フランス語で「ケイク・オ・フリュイ」と呼ばれるこのお菓子は、スポンジ生地に旬の果物がたっぷりとトッピングされた華やかな一品です。パリのパティスリーでは定番商品として親しまれ、テラス席でお茶を傾けながらいただく風景は、まさにパリの風物詩と言えるでしょう。

お店によってトッピングの具材やデコレーションは様々ですが、一般的には赤や青系の果物が使われることが多く、苺、ブルーベリー、キウイなどの甘酸っぱい味わいが生地に絶妙なハーモニーを奏でます。一口ごとに旬の味覚が堪能できるのがこのお菓子の魅力です。

フランスでは小さな個別のケーキとして提供されることが多いのに対し、日本では大きめの一つのケーキ全体をケイク・オ・フリュイと呼ぶケースも。目でも舌でも存分に楽しめる、まさに"フルーツの宝石箱"とでも形容すべき逸品なのです。

基本的な作り方は、バターと小麦粉にフルーツと砂糖を入れ、オーブンで焼き上げるというシンプルなものです。しかし、地域や家庭によってアレンジが施され、様々な種類が生まれました。リンゴ、洋梨、プラム、ブルーベリーなど、地元の果物を使うのが一般的でした。

19世紀に入ると、ケイク・オ・フリュイはさらに人気を博しました。貴族や富裕層の宴会では欠かせないデザートとなり、レシピ本にも多数掲載されるようになりました。今日でも、家庭や高級レストランで愛されている、フランス伝統の味わいです。焼きたての香りと、甘酸っぱいフルーツの味わいは格別なものがあります。

ケーキは長い歴史を持ち、時代とともに変化を続けてきました。

かつては酵母や砂糖、バターなどの材料が貴重で、ケーキは贅沢品とされていました。しかし、20世紀初頭にはベーキングパウダーの発明により、一般家庭でも手軽にケーキを作ることができるようになりました。

フランスのケーキ文化は長い歴史を持ち、時代とともに変化を遂げてきました。19世紀後半、パリのマドレーヌ地区でミシェル、ゲール、マリオンの3大パティスリーが名を馳せ、ベーキングパウダーを使ったふっくらケーキやプラムケーキが人気を博しました。