良質な甘夏を選ぶ際には、ヘタの状態や果実の重さ、果皮の張り具合が重要なポイントです。まず、ヘタがしっかりしていて枯れていないものが新鮮な証拠です。また、手に取ったときに重みがあると、果肉が充実しており果汁も豊富である可能性が高いでしょう。甘夏の果皮にはシミや傷が見られることもありますが、これは見た目だけの問題で味にはほとんど影響しません。表面がつややかで張りがあると、果実の内側も新鮮なことが多いです。こうしたポイントに気を配りながら甘夏を選ぶと、購入後も長くおいしく楽しむことができるでしょう。

甘夏は比較的日持ちのする柑橘類で、保存方法次第で新鮮な状態が維持されます。基本的には、日の当たらない冷暗所で保存することが理想です。特に直射日光が当たる場所は避け、涼しく風通しの良い場所を選びましょう。保存期間は1〜2週間程度を目安にし、それ以上保存する場合は温度管理に気をつける必要があります。もし酸味が強くて食べにくいと感じる場合は、数日置いておくと酸味が和らぎ、甘みが増して食べやすくなることがあります。

甘夏は皮が厚いため、手でむくのは少し手間がかかります。皮に浅くナイフで切り込みを入れてからむくとスムーズです。また、じょうのう膜（薄皮）が厚く苦味があるため、果肉だけを取り出して食べるのが一般的です。甘夏は種が多いことが特徴ですが、適度な酸味があるため、ジャムやマーマレードにすると独特のさわやかな味わいを楽しめます。その他、甘夏ゼリーやシロップ漬け、ケーキのトッピングとしても活用でき、デザートやお菓子作りにも重宝されます。こうしたアレンジで、甘夏の豊かな風味を多彩に楽しむことができます。

甘夏の派生品種として、「新甘夏」や「紅甘夏」があります。新甘夏は、甘夏よりも甘みが強く、地域ごとに異なる名称で親しまれています。例えば、愛媛県では「サンフルーツ」、静岡県では「ニューセブン」、和歌山県では「田の浦オレンジ」という名で流通しています。また、紅甘夏は果皮が鮮やかなオレンジ色をしており、見た目も楽しめる品種です。さらに、甘夏と文旦を掛け合わせた「スルガエレガント」も存在し、それぞれ異なる個性を持った甘夏のバリエーションが市場に出回っています。

甘夏の旬は、一般的に1月から6月頃とされています。冬の寒い時期に出回り始め、春を迎える頃にはピークを迎えます。

ぜひ旬の果物を味わってみて下さい。

甘夏の食感と味わいは、一度味わうと忘れられません。そのまま手で剥いて食べたり、トッピングしたりと、調理法にも自由度があります。四季折々の食材に囲まれる日本で、今こそ甘夏の季節を満喫しましょう。甘夏を通じて日本の美味しさを再確認し、その味わいを世界に広めていきましょう。