きんかんは、ミカンに比べて小ぶりながらも、爽やかな香りと上品な甘酸っぱさが人気の理由となっている冬の味覚です。中国南部が原産地とされますが、日本では古くから栽培されてきました。温暖な九州を中心に全国各地で生産されており、11月から3月にかけて旬を迎えます。

正月の果物としても欠かせない存在であるきんかんは、生で食べるほか、デザートやお菓子の材料にも重宝されています。飲料やジャム、マーマレードなどに加工されるだけでなく、皮を乾燥させて和菓子の香り付けにも使われてきました。伝統的な和のくらしに欠かせない果実であり、近年では栄養価の高さから健康食品としても注目を集めています。寒い季節を彩る代表的な味覚として、きんかんの人気は今後も変わらずに続いていくことでしょう。

ここでは、きんかんの楽しみ方をご紹介します。

きんかんは、生で食べるのが一般的な食べ方です。皮を剥いて一つずつ実を口に運びます。ただし、種には渋みがあるので避けましょう。皮ごと食べられますが、より風味豊かに楽しめるのは皮を剥いて食べる方法です。香り高い果肉の甘酸っぱさを存分に味わえます。

デザートにも最適です。フルーツサラダやケーキ、ジャムに加えると、さわやかな香りと適度な酸味が素晴らしいアクセントになります。リキュールとしても人気があり、甘酸っぱい味わいを楽しめます。

12月から3月が旬で、この時期に新鮮なきんかんを手に入れられます。ビタミンCが豊富なので、風邪予防にもなる健康的な果物です。一つずつ丁寧に味わうのはもちろん、デザートなどでアレンジを加えるのもおすすめです。

きんかんの甘露煮は、上品な香りと味わいが魅力の伝統的な保存食です。まずは新鮮なきんかんを丁寧に皮をむき、一口サイズに切ります。汲み置きでしつこい苦みを除去し、最後に同量の砂糖を加えて甘露煮に仕上げます。このじっくりと手間暇をかけた作り方に、素材への愛情と丁寧な心がうかがえます。

柔らかく上品な味わいは、デザートはもちろん、お料理の隠し味としても活躍します。保存すればするほど、まろやかな風味に馴染んでいきます。旬のきんかんならではの上品な苦みと、しっとりとした食感が堪能できる一品です。富を象徴する縁起物のきんかんを使った甘露煮は、正月のおせち料理にもぴったりの逸品といえるでしょう。

きんかんの香り高く爽やかな酸味が冬の幸せを運んでくれます。手作りで作るきんかんシロップは、素朴な味わいと芳醇な香りが魅力的です。材料は、きんかん6個と砂糖300グラムのみ。まずはきんかんの皮を洗って拭き、一つずつ丁寧に皮をむきます。白い渋皮は残さないよう注意しましょう。

次に鍋にきんかんの皮を入れ、香りが立つまで火にかけます。その後、砂糖を加えてかき混ぜながら10分程度煮詰めます。最後にきんかんの果肉も加えて軽く混ぜ合わせれば完成です。香り豊かなきんかんシロップは、ヨーグルトやパンケーキにかけるのはもちろん、お料理の隠し味としても存分に活躍してくれるでしょう。冬の朝は、ホッとひと息つきながら、きんかんシロップを温かいお湯で割って楽しむのがおすすめです。

【鍋】ツヤツヤ金柑ジャム

きんかんの皮と果肉を準備し、皮は少量の水で茹でておくとより柔らかくなります。鍋にきんかんの皮と果肉、砂糖を入れ、弱火で約30分間加熱しましょう。焦げないよう、時々混ぜながらじっくりと煮詰めていきます。煮詰まってきたらレモン汁を加え、最後に希釈した粉ゼラチンを入れて冷ましていきます。熱いうちにビンなどの密閉容器に詰めれば完成です。季節の味わいをつやつやの質感で堪能できますね。

【レンジ】レンジで金柑ジャム  

きんかんの皮と果肉を準備し、鍋に入れて砂糖を加えます。ラップをせずに600Wで3分加熱し、一度取り出してよく混ぜます。再びラップをせずに600Wで2分加熱したら、レモン汁と希釈した粉ゼラチンを加えてよく混ぜ合わせます。熱いうちにビンなどの密閉容器に詰めれば完成です。レンジならカラメル化や焦げる心配がなく、手軽に作れますね。

きんかんの香り豊かな季節を味わう絶品レシピ

【おかず・サラダ】

クセになる味！鶏もも肉のソテー金柑ソース

ジューシーに焼き上げた鶏もも肉に、きんかんソースを絡めました。付け合わせのベビーリーフと相まって、おもてなし料理にぴったりの一品です。

おもてなしにも♪ラディッシュと金柑のサラダ

ラディッシュときんかんを輪切りにすることで彩りよく盛り付けられます。生ハムの塩気ときんかんの風味が絶妙な味わいを醸し出すカラフルなサラダです。

上品な一品♪金柑なます

きんかんとかぶを薄切りにした簡単ななますです。きんかんの華やかな香りが上品な味わいを添えてくれます。

【お菓子】  

ほどよい酸味が爽やか♪金柑パウンドケーキ

きんかんの優しい酸味が広がるパウンドケーキ。ふんわりとした食感の中に、きんかんの香りが口いっぱいに広がります。

ごろっと果実が入った♡丸ごと金柑ゼリー

甘露煮のきんかんが丸ごと入った、さっぱりとした味わいのゼリーです。デザートはもちろん、食後のお口直しにも最適です。  

濃厚でやみつき♪金柑ブラウニー  

きんかんの爽やかな酸味と濃厚なブラウニーとの絶妙なハーモニー。一口頬張るごとに、その魅惑的な味わいに夢中になること間違いなしです。

可愛らしいおやつ♪金柑のピール

きんかんにグラニュー糖をたっぷりとまぶした、シンプルながらも愛らしいおやつ。さっぱりとした味わいは、疲れた心身を癒してくれるでしょう。

冬の味覚の代表ともいえるきんかん。この小さな柑橘類は、寒い季節に彩りと爽やかな風味を運んでくれる魅力的な存在です。きんかんは、単なるフルーツとしてだけでなく、様々な料理にアクセントを加える食材としても活躍します。

まずは甘味をお楽しみいただきたい一品がデザートです。シャーベットやタルト、ケーキなど、きんかんの上品な香りと適度な酸味が絶妙なハーモニーを奏でます。甘さを控えめに味わえるのが魅力で、くどくなりすぎることなく、爽快な後味が印象的です。

一方で、きんかんの爽やかな酸味を生かしたお料理も存分に愉しめます。肉料理のマリネやソースに使うと、新鮮な風味が加わり、素材の旨味がさらに引き立ちます。サラダにちりばめれば、彩りよく映え、さっぱりとした味わいをお楽しみいただけるでしょう。ピクルスやジャムなどに加工すれば、きんかんの恵みを一年中味わえる手軽さも魅力です。

こうしたきんかんの多彩な楽しみ方は、その手頃なサイズと食べやすさから生まれています。手で簡単に剥ける上、種が少ないので、小さなお子様からご年配の方まで、家族みんなで気軽に食べられるフルーツなのです。ぜひ、この冬の旬を楽しみながら、きんかんの魅力を存分にご堪能ください。

金柑はそのままでも美味しいですが、他の食材と合わせることで新たな風味が楽しめます。例えば、サラダにすれば食物繊維も摂れ、さっぱりとした味わいが増します。また、デザートにすれば甘酸っぽい香りが口いっぱいに広がり、寒い季節にぴったりの一品になるでしょう。様々な料理に取り入れ、金柑の魅力を存分に堪能してみてはいかがでしょうか。