クリームの多様な種類を楽しもう!

お菓子作りに欠かせない「クリーム」。ケーキやタルト、デザートの仕上げに使われるクリームには、見た目や味わいだけでなく、用途に応じた多彩なバリエーションがあります。一見似ているように思えるクリームも、実は材料や作り方、保存方法に違いがあり、それぞれが持つ特性を活かすことでお菓子作りの幅が広がります。本記事では、代表的なクリームの種類や特徴、適した使い方について詳しくご紹介します。あなたのお菓子作りをより楽しく、魅力的にするヒントとして、ぜひ参考にしてください。

様々なお菓子用クリームのバリエーション

お菓子作りに欠かせないクリームには、カスタード、生クリーム、ホイップ、バタークリームなど様々な種類があります。これらは同じ「クリーム」という名前がついていますが、実は性質や原材料が異なり、保存期限もそれぞれ異なります。では、それぞれのクリームについて詳しく見ていきましょう。

カスタードクリーム

卵、牛乳、砂糖、バニラエッセンスを混ぜ合わせたものがカスタードソースであり、これをクリーム状にしたものがカスタードクリームです。とろりとしたクリーム色で甘みがあり、シュークリームやエクレア、クリームパンの中身として親しまれます。また、タルトのフィリングやミルフィーユの層にも利用され、和菓子では鯛焼きや今川焼きの具として使用されることもあります。

生クリーム

牛乳を分離させ、乳脂肪分が豊かに含まれた白色や淡黄色の濃厚な液体を生クリームと呼びます。主成分は乳脂肪のみで、生クリームを泡立てることで「ホイップクリーム」が作られます。この生クリームは料理やコーヒー、紅茶にそのまま利用することができ、密閉容器で攪拌するとバターを作ることもできます。さらに、生クリームを乳酸発酵させることでサワークリームも作られます。生クリームに砂糖を加えて冷やし固めれば、アイスクリームとして楽しむことも可能です。最近では、豆乳を原料とした生クリームも市販されていますので、購入前に成分表示を確認することをお勧めします。

ホイップクリーム

ホイップクリームには、異なる2つの用途があります。お菓子作りでは、砂糖を加えて泡立てたクリームが用いられ、ケーキのアイシングやデコレーションに使用されます。また、シュークリームのフィリングにカスタードの代わりとして使われることもあります。家庭での作成には生クリームが一般的ですが、市販のホイップクリームは異なった成分で製造されており、動物性脂肪に植物性脂肪を加えたもの、または植物性脂肪のみで作られています。このため、純生クリームと比較すると、ホイップクリームは白く、泡立てる時間が異なる特徴があります。

バタークリーム

バタークリームは、バターをベースにしたクリームで、主な材料としてバター、卵、砂糖が使われています。 このクリームには、イタリアンメレンゲ、パータボンブ、さらにはアングレーズの三つの異なる作り方があります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

イタリアンメレンゲスタイル

イタリアンメレンゲタイプのバタークリームは、イタリアンメレンゲをベースにしたクリームで、バターを加えて仕上げます。イタリアンメレンゲは、卵白、砂糖、水を熱して作られたメレンゲです。このクリームの魅力は、その見た目の純白さです。コクがあり、卵の味が強くないため、抹茶やカシスなどの風味と組み合わせて楽しむことができます。ダックワーズやマカロンのフィリングとしても適しています。

パータボンブ

卵黄に砂糖と水を加えて温め、そこにバターを組み合わせて作るのがパータボンブです。この方法では、卵黄の深いコクと豊かな風味を堪能できるのが特徴となっています。イタリアンメレンゲとは異なり、クリームはチョコレートやナッツ、コーヒーフレーバーなど多様なバリエーションも可能です。ブッシュドノエルのロールケーキの中に使用されたり、チョコレートケーキの層の一部に組み込まれることが一般的です。

アングレーズ

卵黄と砂糖を牛乳で混ぜて作るアングレーズソースにバターを加えたクリームです。このソースは卵黄と牛乳がベースのため、リッチな味わいと深い風味を楽しむことができます。ナッツやコーヒーを加えたバリエーションの他、バターケーキの糖衣としても人気です。ホイップクリームと同様に使用されることが多いですが、バターケーキの方が生クリームよりも保存が利くのが特徴です。バタークリームをたっぷりと使うパリブレストなどの菓子にもよく利用されています。

生クリームの種類

スイーツだけでなく、料理にも頻繁に使われる生クリーム。その種類と特徴を確認してみましょう。

動物由来のクリーム

クリームは、乳脂肪を生乳から分離したもので、乳等省令では「生乳、牛乳または特別牛乳を使用して、乳脂肪分以外を除去し、乳脂肪分を18%以上にしたもの」とされています。

スーパーなどで販売されている生クリームの中には、牛乳以外から作られたものもあり、牛乳由来のものはしばしば「純生クリーム」と明記されています。

乳化剤・安定剤を添加したクリーム

動物由来の脂肪が使用されることで生クリームのようなリッチな風味が楽しめます。また、乳化剤や安定剤のおかげで、分離しづらく、ホイップする際の操作性が向上しています。

コンパウンドクリーム

コンパウンドクリームは、乳脂肪に植物性脂肪を組み合わせた製品です。多くの場合、動物性の乳脂肪と植物性の脂肪—例えばヤシ、パーム、大豆の油—が混合されています。このタイプのクリームは、生乳100%から作られる生クリームと比べると風味は控えめですが、軽やかな口当たりが魅力的で、手頃な価格で手に入ることが利点です。

植物性由来の脂肪のみ使用したクリーム

植物性脂肪から作られるクリームも存在し、これはパーム油やヤシ油などを使用しています。これに対して、生クリームは動物の乳脂肪のみを含んでいます。植物性クリームは、軽やかでさっぱりとした風味が特徴です。

生クリームとホイップクリームの違いとは

スーパーでは「ホイップ」や「フレッシュ」と表記されたクリームが並んでおり、生クリームと同じ棚で見かけますが、これらはホイップクリームの一種です。

「ホイップ」は英語で「泡立てる」という意味があるため、泡立てたクリーム自体がホイップクリームだと思っている人もいるでしょう。しかし、実際には乳脂肪分を植物性脂肪分に代替した「植物性クリーム」を指すことがあります。

生乳や牛乳を基に作られたものは生クリーム、植物性原材料が使われた場合はホイップクリームと認識すると分かりやすいです。

クリーム