マカロンは手作業による繊細な工程が多く、高度な技術を要するため、その価値に見合った価格設定となっています。

生地作りでは、メレンゲの適切な泡立ち具合や、マカロナージュと呼ばれるアーモンドプードルとの混ぜ合わせ作業において、気泡を均一にする技術が欠かせません。焼成工程でも、焼き色や膨らみ具合を左右する温度調整に熟練を要します。

さらに作業時間も2時間半以上と長く、他の菓子に比べて労力がかかります。一つひとつ丁寧に仕上げることが、美しい外観と上質な味わいを生み出す秘訣なのです。

プロの洋菓子職人による、高水準の技と情熱が注がれた芸術品だからこそ、マカロンは一つ一つが大切に扱われ、価格も高くなるのだと理解できます。

マカロンは、軽くてふわふわの食感が魅力的な一方で、その真の美味しさは繊細な風味と素材の魅力にあります。サクサクした外側の食感とふわりと溶け出すクリームとのコントラストが、マカロンならではの楽しみ方です。一口目からナッツの香ばしさ、フルーツの爽やかな酸味、チョコレートのほろ苦さなど、使用された素材由来の繊細な風味が重なり合い、複雑でデリケートな味わいが広がっていきます。

一方で、噛んだときにネチッと歯にくっつくマカロンは、うまく作られていない証拠と言われています。

マカロンは伝統と技術の賜物で、大きなサイズの製品化には課題があります。

フランス伝統菓子として150年以上の歴史を持ち、小さなフォルムが定番化しています。大幅なサイズ変更は伝統の継承を阻害します。また、卵白を泡立てる高度な技術を要し、焼き上がりと風味のバランスを保つには適切なサイズが決められています。小さすぎれば乾燥し、大きすぎれば中心が生焼けになる恐れがあるのです。

さらに、高温で一気に焼き上げるには小さいサイズが適しており、2枚合わせる必要もあり、大きなサイズへの変更は難しくなります。長年の職人技と経験に基づいた製造プロセスが大切にされているということです。

マカロンの製造には、卵白を泡立てて滑らかな生地を作る「フランス風」と、アーモンド生地を焼く「イタリア風」の2つの方法がありますが、どちらも熟練の技術を要します。また、高級アーモンドパウダーやバニラビーンズなど、良質な素材を使用することで上品な味わいが生まれます。このように、マカロンの高価格には、職人の長年の経験と、厳選された素材へのこだわりが凝縮されているのです。