッドを割ると、30〜40個のカカオ豆が詰まっているのが分かります。


カカオ豆の大きさは約1〜2cmの細長い楕円形で、外側は滑らかな赤紫色の殻に覆われています。そのままでは非常に苦味が強いため、チョコレートやココアの製造工程で加工されます。一本のカカオの木から、年間約9kgのカカオ豆が収穫できます。


カカオ豆の中には約50%のカカオバターが含まれており、滑らかな口当たりと香りの決め手となっています。また、ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富に含まれているため、健康面でも注目されています。

カカオ豆の食べ方。そのままでも食べられるの?

カカオ豆は、チョコレートの主原料として知られていますが、加工する前の生の状態でも食べられます。カカオ豆そのものを食べると、強い苦味と渋みがありますが、ロースト加工をすると香ばしさが増し、食べやすくなります。


カカオ豆には、ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富に含まれています。生の状態で食べれば、これらの栄養素を余すことなく摂取できます。ただし、カロリーが高いため過剰摂取は控えめが賢明でしょう。


カカオ豆を食べる場合は、「カカオニブ」と呼ばれる胚乳部分を選ぶのがおすすめです。おつまみ代わりに一口サイズで少量食べるのが適量です。ほろ苦さと酸味が楽しめる、新鮮な味わいを堪能できます。


また、カカオニブは焼き菓子やヨーグルト、スムージーなどに加えてアレンジを加えるのも良い食べ方です。クッキーにプラスしたり、バナナやはちみつと一緒に食べるなど、様々な組み合わせが可能です。クセのある味わいを上手に取り入れて、新たな風味を楽しんでみてはいかがでしょうか。

カカオ豆とは

カカオはどんな場所で育つ?

カカオの木は高温多湿な気候に適した環境で育ちます。理想的な環境は気温が20~30度、年間降雨量が1,500~2,500ミリの地域です。直射日光は強すぎると枯れてしまうため、上層の高木の日陰を利用する必要があります。


主な産地は赤道付近の熱帯地域で、中南米、西アフリカ、東南アジアなどの地域が挙げられます。世界最大の生産国はコートジボワールで、ガーナ、インドネシアなどの国でも盛んに生産されています。栽培では数年かけて苗木を育て、収穫期に実を手作業で摘み取ります。1本の樹から年間20~30個程度の実を収穫できます。

カカオ豆の主な種類・品種

カカオ豆にはいくつか種類(品種)があり、カカオ豆によって味わいや香りなどが異なるため、どのカカオ豆を使ってチョコレートを作るかで特徴が変わっていきます。代表的な品種であるクリオロ種、フォラステロ種、トリニタリオ種について見ていきましょう。


◆クリオロ種

クリオロ種は中南米で育てられることが多く、生産量は全体の3〜5%程度と希少な品種です。病害虫に弱く栽培が難しいものの、花のような華やかで豊かな香り、苦味が少なく甘味が強い味わいが特徴です。フレーバービーンズとしても活用されています。


◆フォラステロ種 

フォラステロ種は西アフリカを中心に広く栽培されている品種で、生産量は全体の80%程度を占めています。病害虫に強く栽培しやすく、カカオ豆特有の苦味、酸味、渋味のバランスが良い品種です。


◆トリニタリオ種

トリニタリオ種はクリオロ種とフォラステロ種の交配種で、中米を中心に栽培されています。生産量は全体の15〜20%程度です。病害虫に強く、クリオロ種の香りの良さとフォラステロ種の渋味を併せ持つのが特徴です。フルーツ、ハーブ、ナッツなど様々な香りを楽しめます。


近年は、産地や品種によるカカオの個性的な風味の違いを活かしたブレンドカカオや単一産地のカカオにも注目が集まっています。様々な味わいを堪能できるチョコレートが増えています。

カカオ豆の産地別の特徴

カカオ豆は産地によって特徴が少しずつ異なります。


代表的な生産国のなかからコートジボワール(西アフリカ)、ガーナ(西アフリカ)、エクアドル(中南米)、ベトナム(東南アジア)で採れるカカオ豆の特徴をみてみましょう。


◆コートジボワール(西アフリカ)

酸味や渋味のある味わいが特徴で、苦味が強く、香り高くスパイスに似た香りをもっています。フォラステロ種という品種のカカオが主に育てられています。


◆ガーナ(西アフリカ)  

コートジボワールと同じくフォラステロ種が多く、苦味、酸味、渋味がバランス良く、食べた後に残る香ばしさが特徴です。日本人にも馴染みの深い味わいです。


◆エクアドル(中南米)

クリオロ種という高品質な品種が多く、花のような独特な香り、苦味が少なく甘味が強い味わいが特徴です。華やかな香りとともに楽しめます。  


◆ベトナム(東南アジア)

トリニタリオ種が主流で、渋味とフルーティーで華やかな香りが特徴です。フルーツ、ベリー、ハーブ、ナッツなど、複雑な風味を感じられます。

カカオ豆が原料として出荷されるまでの流れ

カカオ豆は、熱帯雨林気候が特徴的な西アフリカやラテンアメリカで栽培されています。カカオの木は常緑樹で、20年以上の樹齢になると実をつけるようになります。熟したカカオの実はオレンジ色の楕円形で、中に20から50個のカカオ豆が入っています。


収穫期には、熟した実を手作業で摘み取り、外皮から中のカカオ豆を取り出します。次に発酵作業を行います。発酵は、カカオ豆に含まれる酵素の働きで起こる化学反応で、製品の香りや風味に大きな影響を与えます。収穫したカカオ豆を発酵箱に入れ、一定期間発酵させた後、天日で乾燥させて水分を十分に取り除きます。完全に乾燥したカカオ豆は出荷用の麻袋に詰められ、世界中の製造工場へと運ばれていきます。


カカオ豆の栽培から出荷に至るまでには、以下のような工程があります。


◆成木から結実

カカオの木は高温多湿な環境を好み、直射日光を避ける必要があります。そのため、他の木を植えて日陰を設け、最適な育成環境を作ります。3~5年かけて幼木から成木に育てられ、枝や幹に白い花が咲きます。受粉に成功した花は約半年かけて15cmほどの大きな果実に成長します。


◆収穫から発酵・熟成

収穫期に入ると、熟した果実を手作業で摘み取ります。外皮から種子(カカオ豆)と果肉(パルプ)を取り出し、発酵作業に移ります。カカオ豆を箱に入れ、麻袋で覆って1週間程度発酵・熟成させます。この間、かき混ぜて空気を取り入れ、香りを引き立てます。


◆乾燥と出荷

発酵・熟成後は、水分が7~8%以下になるよう天日で乾燥させます。乾燥したカカオ豆は麻袋に詰めて、世界中の製造工場へと出荷されます。こうしてカカオ豆はおいしいチョコレートに姿を変えて私たちのもとへ届けられるのです。

カカオ豆からチョコレートになるまでの流れ

カカオ豆から濃厚なチョコレートができるまでの過程を追ってみましょう。


熱帯雨林に自生するカカオの木から採れたカカオ豆は、発酵と乾燥、焙煎の工程を経ることで、香り高い風味を帯びます。焙煎後のカカオ豆から殻を取り除き、内側の割れた豆肉(ニブ)を取り出します。このニブを粉砕機で細かく砕くことで、カカオバターを含むカカオマスができあがります。


次にカカオマスを更に加工し、カカオバターと粉末状のカカオケーキに分離します。そしてカカオバター、カカオケーキ、砂糖などを所定の割合で混ぜ合わせ、コンチング(攪拌)工程を行うことで、滑らかで風味豊かなチョコレート生地が生まれます。


この生地を型に流し込み冷却させることで、私たちがおなじみの固形状態のチョコレートが完成するのです。カカオ豆が適切な工程を経ることで、濃厚で味わい深いチョコレートへと姿を変えるのです。

まとめ


カカオ豆は栽培に手間がかかる一方で、その独特の風味と様々な効能を兼ね備えた貴重な食品資源です。古くから愛されてきたカカオ豆の魅力は、チョコレートなどの菓子や飲料に活かされ、現代でも広く親しまれています。適切な生産管理の下で持続可能な形で栽培されることで、カカオ豆の恩恵は将来にわたって享受され続けるでしょう。