かぼすは、爽やかな香りと酸味が楽しめる柑橘類です。採れたての旬の時期が最も美味しいかぼすですが、長期間保存する方法さえ知れば、季節を問わず美味しく食べることができます。今回は、かぼすの新鮮さを長く保つための保存方法をご紹介します。
かぼすとは?
かぼすは、日本の暖かい地域で栽培されているミカン科ミカン属の柑橘類です。レモンやゆずと同様、果肉を食べるのではなく、爽やかな香りと上品な酸味が魅力の香酸柑橘類の一種です。100~150gほどの大きさで、つるりとした球形をしています。厚い皮の中には乳白色の果肉が詰まっており、ひと玉から約30mlの果汁を絞ることができます。 かぼすは主に沖縄と鹿児島で生産されており、江戸時代から親しまれてきました。果汁の爽やかな酸味と香りは、沖縄料理に欠かせない調味料として使われています。沖縄そばのつけだれにかぼすを加えると、さわやかな風味が加わり、料理の味を引き立てます。また、焼き魚や唐揚げに絞ったり、刺し身や天ぷらの風味づけに使うことも可能です。かぼす果汁はお菓子作りや、ドレッシング、ポン酢作りにも最適です。レモンとは一味違う、上品で爽やかな和風の味わいが楽しめます。 近年、かぼすの栄養価値にも注目が集まっています。ビタミンCを豊富に含み、抗酸化作用があると言われています。生薬としても活用されており、健康食品としての需要が高まっています。かぼすの魅力は、香りと味わいはもちろん、栄養価と機能性にもあると言えるでしょう。
かぼすの旬
かぼすの真の旬は8月から10月にかけての時期です。この時期に出回るかぼすは、露地栽培されたものが中心となります。秋から冬にかけては、貯蔵されていたかぼすが出荷されます。一方、3月から7月ごろまでは、ハウス栽培されたかぼすが流通しています。 秋になると、黄色い皮のかぼすを見かけることもあります。これは果実が完熟して色づいたものですが、青い皮のかぼすに比べると風味はやや劣るとされています。しかし、酸味がまろやかになり、異なる味わいを楽しむことができます。旬のかぼすならではのみずみずしさと香り高さを堪能できる一方で、黄色い皮のかぼすも、まろやかな酸味が魅力的な逸品なのです。
かぼすの冷蔵での保存方法
かぼすは袋に入れずに風通しの良い状態で保管するのがベストです。密閉すると湿気が籠もり、カビが生えやすくなってしまうからです。また、ラップを薄くかぶせるなどして、適度な湿度を維持する工夫も大切です。 冷蔵庫の野菜室が最適な保存場所で、温度は5度前後が理想的です。低めの温度設定にすることで鮮度を長持ちさせられます。ただし、冷凍室に入れると凍ってしまい品質が落ちる可能性があるので注意が必要です。 このように、適切な温度管理と湿度調節により、かぼすの新鮮さを2週間程度は維持できます。常温保存すると熟して皮が黄色くなり、香りは失われますが、甘みが増して酸味が和らぐので食べやすくなります。
かぼすの冷凍での保存方法と解凍方法
かぼすは冷凍保存すると水分が抜けて食感が落ちる場合があるため、本来は冷蔵保存が適しています。しかし、大量に保存したい場合は冷凍が便利です。丸ごと冷凍すれば、解凍後にスライスやおろし利用できます。果汁は製氷皿で小分け冷凍するのがおすすめです。皮は薄く削ぎ落としてラップに包み冷凍します。 自然解凍が香りと風味を損なわず最適です。半解凍の状態で使うと形を保てます。解凍した果汁は飲み物に、おろし皮は香り付けに使えます。さっぱりとした酸味と香りが、焼き物、煮込み料理、ドレッシングなどに彩りを添えます。 かぼすを使えば、照り焼きチキンに爽やかさを、冷しゃぶサラダに濃厚な味わいを、豚しゃぶの梅ポン和えにさっぱり感を与えられます。鶏の南蛮漬けや豚ロースステーキのソースにかぼすを加えると奥深い味になります。冷やしかぼすうどんなど、かぼすならではの料理も楽しめます。 ぜひかぼすの魅力を存分に味わって、香り高い絶品料理を作ってみてください。
まとめ
かぼすを長期保存する際は、冷蔵庫で新鮮な状態を保つのが一番ですが、冷凍保存も有効な方法です。冷凍する前に薄く切るなどの下ごしらえをしておけば、そのまま料理に使えて便利です。乾燥させて保存する方法もあり、かぼすの風味は損なわれますが、長期保存が可能になります。保存方法を賢く使い分ければ、いつでもかぼすの美味しさを堪能できるでしょう。