山形県などでは、ラフランスの美味しさを最適な状態で届けるため、収穫開始日が「解禁日」として設定されています。この解禁日は、果実の成熟具合を細かくチェックし、最も美味しい状態で収穫できる時期を見極めるためのものです。解禁日を定める際には、果実に含まれるでんぷんの量が大きな指標となり、最適な糖度と風味を引き出すために計画されています。また、解禁日が決まるにあたり、台風や天候の影響も考慮されます。山形県の果物農家たちは、収穫のタイミングを慎重に見極め、消費者にベストな状態のラフランスを届けることにこだわっています。

ラフランスの収穫時期である10月は、東北地方に台風が接近しやすい時期でもあります。ラフランスは軸が短く、硬く折れやすいため、台風の強風によって果実が落ちてしまうことが懸念されています。特に収穫直前のラフランスは果実が大きく重くなっているため、風の影響を受けやすく、落果するリスクが増します。このため、台風が接近すると果樹園では収穫を急ぐか、落果を防ぐための対策を講じることが求められます。一度落ちたラフランスは販売できないため、台風の被害から果実を守ることは農家にとって大変重要です。ラフランスが風に弱いという特徴から、台風の動向には常に注意を払う必要があります。

「予冷」とは、収穫したラフランスを低温で一時的に保存することで、果実の呼吸を抑え、品質を安定させるための方法です。予冷によって保存されたラフランスを常温に戻すと、呼吸が活発化し、果肉中のでんぷんが糖分に変化して甘みが増します。このプロセスを経て、食べごろになるのは予冷から約2週間後です。予冷期間には冷蔵庫内での保存が約2週間、その後の常温での熟成に1週間ほどかかり、さらに出荷・輸送の期間も含めると、ラフランスの旬が11月ごろになるのが一般的です。このような手間をかけた予冷と追熟の工程により、ラフランスはその豊かな風味と甘みが引き出されるのです。

ラフランスは10月中旬から12月が旬で最も美味しい時期です。食べ頃は表面が黄色くなり、指で軽く押してみて少し柔らかさを感じたら適温です。旬のラフランスを味わいつくすためには、その見極め方や保管方法も重要です。