水飴とは - スイーツモール

水飴とは

水飴とは

日本の古来から伝わる文化の中で、食文化は特にその多様性と深みにおいて世界中から注目されています。そんな日本食の中で、主役ではないものの、その存在なくしては多くの伝統的な和菓子や料理を語ることができない重要な食材が存在します。それが「水飴」です。あまり表舞台には出ないかもしれませんが、その存在がもたらす効果や風味は計り知れず、料理人や和菓子職人から絶大な支持を受けています。今回は、そんな水飴についてその歴史、使われ方、作り方について詳しく解説します。

水飴ってどんなもの?

水飴とは、その名前が示す通り透明で粘性のある液体状の食品で、その原材料は様々な植物のデンプンです。これは酸や酵素によって糖化された状態で、具体的には、サツマイモ、ジャガイモ、トウモロコシ、米などから抽出されています。糖化とは、数千個のブドウ糖分子から構成されるデンプンを分解し、独立したブドウ糖や麦芽糖といった「糖」に変換する過程のことを指します。

その結果得られる水飴は、ブドウ糖や麦芽糖に加えて、デキストリンを含んでいます。そのため、糖が結晶化し固まることなく、とろりとした液体状を保つことが可能となるのです。

水飴は日本料理において重要な役割を果たしており、その利用範囲は広範囲にわたります。主に甘さを加えることに使われますが、色を引き立てたり良い焼き色をつけるためにも使用されます。また、そのやさしい甘さは、コクと深みを増す効果も持ち、日本の和菓子や伝統料理には不可欠な存在となっています。

このように見えて単純な水飴ですが、それぞれの食材の個性を引き立てつつバランスを保つ効果を持つ、日本の繊細な菓子や料理の製作には欠かせない素材と言えるでしょう。
水飴とは

水飴の昔ながらの製法

""水飴の古来の製造法""はというと、時間と手間を惜しみなく注いで丁寧に作られるものです。この中には、日本の伝統と誠意が一滴一滴に込められます。この製造法では、主として上質なもち米が用いられます。水でふやかしたもち米を蒸すという手順には、単に米の甘さを引き出すだけでなく、水飴の滑らかな口当たりを生む目的があります。その蒸したもち米に麹菌を加え、糖分をじっくりと引き出します。そして、これを何回となく繰り返すことで、特別な状況下でじっくりと発酵させます。その結果、特別な甘さと独特の風味が生まれます。

その後、形状を整えて乾燥させると、水飴の完成です。この昔から続く製造法は、現代の大量生産工程とは異なり、その手捏ねの極致が伝統的な風味を引き立てます。水飴の製法は非常にシンプルですが、丹念な手間をかけて作ることによって絶妙な甘さ、特有の風味、そして滑らかな食感が生まれます。こうして、私たちが口にする一滴一滴の水飴には、伝統的な製法と製造者の意識と熱意が込められています。これが水飴の古来の製法の魅力であり、なお今日に至るまで我々に受け継がれている価値の一つです。

現代の製法にはデンプンを酸分で分解し、糖化させる方法も存在しますが、酵素を使った古術も今日まで行われています。江戸時代の水飴の製造法は、最初にもち米を軟らかく炊き、それを冷まします。その後、水又は湯と「発芽した大麦」を加えて、一晩温かく保ちます。大麦が発芽する時に自分自身の種に含まれるデンプンを分解する酵素を発生させ、デンプンを糖に変え、その糖のエネルギーで芽を伸ばします。大麦が酵素を出している状態で、もち米と混ぜることにより、もち米のデンプンが大麦の酵素により分解され、糖に変化します。

一晩暖かく保った翌日に、布袋に入れて絞ると甘い液体が得られます。それを煮詰めて水分を減らし、こね上げると、水飴が出来上がります。
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水飴の歴史

「水飴」とは、高い栄養価を持つ日本発祥の古代甘味料で、最初は薬として使われていました。史書『日本書記』には神武天皇が神に向けて「水無しに飴を造らむ」との祈りが記されており、8世紀初頭の奈良時代にはすでに水飴の製造方法が知られていたことを示しています。

10世紀初頭に作られた漢和辞書『倭名類聚抄』には「飴は米のもやしからつくる」「オコシは炒った米を蜜(水飴)とまぜてつくる」とあり、平安時代にはすでに水飴を活用した菓子が作られていたことが伺えます。

さらに室町時代には水飴を営業用品とする商人たちが出現しました。彼らは簡単に作れる水飴を庶民向けの甘味として広め、桶に入れた液状の水飴や、「おこし」のようにお米に水飴を絡めた菓子を販売しました。

とりわけ江戸時代には目立つ衣装を身にまとい、「唐人飴売り」と呼ばれる者たちが笛を吹きながら町を歩き、水飴を売る姿が見られました。このように、当時から水飴は商品性と楽しさを両立した一般的な甘味料として広く愛されていたと言えます。

現代でもその甘さと自然な艶を活かし、みたらし団子やあんこなどの和菓子、お雑煮や煮物、餅などの和食に用いられる水飴は、栄養価が高く、体に負担をかけず、自然と健康を尊重する現代の食生活に欠かせない存在となっています。その古代からの伝統と未来への可能性に溢れているのが、この水飴という甘味料なのです。

水飴とは?まとめ

とてもユニークな、クリーミーな甘さが特徴の水飴。その独特な甘みは、どんな料理にも柔らかく溶け込む甘さと滑らかな食感を提供します。焼き菓子には、砂糖のように気軽に使え、且つしっとりとした食感と深い甘みを表示するために使われます。砂糖よりは少し甘さが弱いので、料理の甘みを調整するために使われます。

さらに、食べ物の本当の風味を引き立てる力も持っています。餃子や焼肉のタレ、生姜焼きなど、日本料理の中でも特徴的な風味を持つ料理に対しても、この水飴は大きな力を発揮します。特に和菓子には欠かせない存在で、その食感と口溶けを美味しく演出します。

しかし、その中でも、カロリーが高いのが欠点。糖質制限ダイエットをしている方にとっては、少々困った存在かもしれません。

だからこそ、この多機能な水飴は、料理の要所で使われることで、多種多様な味わいを生み出すことができます。強い甘さはなく、食材の真の風味を引き立てるという特性は、まさに日本の料理人たちの秘めたる技とも言えるでしょう。

というわけで、水飴は甘さを控えめに、そしてなめらかな食感を生み出す甘味料で、食材の風味を引き立て、そして料理の甘みを適度に調整する効果もあります。ただし、カロリーが高い点には注意が必要です。万が一の場合でも、古代から受け継がれた伝統的な甘味料、水飴を味わう際には笑顔を忘れずにどうぞ。
水飴とは

まとめ


日本が世界に誇るユニークな甘味料、その名も「水飴」。水飴は、お菓子や料理で欠かせない存在となっています。一見地味な水飴に秘められた日本料理の魔術の一端を理解し、日本食の美味しさをさらに堪能するための一助として本稿をお楽しみください。