バターとは
バターは、我々の日常的な飲食に欠かせない要素の一つであり、その香ばしくもクリーミーな風味は、一般的に朝食のトーストから洗練されたデザートまで、幅広い料理に便利な存在となっています。しかし、「バター」と一言で言っても、その起源、製造方法、種類や違い、そしてきちんとした使い方について深く知る人は決して多くはありません。本記事では、そんなおなじみでありながら知られざる「バター」の魅力をご紹介し、その理解を深めるための一助となれれば幸いです。
バターとは?
バターは、基本的には生乳などから作られるクリームを攪拌し、出現した脂肪粒を固め、仕上げたものと説明できます。クリームの中には、MFGM(脂肪球皮膜たんぱく質)に覆われた脂肪球が存在し、これを攪拌すれば脂肪球はぶつかり合い、MFGMの膜が裂けた脂肪滴が集結し、固形化します。
一般的に、バターには「無塩」そして「有塩」の2つのタイプがあり、異なる料理に対する適合性をもっています。無塩バターでは乳脂肪の本質的な風味を楽しめ、菓子作りやソース作りに特に適しています。反対に、有塩バターは食塩が追加されることで風味が増加し、特にパンに塗ったり焼き物に使ったりするのに適しています。
バターは、調理に使うだけではなく、様々な健康効果も期待されます。ビタミンAやDをはじめとする栄養素は、健康な肌や骨を維持するのに重要です。ただし、脂肪分が多いため、摂り過ぎには気をつける必要があります。
さらに、「発酵バター」も存在し、これは乳酸菌を使って発酵させたバターです。風味が豊かでコクがあり、食事の一部として更に豊かな香りをプラスします。
バターは、そのまま食べたり、様々な料理に混ぜることで味わい深い料理を創り出すのに欠かせない食材と言えます。それぞれの役割は小さくとも、その影響力は大いなるものと言えます。
バターの起源・歴史
バターの起源は曖昧ではありますが、紀元前2000年頃にモンゴルやヨーロッパの遊牧民により発見されたのだと言われています。液体の牛乳を一定時間混ぜることで製造されたこの固形の乳製品は、昔から保存料、料理の風味付け、または神々への奉納物として利用されました。
中世のヨーロッパでは、バターは食事のヒーロー的存在でした。その保存性と、多くの料理と相性が良いことから、非常に高級な食材とされました。むしろ、宗教的な儀礼でも頻繁に使用されていました。そして、バター製造機の発明と普及により、18世紀に量産が可能となり、更に一般化しました。
しかしながら、17世紀から19世紀にかけての日本では、バターや乳製品の消費は一般的ではありませんでした。これは、牛が作物の肥料や輸送などの重労働を担う存在であったため、一部の地域で乳製品の摂取が避けられる風潮があったためです。けれども、明治維新後の西洋化の影響により、乳製品は日本でも一般に普及するようになり、バターもその一部として広まりました。現在、バターは洋菓子やパン、家庭料理の主要な材料として、我々の日常の食生活に欠かせない存在となっています。
バターの種類
バターは、その製法や食塩の追加によって数多くの種類が存在します。
製造工程によってバターは大きく分けられます。通常のバターは一般的に乳酸菌を使ってクリームを発酵させたもので、その特質的な風味が魅力です。また、新鮮なクリームから直接作られ、乳酸菌での発酵を経ないスイートクリームバターはクセが少なく、その深いクリームの風味が特徴的で、広範囲に使用できます。
食塩添加の有無でもバターは分類されます。食塩を加えることで風味が増し、保存性が高まるメリットがありますが、食塩を加えない無塩バターは製菓や料理に好んで使用されます。食素が無添加であることから保存期間は短くなりますが、その分原材料の風味をダイレクトに味わうことができます。
また、インドではギーと呼ばれるバターが用いられています。これはバターを熱し、水分と乳固形分を除去したもので、持ち運びや保存に便利です。
さらに、最近ではカルチャーバターやウッドスモークバターといった特異な製法や風味付けを施したバターも増えています。これらのバターは特に食材として主役になる料理に最適です。
これらバターの多様性を理解する事で、料理やお菓子作りの選択肢が広がります。それぞれのバターの特性を充分に活かし、食事をさらに楽しむことができます。
家庭でのバターのつくり方
バター作りは、お家でも簡単に楽しむことが可能です。基本的な手順および必要な素材は、プロのバター工場と同じです。
必要な素材:
1. 高脂肪生クリーム(最低でも乳脂肪分45%)
2. 広口のふた付き容器
3. 割り箸
4. 塩
手順:
1. 容器に生クリームを入れて4分の1程度まで満たし、しっかりとふたをしめます。その後、中の液体が静まるまで振り続けます。
2. 割り箸を用いて生クリームを混ぜるとともに、最終的にはバターミルク(水分)を搾り出すように生クリームをこねます。
3. バターミルクを別の容器に移し、塩を少々加えてバターの風味を整えます。
注意点:
- 生クリームは使用前に冷蔵庫で冷やしておきます。
- 容器を振っている最中に、容器や内容物が暖まってしまった場合は、しばらく冷却しましょう。
- 残ったバターミルクは無脂肪牛乳のような飲物として、または料理の素材として活用できます。
- 作成したバターは、可能な限り早く消費しましょう。
まとめ
あらゆる料理に彩りと風味を加えるバターの魅力を深掘りし、その起源から製造方法、種類の違い、そして適切な使い方までを詳細に解説しました。本記事を読むことにより、料理の一部としてバターをただ利用するだけでなく、その独特の風味や特性を最大限に活かす一助となることでしょう。