ホイップクリームと生クリームの違いを徹底解説!選び方と使い方のポイント

生クリームとホイップクリームは、料理やデザート作りに欠かせない存在ですが、その違いを正しく理解している人は意外に少ないかもしれません。本記事では、これら二つのクリームの基本的な違いから、それぞれの選び方、効果的な使い方のポイントまでを徹底解説します。クリーム選びに迷うことがなくなる実用的な情報をお届けし、あなたの料理をさらに美味しく仕上げるお手伝いをします。

今更だけれど生クリームとは?ホイップクリームとの違いやそのバリエーションをご案内

手作りスイーツに欠かせない生クリーム!スーパーに出かけていざ買おうとすると、たくさんの種類が並んでいて困惑した経験はありませんか?ケーキの飾り付けに使用する場合は、そのまま絞れるホイップタイプが便利ですが、料理に使う時にはどれが適しているのでしょうか。それに加えて、生クリームの隣で売られているホイップクリームとの差は何なのでしょうか?今回は、生クリームのさまざまな種類や代用品、ホイップクリームとの違いについて詳しくご紹介します。

1.生クリームについて詳しく知ろう

生クリームについては、厳密な基準が設けられています。「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」によれば、「クリーム」とは、生乳や牛乳から乳脂肪分以外の成分を取り除いたもので、乳脂肪率は18%以上と定義されています。しかし、スーパーでは牛乳以外を原料とする生クリームも見かけます。これらは植物性で、乳脂肪による生クリームとは異なるものです。そのため、牛乳から作られた生クリームを「純生クリーム」と表示する場合もあります。

2. 生クリームの動物性成分って何のこと?

生クリームというのは生乳や牛乳から作られ、乳の持つ自然な風味やコクを楽しめるのが特徴です。容器に記載された「◯%」という数字は、乳脂肪分の割合を示しています。料理やスイーツをどんな味に仕上げたいかによって、この乳脂肪分を選ぶのも一つの方法です。高い乳脂肪分の生クリームは泡立てやすいですが注意が必要で、泡立てすぎると分離してしまい、ざらつきが出ることも。色が黄色っぽくなるのは、泡立てることで脂肪が破壊され、元の色が表れるためです。生クリームを使う前には、振ったりせず、そっと扱うよう心がけるとよいでしょう。乳化状態が損なわれると、油が浮いてしまう可能性がありますのでご注意ください。

3.ホイップクリームとは何か?

英語でクリームを泡立てる行為をホイップと呼ぶため、泡立てたクリームをホイップクリームと思う方も多いでしょう。しかし、ホイップクリームは植物性クリームを指すこともあります。乳製品から作られるものは【生クリーム】と呼ばれ、植物性や動物性と植物性が混ざったものが【ホイップクリーム】です。豆乳などの大豆から作られたホイップクリームは、あっさりとして滑らかな食感があります。植物性脂肪を使ったホイップクリームは乳アレルギーの方でも安心して使用可能です。植物性のホイップクリームは動物性に比べて賞味期限が長く、価格も抑えられています。これは、植物性油脂を使っており、パーム油、ヤシ油、なたね油、大豆油が使われることが多いからです。乳脂肪とは口当たりが異なるため、水素添加やエステル交換などの加工を施して乳脂肪に近い味わいを作り、乳化剤や香料を加えています。日本ではお菓子作りで生クリームがよく使われますが、植物性ホイップクリームもその用途で開発されており、泡立て過ぎても分離しにくい特徴があります。初心者でも扱いやすく、乳化剤を組み合わせて安定したクリームを作っています。しかし、熱に弱く、クリームパスタなどには不向きです。

4.生クリームの賢い活用法!

生クリームは、その乳脂肪分の多さによって使い分けるとよいでしょう。18%から30%のクリームは、脂肪分が少なく耐熱性が高いため、コーヒーや紅茶などの温かい飲み物に最適です。35%から50%のクリームは特にお菓子や料理にお勧めで、泡立てて用いる際は、乳脂肪分が35%以上を選ぶと仕上がりが良くなります。さっぱりした味わいを求めるときは40%未満のものを、濃厚な味わいを楽しみたいときは40%以上のものを選ぶとよいでしょう。特にチョコレートムースなどでは、乳脂肪分が高いとクリームの風味を一層楽しめます。また、料理に使う場合、動物性のクリームは加熱しても分離しにくく、クリーム煮やクリームソースにするとまろやかさとコクが増します。失敗を避けたいときや、軽い風味を求めるときは植物性のホイップクリームを使うという選択肢もあります。植物性を使った場合、風味やコクは異なりますが、お菓子や料理づくりに活かすことができます。

5.生クリームとホイップクリームの違いを見極める方法とは?

動物由来の生クリームと植物由来のホイップクリームの違いを把握するためには、パッケージの食品表示をチェックすることが重要です。「クリーム(乳成分を含む)」と記載されている場合は、牛乳や生乳のみを原料とした生クリームを指します。一方、「乳等を主要原料とする食品」との表記がある場合は、添加物や植物性脂肪が含まれることが多い植物性のホイップクリームであることがわかります。

【生クリームの代わりにホイップクリームを使えない料理】

生クリームの割合が高いチョコレート菓子やガナッシュは、ホイップクリームでの代用には適していません。こうしたスイーツは、乳脂肪分の凝固作用が重要であるため、ホイップクリームを使うと失敗する可能性が増します。また、ホイップクリームは加熱すると分離しやすいため、クリームパスタなどの料理にも向いていません。

【ホイップクリームで代用可能な生クリームの使い道】

先に生クリームの代用が難しい例を述べましたが、特定の条件ではホイップクリームで代用が可能です。特に生クリームの使用量が多い場合でも、チョコレートの量が生クリームの2倍以上であるときや、生クリームを泡立てて装飾的に使う場合には、ホイップクリームでの代替が考えられます。その際には、ホイップクリームは生クリームより熱に弱く分離しやすいため、温度管理がとても重要です。加熱時間を短縮したり、材料を十分に冷やしてから混ぜる、泡立てる際にしっかり冷やしながら行うなどの工夫が必要ですが、これらを守れば代用は可能です。

【ホイップクリームの代わりに生クリームを使えるレシピ】

生クリームを強く泡立てすぎたり、材料を過度に混ぜ合わせると分離することがありますが、その点に注意して使えば問題ありません。

7.生クリームとホイップクリームの栄養価

生クリームとホイップクリームを比べると、それぞれに異なる栄養バランスがあります。日本食品標準成分表によれば、ホイップクリームはクリームにグラニュー糖を加えて泡立てたものとされ、ここでの分析では【生クリーム】として乳脂肪のみを、【ホイップクリーム】として乳脂肪と植物性脂肪、または植物性脂肪のみのものを取り上げています。【生クリーム】では、乳脂肪が主体となり、エネルギー412kcal、脂質43.0g、たんぱく質1.9gです。一方で、【ホイップクリーム】では、乳脂肪と植物性脂肪を含むものはエネルギー409kcal、脂質42.1g、たんぱく質4.4g、植物性脂肪のみのものはエネルギーが370kcal、脂質39.5g、たんぱく質1.3gです。生クリームよりもホイップクリームの方がやや低カロリーで脂質も少ないことが分かりますが、たんぱく質はホイップクリームの方が多く含まれる場合もあるようです。【出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)】

8.その他のクリームのご紹介

動物性と植物性のクリームについて詳述しましたが、両方の脂肪が含まれる「コンパウンドクリーム」も存在し、ホイップやフレッシュとして使われます。また、料理やスイーツに利用できる発酵クリームという種類もあり、乳酸菌で乳酸発酵されたものです。酸味と独特の風味を持つサワークリームがこの発酵クリームの一例です。

料理とデザートで異なる生クリームの選び方!

普段何気なく使っているクリームが実はホイップクリームだったと知って驚いた方もいるかもしれませんね。次回クリームを使用する際には、それが本当に生クリームなのか、あるいはホイップクリームなのか、しっかりと確認してみると良いですね。

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