日本国内でのメロン生産は茨城県、熊本県、北海道が代表的な地域で、この3県が日本全体の収穫量の半数以上を占めています。特に茨城県は、24年連続で生産量が全国一位で、2021年には約36,500トンの収穫量を誇りました。熊本県も25,400トンと全国2位、北海道は20,400トンで、涼しい気候と昼夜の温度差が大きく、メロン栽培に適した環境を持っています。また、水はけのよい土壌もメロン栽培に重要な要素で、各地域でさまざまな品種が育てられています。各地の産地独自のメロンブランドや品種が市場に並び、異なる風味と食感が楽しめるため、地域ごとのメロンを味わう楽しみもあります。

茨城県は、日本一のメロン生産地として知られ、数多くの品種を栽培しています。旬は5月から7月にかけてで、特に6月が最盛期です。代表的な品種に「イバラキング」があり、10年以上の開発を経て茨城を代表するメロンとして生まれました。なめらかな舌触りと上品な香りが特徴で、ジューシーな味わいが広がります。早出し品種の「オトメ」は4月頃から収穫が始まり、淡い薄緑色の果肉が瑞々しく、濃厚な甘さと後味のさっぱりとした味わいが人気です。さらに、「なだろうレッド」は希少な赤肉メロンで、クセの少ない甘みと果汁が豊富な特徴を持ち、鉾田市で限定的に生産されることからも高く評価されています。

熊本県はメロンの全国生産量で2位を誇り、多種多様なメロンが栽培されています。熊本独自の「肥後グリーン」は、濃厚な甘さと清涼感のある香りが特徴で、果肉がしっかりしていて食べ応えがあります。さらに、「オレンジハート」はJA熊本うきで生産されるブランドメロンで、濃いオレンジ色の果肉が際立ち、滑らかな舌触りと強い甘みが楽しめる一品です。また「ホームランメロン」は白肉種で、ノーネット系のため見た目が特徴的で、爽やかな上品な甘さが魅力です。熊本県では4月から収穫が始まり、5月から6月が最も旬の時期です。地域ごとにさまざまな品種が出回るため、食べ比べる楽しみがあります。

北海道では、涼しい気候と豊富な日照、昼夜の寒暖差といった条件を活かして多くのメロンが生産され、7月から8月にかけてが旬です。「夕張メロン」は赤肉メロンの代表格で、濃厚な甘みと滑らかな食感が特徴で、多くのファンがいます。富良野地方で栽培される「ふらのメロン」は、盆地ならではの寒暖差が甘さを引き出し、果肉がしっかりしていて糖度が高いのが特徴です。また、「らいでんメロン」はJAきょうわが手がける高級メロンで、赤肉種と青肉種からなる5種類の品種があり、芳醇な香りと濃厚な甘さで贈答品としても人気です。北海道の豊かな自然環境が育んだメロンは全国的にも注目されています。

美味しいメロンを選ぶには、形、重さ、果皮の状態がポイントです。まず、形が均等で、きれいな丸みを持つものが良質とされています。持ち上げた際にずっしりとした重みを感じられるものは果肉がしっかり詰まっていて、甘さが凝縮されています。果皮については、ネット系メロンは網目がしっかりと盛り上がったものが、ノーネット系メロンはスジや斑点がなく滑らかな表面のものを選ぶと良いでしょう。さらに、メロンの品種によって甘みや香りの強さが異なるため、食べたい用途や好みに合わせて選ぶことがポイントです。

メロンが完熟しているかどうかを確認するには、香りと底部の弾力が目安となります。熟したメロンは甘い香りが強くなり、底の部分が軽く押すと少しへこむ程度の弾力が出てきます。また、ネット系のメロンは熟すと果皮の色が黄色みを帯びることもあり、見た目でも判断が可能です。ツル付きのメロンはツルがしなびてきたタイミングが食べ頃のサインです。まだ熟していない場合は涼しい場所で追熟させると甘みが増します。食べる直前に冷蔵庫で冷やすと、甘みと香りがさらに引き立ち、爽やかな風味を楽しめます。

夏はメロンの美味しさを堪能する最適な時期です。甘さと香りにこだわった選び方、食べ方によって、その魅力は一層深まります。洋風から和風まで、メロンを使った様々なレシピに挑戦しながら、新たな味の発見もお楽しみいただけます。鮮やかな色彩、心地よい甘さと爽やかさ、「旬」のメロンで暑い夏も一気に爽快なものへと変わります。今年の夏は、格別なメロンと共に過ごす贅沢な時間をお過ごしください。