国産小麦とは - スイーツモール

国産小麦とは

国産小麦とは

日本で作られている穀物といえばお米ですが、近年国産小麦の需要も高まってきました。日本全国の農家が丹誠込めて育てた、日本ならではの「国産小麦」。この国産小麦が、私たちの食生活にどのように根付き、どのように美味しさを引き立ててくれるのかについて考えてみたいと思います。

国産小麦はわずか1割

"国産小麦が全体の1割に過ぎない"という事実は、日本の小麦の実情を露呈しています。多くの日本人が毎日、パンやうどん、ラーメンなどの小麦を含む食品を摂取している一方で、これらの製品に使用される小麦の大半は、残念ながら国外からの輸入品となっています。さらにその中には、遺伝子組み換え品や公害の影響を受けている可能性のある品種も含まれているかもしれません。

国内で生産される小麦は、輸入品と比較して価格が高くなりがちですが、その一方で品質や安全性に対する信頼性は圧倒的です。しかし、このように信頼性の高い国産小麦が全体の小麦量の1割しか占めていないという事実は、食糧安全への取り組みに対する新たな視点を提供してくれます。

食糧の安全性を確保するためには、国産小麦の生産促進に向けた政策の展開と、消費者の国産品選択意識の向上が必要となります。同時に、私たち一人一人が日々摂取する食物の原産地や生産過程について理解し、その品質を見極める意識の醸成が求められていると言えるでしょう。

農林水産省のデータによれば、日本での年間小麦供給量に占める輸入小麦と国産小麦の割合は、86%と14%となっており、大部分はアメリカ、カナダ、オーストラリアからの輸入小麦によって賄われています。

パン用小麦粉とは

国産小麦の代表的な品種の特徴

国産小麦の生産量上位5品種は次の通りです。

1位:きたほなみ

2位:ゆめちから

3位:さとのそら

4位:春よ恋

5位:シロガネコムギ

それぞれの特徴を見ていきましょう。

きたほなみは、2011年から本格的な生産が始まった新品種です。薄力粉や中力粉、また強力粉とのブレンドなど、多岐にわたる用途に使われます。その汎用性は、国産小麦の大量生産によるもので、便利さと生産量の相乗効果があります。

ゆめちからは、北海道で主に生産される強力粉用の小麦で、グルテンを多く含みます。そのため、パン作りに適しており、もちもち感のあるパンを作ることができます。

さとのそらは、農林61号の後継品種であり、主に埼玉県や千葉県で栽培されます。成熟が遅く、倒れにくく、病気にも強いという特徴があります。菓子作りに利用されることが一般的です。

春よ恋は、日本人好みのパン作りに適した小麦とされています。フワフワ感とモチモチ感を両立させ、甘味や旨味が強く味わい深いパンを作ることができます。

シロガネコムギは、関東から西で栽培される耐倒伏性が強い小麦で、製粉性に優れています。主に麺に加工されます。

国産小麦と輸入小麦の違い~メリットとデメリット

日本国内で栽培される小麦の大部分は北海道産で、その独自のモチモチとした食感と味わいが際立つ特徴を持っています。また、収穫から製粉、更にその後の加工までを全て国内で一貫して行っており、そのため安全性や品質管理にも一定の信頼性を保てています。しかしながら、国内産小麦の生産量はたいへん限られており、それが原因で価格が高めになることが常で、そこがやはり課題となります。

一方、輸入される小麦は主にアメリカ、カナダ、オーストラリアのものが多いです。これらは量産化され、価格も比較的安定しているため、大量に消費されるパンやパスタの材料としては適しています。しかしその一方で、生産国や製粉工程において日本の基準とズレがあることもあり、品質管理の面では国産小麦よりも困難が伴います。

以上のように、どんな小麦を選ぶかはコストや安全性、そして料理の目的により大きく変わります。多様な要望に対応できるよう、各種の小麦がもつ特性を理解し、それぞれのニーズに最適なものを選ぶことが求められるのです。

国産も輸入も、いずれの小麦も強力粉や中力粉、薄力粉を作ることが可能ですが、その中のグルテンというたんぱく質の量には大きな違いがあるのです。

これは原料となる小麦の種類によるもので、とりわけ国産小麦はそのグルテン含有量が少ないことがよく知られています。ここでいうグルテンとは、小麦に含まれる二種類のたんぱく質、グリアジンとグルテニンが水分と結合して生まれる、パンや麺類のモチモチとした食感を作り出す成分のことです。つまりグルテンは、小麦に含まれているわけではなく、水を加えてこねることによって初めて生まれるのです。

国産小麦はタンパク質が少なめで、それ故にこねた時のグルテンの生成量も比較的低めです。それに対し輸入小麦はタンパク質が多く、その結果として生み出されるグルテンの量も豊富です。このため、パン作りには輸入小麦がよく使われ、日本においてもその使用が主流となっています。

しかし、近年では"ゆめちから"や"春よ恋"などといったパン作りに向いた国産小麦品種の開発が進み、それによりボリューム感のある美味しいパンが作れるようになってきています。これからも小麦の選び方一つで、私たちの食生活は大きく変わっていくことでしょう。

国産小麦のこれから

小麦は現代の日本食文化の柱の一つですが、実にその大部分が海外からの輸入に頼っています。それにもかかわらず、最近の社会情勢の変化が結果として国産小麦の注目度を上げ、その可能性を浮き彫りにしています。

食の安全と信頼性への欲求が高まる一方、地産地消運動の拡大と消費者の食品に対するこだわりが高まっています。これらが結びつき、パンや蕎麦など特定の食品とのパートナーシップによる地域ブランド創出が進行中です。これにより、国産小麦の本質的価値が再評価され、新たな価値創造の範疇が拓かれつつあります。

しかし、国産小麦の増産には肥料の確保や病気対策、そして品質の均一性を確保する技術など、いくつかの課題がついてきます。また、価格競争力を維持するためには、大規模な生産体制への移行も不可欠です。

業界の取り組み次第では、日本人の食生活に欠かせないパンやパスタの材料が国産小麦に置き換えられるかもしれません。その施策が実現すれば、日本の土地の恵みを直接味わう、新時代の日本の食べ物文化が広がる可能性があると捉えられています。

まとめ

国産小麦が全体の1割に過ぎない現実は、日本の食糧供給の現状と課題を明らかにしています。輸入小麦に依存する一方で、国産小麦は品質や安全性に対する信頼性が高く、これを確保するためには生産促進の政策や消費者の意識向上が必要です。より安全で信頼できる食糧供給体制を築くためには、国産小麦の利用を促進し私たち一人ひとりが食材の原産地について考えることが大切です。