葬式まんじゅう
'葬式まんじゅう'、その名前からは予測がつきにくい、優しい味わいと風情があるのだそうです。ここでは、この'葬式まんじゅう'という和菓子の由来と魅力について、詳しくご紹介します。
葬式饅頭って?
葬式饅頭とは、通夜や葬式などの場で参列者に振舞われるお饅頭を指します。この伝統は日本各地に広がっていますが、近年では配られることが少なくなってきています。
葬式饅頭の形状や色は地域によって異なりますが、一般的には白色や黄色の丸い饅頭が1つずつ入ったものが多いです。この饅頭が配られる背景には、日本の食文化と歴史が深く関わっています。
昔の日本では砂糖が非常に貴重だったため、甘い饅頭は特別なものでした。葬式饅頭は故人の財産や感謝の気持ちを表現するために振舞われることが多かったとされています。また、仏教の教えに基づいて、故人のため込んだ物欲をお饅頭に変えて分け与えることで、故人が成仏できると信じられていました。
現在の葬式饅頭は、比較的手ごろな価格で提供されることが一般的で、5,000円〜15,000円程度が相場です。かつては、お饅頭の代わりに小銭を紙に包んで配る「おひねり」という習慣もあったとされています。
葬式饅頭の歴史
葬式饅頭の起源は、古代中国の三国志時代にまで遡ることができます。中国の「事物起源」によると、蜀の軍師諸葛孔明が川の氾濫を鎮めるために、小麦粉を用いて人の頭の形をした供物を作り、川の神に捧げたという逸話が伝わっています。これが饅頭の原型となり、神への供物としての習慣が広がりました。
この饅頭の概念が日本にも伝わり、葬式饅頭として用いられるようになりました。日本に饅頭が伝来したのは1349年頃とされ、当時は肉入りのものが主流でしたが、仏教の影響で肉食が禁じられたため、餡を使った現在の形に変化しました。こうして、葬式やお盆などの仏教行事で饅頭が供えられ、食べられる文化が根付いていきました。
葬式饅頭は地域によって異なる?違いを紹介
葬式饅頭は、日本各地で異なる形や特徴を持っています。以下に、地域別の違いをご紹介します。
北海道地方
中華まんじゅう
北海道で配られる葬式饅頭は「中華まんじゅう」と呼ばれ、コンビニで見かける肉まんとは異なります。どら焼きのような生地に餡を包んで二つ折りにした半月型の饅頭で、バナナのような形をしています。サイズは大きく、20cmほどのものが主流です。参列者の多い田舎での葬儀に合わせて、作りやすい形状が特徴です。
東北・関東・甲信越地方
春日饅頭(しのぶ饅頭/ひば饅頭)
この地域では、春日饅頭が一般的です。小判型で中にこしあんが入っており、白い薄皮の中央にはシノブヒバの型が焼き付けられています。焼き印には、柏、ヒノキ、もみじなども用いられます。サイズは片手に収まる大きさです。
緑白饅頭
抹茶で作られた緑色の皮と白い皮で餡を包んだ饅頭のセットです。葬式などの弔事にはこしあん、祝い事には粒あんが使われることが伝統的ですが、最近ではこの区別はあまり厳しく守られていません。
関西地方
黄白饅頭
この饅頭は、山芋を練りこんだふわふわの皮でこしあんを包んだもので、黄色と白の2色セットで配られます。地域によっては「じょうよう饅頭」や「しょよ饅頭」とも呼ばれます。
おぼろ饅頭
特徴は、表面がおぼろ状になっていることです。蒸した饅頭の表面の薄皮を剥がすことでこの状態に仕上げます。中身はこしあんで、利休忌の茶事などでも使用されます。
これらの違いは、地域の文化や習慣に根ざしており、葬式饅頭に込められた意味や背景を理解することで、その地域の風習や文化への理解も深まります。
まとめ
葬式饅頭には、故人への感謝の気持ちや、葬儀に参列した人々への配慮が込められています。それぞれの地域の風習や文化に根ざした形や色、素材の選び方があり、葬式饅頭を通じて日本各地の文化的な多様性を垣間見ることができます。