みかん 種類
みかんは、私たちの身近な果物の一つでありながら、その種類と特性は意外にも多岐にわたります。あなたがスーパーマーケットの棚で遭遇するみかんが、一体何種類あるかご存知ですか?また、それぞれがどのような特性を備え、どのような風味を持っているのか、理解していますか?今回は、その豊富なみかんの種類を詳しく探ってみましょう。それぞれのみかんの系譜を知り、育てられる地域や風味の違いを体験することで、より深くみかんを味わうことができます。それでは、みかんの世界へ一緒に旅立ちましょう。
みかんの種類は日本だけでも80種以上
みかんを含む柑橘類は、その鮮やかな色と豊富な種類で世界中で親しまれており、その品種の多さは驚くべきものです。日本でも、とりわけ西日本を中心に多種多様なみかんが育てられています。もはや一言で「みかん」と言うだけでは、その多様性を表しきれません。
日本だけでみると、実は80を超えるみかんの種類が存在しています。人気の「温州みかん」や、「はるみ」、「不知火」など、それぞれ異なる風味や色合い、果皮の特徴を持っています。また、見た目や食感もさまざまで、丸いものから平たいもの、小粒の「金柑」や皮が厚い「柚子」もあります。
これらのみかんは、日本の風土と技術、そして長い時間を経て育ち、さまざまな味や特長を持つものとなりました。それぞれのみかんが、日本の果物文化の豊かさを現在に伝えています。日本のみかんの多様性を知れば知るほど、その魅力が深まることでしょう。
そこで、みかんをより楽しむために、現在注目の10種類のみかんをご紹介しましょう。贈り物としても人気の品種から、毎日の食卓を彩る美味しいものまで、日本のみかんの幅広さを感じてください。これらの中から自分好みのみかんを見つけて、このシーズンは特別なみかんを楽しんでみてはいかがでしょうか。
みかんの主な種類1.せとか
せとかの全貌
せとかは2001年に誕生し、その親となった「清見」と「アンコール」も和果の中では知られた品種です。せとかの特徴はその薄皮で、傷つかないように注意深く栽培されています。現在では愛媛県で最も多くの栽培が行われており、糖度が高く、外皮に傷のないせとかは高級和果として知られ、その価格もそれに見合ったものになっています。
名前の由来と背景
せとかは元々長崎県で育成されたみかんの品種です。その育成地から見える瀬戸早崎という景色から「せとか」と命名されました。また、地域特性とその豊かな香りから、名前は「瀬戸(せと)」と「香」を組み合わせた「せとか」になったとも言われています。四国地方が原産地となっており、現在では全国で栽培されています。
せとかの美味しさ
見た目からすぐにわかるように、果汁が多いのがせとかの一番の特徴です。この果汁量は他のオレンジ類と変わらず、その濃さからスイーツの材料としてもよく使われています。また、みかんの房を包むじょうのう膜も非常に薄くてやわらかいため、そのまま食べても違和感を感じません。果肉が大きく、繊維が少ないため、とても食べやすいことも特徴です。これら全てが組み合わさって、いつもより少し特別なみかんの体験を提供してくれます。
みかんの主な種類2.天草
天草'という名の由来
天草(あまくさ)と名付けられたこのミカンは、興津早生みかんと清見タンゴールを交配し、1995年に新たな品種として誕生しました。果樹試験場から展望できる天草半島の風景を象徴するかのように呼ばれています。また、天草の一部には大分県で栽培されているプレミアムブランドみかん「美娘(みこ)」も含まれています。"美娘"という名前は、大分弁で初々しさを持つ生娘を指す"びこ"という言葉から派生し、その名が付けられました。
鹿児島の誇る「天草」の味
天草ミカンは、ジューシーかつ甘み溢れる果汁が特徴です。その果肉は極めて柔らかい上に、果皮はきめ細かで、絹のような薄さが魅力です。これらの特徴は、ナイフで小房に切り分けることで最大限に楽しむことができます。口の中で溢れ出す果汁にはリッチな甘さが広がり、その食べ応えのある味わいは圧倒的です。
この天草ミカンは、プリミアムな品種として、特に冬季の季節の贈り物として最適であり、また、見た目の豪華さからもその高級感は伝わってきます。豊かな自然と絶え間ない努力が生んだ天草は、まさしく鹿児島県が誇る一品です。
みかんの主な種類3.せとみ
「せとみ」は、日本全国的に愛されているみかんの品種の一つで、その人気の秘密は巨大さにあります。ほとんどのみかんがゴルフボールやテニスボール程度の大きさであるのに対し、「せとみ」はそれを大きく超え、中には直径が10cmを越えるものも存在します。この大きさだけでも満足感が得られるでしょう。
その大きさとともに、「せとみ」が提供する風味も絶品です。甘みが強く、口に入れた瞬間にその甘さが広がります。特に、高い糖度と豊富な果汁(ジューシーな食感をもたらす)が「せとみ」の風味を一層引き立てています。
そして、その大きさと美味しさを手軽に楽しむことができるのも「せとみ」の魅力です。皮が薄くて剥きやすいため、年齢問わず誰でも簡単に満喫できます。
メインの生産地は福岡県と佐賀県で、特に福岡県築上町は「せとみの里」であり、「せとみ」が築いた名声を全国に広めています。
大きなサイズ、強い甘み、魅力的な風味、そして手軽に楽しめる便利さ – これら全てを兼ね備えた「せとみ」は、ぜひ試してみる価値のある一品です。
みかんの主な種類4.伊予柑
伊予柑の特徴と魅力
日本生まれの果物、伊予柑。この果物は、愛媛県を代表する名産品として知られていますが、実はその起源は山口県萩市とされています。そこで初めて見つかったこのみかんは、「穴門(あなと)みかん」と呼ばれ、その後愛媛県で大々的に生産されるようになりました。生産地の名を冠した「伊予柑」として、今では全国的にその名を馳せています。
なかでも、愛媛県独自の品種「弥生紅(やよいべに)」は、約2か月の熟成期間を経てから出荷される、特別な存在です。一般的な伊予柑よりも価格は高めですが、その高級感溢れる味わいは、多くの人々を惹きつけてやみません。
伊予柑の一番の魅力は、その味わいにあります。皮はやや厚いものの、手で簡単に剥くことができるのが特徴です。中身は柔らかで甘みがあり、ビタミンCも豊富。ただし、最近の品種改良では甘さを重視する傾向が見られますが、伊予柑は適度な酸味があり、一つ食べても飽きることなく、何個でも続けて食べることができます。
ただし、収穫後は長期間の保存には向かないのが伊予柑の性質です。時間とともに果肉がパサパサになってしまうこともあるため、購入後は早めに召し上がることをお勧めします。
以上の特徴から、伊予柑は私たち日本人にとって大切なフルーツの一つとして、多くの食卓を彩り続けています。これからもその地位は揺るぎないでしょう。
みかんの主な種類5.紅まどんな
「紅まどんな」の魅力と味わい
上のリンクから楽天の商品ページに移動できます。紅まどんなは、愛媛県オリジナルの品種として2005年に耕された、'南香'と'天草'の交配種のみかんです。市場では「媛まどんな」や「瀬戸のまどんな」など、JAを通さない直販サービスを利用して名付けられています。
これらはどれも高級なみかんとして評判で、価格も通常のみかんより割高であり、1個が1,000円近くの価格で取引されるケースもあります。
名前の由来
夏目漱石の小説『坊っちゃん』に由来するその名前は、物語の舞台である愛媛県と、登場人物のマドンナにちなんで名付けられました。
紅まどんなの風味と食べ方
点心のようなみかんとして知られる紅まどんなは、画像からもみかんの通常の微粒感よりもその滑らかさが優れていることがわかります。
細い上皮は、果皮をむいて普通のみかんのように食べてもいいですし、オレンジをスライスするようにカットして食べることもおすすめです。このジューシーで甘い紅まどんなを存分に味わうためにも、購入後は早めにお楽しみいただくことをおすすめします。
みかんの主な種類6.デコポン
デコポン:風味と特徴
デコポンはその大きさと手頃な価格、そして何よりその独特な甘さで知られる、日本で非常に人気のあるみかんの一種です。このフルーツは1972年に誕生した、魅力的な“清見”と“中野3号ポンカン”の交配品種です。長崎県の不知火地方でその生産が手がけられたことから、「不知火(しらぬい/しらぬひ)」とも呼ばれています。
このフルーツの名前、“デコポン”は登録商標で、日本園芸農業協同組合連合会(日園連)およびそのメンバーであるJAが使用することが許されています。デコポンを生産しているがこれらの協同組合に所属していないみかん農家は、商品として「不知火」と名付けて出荷しています。
デコポンの由来
デコポンという名前の由来は2つあります。その一つは、フルーツの山形の頂部が凸凹していることからの「凸」、つまり“デコ”。そしてもう一つは、このフルーツがポンカンを元に作られたことから来ています。
デコポンの風味
デコポンは果皮が厚いフルーツですが、果肉を覆う被膜は薄いため、きれいに皮をむけばそのまま食べることができます。一度噛むと、果汁がたっぷりと口の中に広がる感覚が楽しいフルーツです。その豊潤な甘さと思わず笑みがこぼれるほどのジューシーさが特徴で、ほとんど酸味は感じられません。
デコポンとして出荷する基準は、糖度が13度以上で、酸味の指標であるクエン酸が1%以下であることです。したがって、より甘いみかんを求めている場合、「不知火」として販売されているものより、「デコポン」として販売されているものを選ぶと、その甘さをたっぷりと味わうことができるでしょう。
みかんの主な種類7.清見
「清見」の覇者とも称される特性
清見は、その驚くほど大きな大きさと卓越した甘さから"みかんの王様"とも称される品種で、日本の柑橕市場を牽引する重要な存在です。「宮内早生温州」と「トロビタオレンジ」の交配により1979年に誕生しました。主な生産地は愛媛県と和歌山県で、日本全体の生産量の約80%を占めています。
特筆すべきはその驚異的な大きさだけでなく、その味わいです。清見は果肉が肉厚でジューシー、その甘味は他のみかん類を圧倒する深みと豊かさを持っています。その甘さは一度食べれば忘れられないほどで、余韻まで続きます。そのため、デザートだけでなく料理にも幅広く利用されています。
さらに、清見は厚い皮をしているため、手で簡単に剥くことが可能です。これは、現代の忙しい人々にとって手軽に楽しむことができるという大きな魅力です。
主な販売期間は冬場ですが、適切な保管方法であれば春先まで楽しむことができます。清見みかんによって暖まる心と体。その旬の時期にぜひ体験してみてはいかがでしょうか。
みかんの主な種類8.日向夏
注目の柑橘「日向夏」について
主に宮崎県で栽培される、日本独自のみかん種、それが日向夏です。実はその起源は柚子の変異種と推測され、約200年前の1820年に真方氏の家の庭で見つかった場所が始まりです。他の多くの名称、「ニューサマーオレンジ」や「小夏」などの愛称でも知られていますが、そのユニークな特徴からみかんの仲間でありながら全く別個の品種として広まり、多くの人々から支持を得ています。
名称の起源
見つけた場所が宮崎県(旧日向地方)であり、その収穫のピークが夏季な為、「日向夏」と名付けられました。「小夏」は意味合いとして「小さな夏のみかん」を表現しています。
日向夏の風味
日向夏の皮を剥いた時、白い綿状の部分(アルベド)が見えることが多いです。これを意図的に残し、果肉と一緒に食べるのが一般的な食べ方となっています。酸味を強く持つ日向夏ですが、アルベドには微かな甘みが含まれており、それが酸味を引き立てるバランスの良い味わいを生み出します。
みかんの主な種類9.甘平
甘平の魅力
甘平(かんぺい)は、和歌山県が誇るブランドみかんで、「西之香」と「不知火」の交配により生まれ、2007年に新たな品種として認定されました。生産量が少なく流通量も不安定なため、一般的なみかんと比べて高価である事が特徴的で、一個500円程度の価格設定となっています。
名前の由来
その名前、「甘平」は、深い甘みが特徴的なみかんであることと、扁平な形状を持っていることから命名されました。
甘平の風味
糖度はシュークリーム以上と言われている甘平は、非常にジューシーな甘さを感じます。粒がしっとりとやわらかく、ゼリーのような風味とも評されることがあります。また、見た目にも美しい明るい橙色の皮は薄く、皮が剥きやすいこともポイントです。膜もきれいに剥ぎ取ることができるため、食べやすさも特徴です。しかし、その真骨頂は、一度食べたら忘れられない、ほどよい酸味と深い甘み、そして豊かな香りです。
みかんの主な種類10.晩白柚
晩白柚の魅力と特性
晩白柚(バンペイユ)は、もともとマレーシア半島を原産地とする柑橘類の一種で、世界最大級のミカンとも言われ、3㎏以上の重量に達するものも存在します。その存在が日本に紹介されたのは、1920年頃に熊本県の植物研究者がベトナムから持ち帰り広めた結果とされています。日持ちが良いため、現在では日本全国で手に入るようになりました。
命名の背後にある物語
晩白柚という名称は、台湾の「白柚」がルーツとされています。白柚は内部が白色のミカンで、その完熟までに時間がかかることから「晩成」という言葉と共鳴し、晩白柚と名付けられました。
晩白柚の風味
晩白柚は果実が大きいですが、その大部分は果皮が占めており、食べられる部分は思ったよりも少ないです。しかし、その独特な色合いからは酸味を予想されがちですが、実際には甘さが十分にあり、糖度は12以上にも達します。さらに、ほんのりとした爽やかさも感じられます。ただ、果皮が非常に厚いので、食べるのには少し労力が必要かもしれません。
まとめ
みかんの種類は多岐にわたり、個々の特性や風味はその産地や育てられた環境によって変化します。酸味や甘味、果肉の食感、果皮の色、そして香り。あなたが次にみかんを手にする時は、その味わいがどの種類から生まれたものなのか詳しく知ることで、一粒一粒をより深く味わうことができるでしょう。また、これらの知識があれば、旬の時期を逃さず最高の味を楽しむことも可能になります。