メープルとは
メープルシロップは、カエデの樹液を濃縮して作られる自然な甘味料で、その豊かな風味と独特の甘さで多くの人々に愛されています。特にカナダ産のサトウカエデから採取されるシロップは、世界の生産量の大部分を占めており、パンケーキやワッフルのトッピングとしてだけでなく、料理やデザートの隠し味としても幅広く利用されています。この記事では、メープルシロップの特徴や製造過程、その魅力について探っていきます。
メープルとは
メープルシロップとは
メープルシロップはカエデの仲間の樹木から取れる樹液を濃縮したもので、世界の生産量の約80%はカナダ産です。主にサトウカエデ(Acer saccharum)から採取され、その樹液は「メープルウォーター」と呼ばれます。メープルウォーターは糖度が約3%ですが、1本の木から40〜80リットル採取できます。このメープルウォーターを煮詰めて水分を飛ばすことで、糖度が高くなりメープルシロップが作られます。日本産のメープルシロップはイタヤカエデやオオモミジ、ウリハダカエデなどから採取されますが、サトウカエデに比べて糖度は低いです。
カエデはなぜ甘い?
カエデがメープルシロップに含まれる糖を生産する理由は、秋にデンプンを多く蓄え、冬期にそのデンプンを糖に変えることで細胞内の糖度を上げ、細胞が凍らないようにするためです。通常、水は0度以下になると凍りますが、水分中の糖の量が多いほど、凍る温度が下がります。植物の細胞内で水が凍ると細胞が傷つき、植物は死んでしまうため、糖度を高めることが重要です。ダイコンやホウレンソウなども、気温が低い時期に甘くなります。
どうしてメープルシロップは、春にしか取れないの?
春が到来すると日本で注目される「液体の金」と言われるメープルシロップ。ちょうど春の訪れと同時に、短い期間だけ収穫が可能となるのですが、その理由は何だと思いますか?
メープルシロップの原料は、植物の細胞から滲み出た液体ではなく、導管を流れる液体だからです。サトウカエデは雪解けの頃に毛細管現象や浸透圧を利用して地面から水を吸い上げます。メープルウォーターは樹木にドリルで開けた穴から出てくる導管内の樹液です。暖かくなり樹木が活動を再開すると、糖が消費され、導管内の糖が減少し、根圧も低下します。そのため、メープルシロップの原料の採集は早春にのみ行われます。
春限定の美饌、メープルシロップが採取できるのは、季節の変化とカエデの生物学的な周期が密接に結びついているからなのです。この贅沢な味わいを是非、春の訪れと共に満喫してみてください。
まとめ
メープルシロップは、カエデから採取される自然の甘味料として、その独特の風味や栄養価の高さから多くの人々に親しまれています。春の訪れと共に収穫される樹液は、特別な製造過程を経て、濃厚で甘美なシロップへと変わります。料理やデザートに活用されることで、さまざまな食文化に彩りを加えるメープルシロップの魅力は、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。