大学芋とは

多くの日本人がご存知の、その甘い香りとコクのある味で誰もが一度は夢中になった"大学芋"。紅葉の季節には、店頭で見かける様子が一段と増え、ついつい手に取ってしまうほど魅力的な逸品ですが、その名称の由来や歴史とは何か、一緒に探っていきましょう。この記事では、大学芋の魅力を再認識しながら、その歴史や文化など多角的な視点から解き明かしていきます。知らぬ間に虜になってしまう、その甘さと、心を和ませる存在について考えてみてください。
大学芋とは?
大学芋とは、学問とは関係ない、日本独自の伝統菓子です。名前の背景には数々の説が存在します。一つは、学資の乏しかった明治時代の学生たちが手軽に手に入るサツマイモを自炊して作ったという説、または江戸時代の鳴れた俳人、与謝蕪村が学問に励む人々を労って名付けたという説等があります。
この大学芋とは、サツマイモを粗く切り、それを砂糖やしょうゆを使って炒めたり煮たりしたもののことを指します。これらの作業によって形成される美しい黄金の蜜がサツマイモに絡みつき、甘さと食感が特徴を際立たせています。主にデザートとして消費される一方で、おやつや飲み物のつまみとしても楽しまれています。
大学芋の魅力は、そのシンプルな調理法から生み出される深みのある風味にあります。素朴な甘さがお腹だけでなく、心までも満たしてくれます。そして、手作りという点が更にこの料理(菓子)が持つ温かみを引き立てます。各一口がほっこりとした感慨を抱かせ、それが日本の文化を表現しているとも言えます。

大学芋の由来は不明
大学芋の名の起源については数々の説がありながらも、現在までにその真相が明確に解明されているわけではありません。日本のいも類の専門家たちが集う日本いも類研究会では、その謎がいもの世界の七不思議の一つに匹敵する厄介な案件であると考えられています。
多く提唱されている大学芋の起源説は、その名が大学と連携している事が一因とされています。大学生が発案者であった、あるいは大学の近くで販売されていた、そして大学生が売り出していたというように、この名づけの多くは大学と何らかの形で繋がりがあったという推測が多いです。
しかしながら、これらは確認されている事実ではなく、本当の由来はまだ謎に包まれたままです。
大学芋の由来で有力な説は?
大学芋は、その美味しさから日本の伝統的なお菓子となっていますが、名前の起源については明確な答えがなく、いくつかの説が存在します。もっとも信憑性のある説は、東京の学生街・神田で大学芋が販売され、それを好んで食べていた学生たちから来たというものです。これは、広辞苑でも記載があり、「一説には、大正から昭和にかけての学生街での人気からつけられた名前」とされています。
また、同じく有力視される説は、東京大学の前にあった氷屋「三河屋」が、さつまいもを揚げて飴を絡めて販売し、学生に人気だった由来から名付けられたというものです。その際、「学生街」とは、三河屋が存在した東京大学の前を指すという解釈もあるようです。
しかし、正確な起源が分からないほど歴史の長い大学芋は、それだけで日本人に親しまれ、長い間愛されてきた一品であることは間違いありません。シンプルながら日本の伝統的な風味を感じさせるその味わいは、今もなお多くの人々に愛され続けています。
そのほかの大学芋の由来の可能性
大学芋の起源とされる「蜜濺紅芋」とは?
「大学芋」はその甘さと素朴さで、日本全国のおやつ好きから愛されているデザートです。しかし、その起源についてあまり知られていない事実が存在します。それが、「蜜濺紅芋」、つまり中国の甘いさつまいも料理とそのつながりです。
1912年に発行された中国料理の書籍「実用家庭支那料理法」にも記載されているこの蜜濺紅芋は、特別な品種のさつまいもで作られる甘い料理です。「蜜濺」は砂糖蜜がけ、「紅芋」はさつまいもを指し、賽形に切ったさつまいもをラードで揚げ、砂糖蜜をからめたものとして紹介されています。
これが日本の大学芋の原型となったと言われています。大学芋と蜜濺紅芋とでは、その作り方はほぼ同じですが、黒ゴマの有無により、二つの違いが見受けられます。大学芋には仕上げに黒ゴマを振りかけますが、蜜濺紅芋はそれだけで完成となります。
大学芋という名前の由来は、東京の学生街「本郷」で、このおやつが学生たちの間で人気だったことから来ていると言われています。リーズナブルでお腹を満たすことができ、当時の学生たちには最適なおやつだったのです。その甘味の源であり、背後には中国の甘いさつまイモ文化から発祥した歴史が存在する大学芋。次に大学芋を食べる機会があれば、その歴史を思い出しながら味わってみてください。

大学芋の結論
大学芋の起源は、大学生があまりにも愛していたこと、あるいは大学生が作成して販売していたとされる説が一般的です。しかし、その他にも、「大学」という言葉が流行っていた時代や、「子どもを大学に送るほどの手間をかけて作る」といった理由から名付けられたとする説も存在します。しかし、真相ははっきりとはわかっていません。
そして、起源とされる蜜濺紅芋から現在の大学芋の形に変化した過程も含め、多くの謎を秘めたままのこのおやつはそれだけで興味深い存在と言えます。
大小芋の魅力の一つは、庶民の食材であるサツマイモの自然な甘さと、それを引き立てる砂糖の甘さの調和です。さらに、じっくりと火を通すことによってサツマイモ独特の香ばしさが引き立ち、風味豊かさと深みが増します。
そうして完成した大学芋は、どこか慎ましいその存在が、素材の力を最大限に引き立てる日本の食文化の象徴ともなっています。砂糖とサツマイモ、その二つのシンプルな要素の組み合わせから生まれる味わい深さを堪能するとき、食の持つ無限の可能性に再び感動することでしょう。

まとめ
大学芋はただの軽食ではなく、日本の文化と歴史が詰まった逸品。昔ながらの伝統を引き継ぎつつも、現代の日本人に愛される存在に進化したその背景には、美味しさだけでなく、国民性や節季感など多くの要素が関わっていることを、改めて触れてまいりました。次回から大学芋を味わう際は、その一粒一粒に込められたストーリーを思い浮かべながらご賞味ください。
よくある質問
大学芋 作り方は?
大学芋は、日本の伝統的なおやつとして人気の高い料理です。その作り方は、さつまいもを主材料とし、甘じょっぱい味付けと独特の食感が特徴です。
大学芋の作り方をご紹介します。
まず、さつまいもを洗い、皮付きのまま乱切りにします。切ったさつまいもは水にさらして余分なでんぷんを取り除き、水気をキッチンペーパーでしっかりと拭き取ります。
次に、フライパンに油を熱し、さつまいもを入れて中火で揚げ焼きします。この時、竹串がスッと通るくらいまで火を通すのがポイントです。さつまいもがカリッとした食感になるまで、じっくりと調理します。
調味料として、砂糖、みりん、しょうゆを使用します。別のフライパンでこれらを混ぜ合わせ、中火で熱して飴状になるまで煮詰めます。ここに揚げたさつまいもを加え、全体にみつがからむようによく絡めます。
最後に、黒ごまをふりかけて完成です。外はカリッと、中はホクホクとした食感が楽しめる大学芋の出来上がりです。
電子レンジを使用する簡単な方法もあります。さつまいもをスティック状に切り、電子レンジで加熱した後、フライパンで軽く炒めて調味料を絡める方法です。この方法なら、油で揚げずに手軽に大学芋を作ることができます。
大学芋は、作り方によって様々な食感を楽しむことができます。カリカリ食感が好みの場合は油での揚げ時間を長くし、しっとりとした食感が好みの場合は短めに調整するなど、好みに合わせてアレンジできるのも魅力の一つです。