パン用小麦粉とは
パンを作る際、その品質を左右する重要な要素の一つが選ぶ小麦粉です。しかし、あまりに多くの種類が存在しているため、どの小麦粉を使うべきなのか迷ったことはありませんか?そこで今回は、パン作りに欠かせないこのパン用小麦粉について詳しく解説していきます。
小麦には硬質、軟質、中間質がある
小麦はもはや日本人の食生活に欠かすことのできない存在で、パスタや麺類、パンをはじめとした多様な食品の製作に活用されています。どの小麦がどの食材の製造に用いられているのでしょうか。
この違いを理解するためには、まず小麦の3つの主要なタイプを知る必要があります。それは硬質、軟質、そして中間質の小麦です。
硬質の小麦は粒の内部が硬く、これが高いグルテン形成能力を持つ原因となります。そのため、強力なグルテンが必要となるパスタやうどんの製作に選ばれます。
一方、軟質の小麦は粉状で柔らかく、それがグルテンの形成能力が低い原因となります。しかし、その特性のためにパンやケーキといった多様な製品の製作に幅広く利用され、大いに価値があります。
そして最後に、中間質の小麦はその名の通り、硬質と軟質の中間の特性を持ちます。これはパンや中華麺、そば等、幅広い食品の製作に適しています。
日本で消費される小麦の大部分は外国産で、特にアメリカ、カナダ、オーストラリアからの輸入が中心です。パン用小麦としては、「カナダ・ウエスタン・レッド・スプリング」やアメリカの「ハード・レッド・スプリング」等、たんぱく含有量が高くグルテンの力が強い北米産の硬質小麦が主流です。
一方、日本国内で栽培される小麦は、中間質と軟質が中心でしたが、最近では「春よ恋」「ゆめちから」等の新品種が登場し、製パンに適した硬質小麦の割合も増えています。
強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉の違いとは?
日本で一般的に知られている「強力粉」「準強力粉」「中力粉」「薄力粉」は、それぞれ微妙な違いがあります。
「強力粉」にはたんぱく質がたっぷり含まれています。そのため、グルテンという成分が豊富に作れるのです。これがパンの旨みを引き立て、モチモチとした食感を生み出すのです。
「準強力粉」は適度な硬さとほどよいサクサク感が魅力で、ラスクやビスケットに好適です。
日本で最も普及している「中力粉」は、たんぱく質が強力粉より少なく薄力粉より多いのが特徴です。ふわっと軽い食感のパンや中華まんに最高のパフォーマンスを発揮します。
そして、「薄力粉」は、たんぱく質が少なめで、あまりグルテンを生み出さないため、さくっとした食感が得られます。ケーキやクッキー、パイ生地といったお菓子作りにピッタリです。
これら4種の違いは、どれだけたんぱく質が含まれているか、そしてそれによって生まれる食感の違いを基にしています。粉の特質を理解し、それぞれのレシピに最適な粉を選びましょう。
とはいえ、日本には小麦粉に対する公的な規格が存在せず、たんぱく含有量による分類はあくまで一般的な慣例に過ぎません。最近では、製粉会社が「パン用」「フランスパン用」「めん用」「菓子用」というように、用途による分類法を採用する傾向にあります。
これは小麦粉の種類が多様化し、たんぱく質含有量だけではその特性をきちんと伝えることが難しくなってきたからです。「フランスパン用粉」や「中華麺用粉」など、特定の用途に合わせて調整された粉は、その成分や品質が異なります。
よく見かける「パン用粉」や「フランスパン用粉」という表記は、用途に応じた製品を選びやすくするため、また性質が異なる粉を一括りにしないための工夫と言えます。これらを理解し、日々の料理やお菓子作りに活かしましょう。
まとめ
パンを作る際、その品質を左右する重要な要素の一つが選ぶ小麦粉です。小麦粉にはいくつか種類があります。次回パンを作る際は是非ご参考になさってください。