ジャンドゥーヤとは

ジャンドゥーヤとは、ローストしたナッツ類と砂糖、そしてチョコレートを組み合わせて作られるペースト状のスイーツです。最も一般的なのはヘーゼルナッツを使用したもので、これをチョコレートとブレンドして、滑らかな口あたりに仕上げます。三角柱のような独特の形状が印象的で、そのまま食べるのはもちろん、ボンボンショコラの中身として使われることもあります。ナッツの種類はヘーゼルナッツだけにとどまらず、アーモンドやピスタチオを使ったバリエーションも登場しており、チョコレートの種類によっても味わいが大きく変わります。ブランドごとに独自のレシピがあるため、まさに「一粒で個性を味わえる」お菓子といえるでしょう。

ジャンドゥーヤが生まれたのは、イタリア北西部のピエモンテ地方です。この地域では良質なヘーゼルナッツが多く採れることから、ナッツとチョコレートを融合させたジャンドゥーヤが開発されました。1865年、老舗チョコレートメーカー「カファレル」が世界で初めてジャンドゥーヤチョコレートを商品化したことで、その名が知られるようになります。特徴的なのは、カファレルが押し出し成形という手法を用いて三角柱型に整形している点で、このユニークな製法がジャンドゥーヤのアイコン的存在感を際立たせています。また、カファレルの製品はヘーゼルナッツの含有率が高く、やわらかい口どけと豊かな香りが楽しめることでも人気です。

ジャンドゥーヤという名は、実はイタリアの演劇文化からインスピレーションを受けたものです。元々は「ジヴー」と呼ばれていたこのお菓子が、仮面喜劇「コンメディア・デッラルテ」に登場する人気キャラクター「ジャンドゥーヤ」と結びついたことで、その名前が定着しました。彼は陽気な性格と美食家としての一面を持ち、ピエモンテ地方を象徴するキャラクターでもあります。この人物像が、お菓子に込められた豊かな味わいと温かみを表現するのにぴったりだったのです。そのため、カファレルのパッケージにもジャンドゥーヤの姿が多く登場しており、ブランドのイメージキャラクターとして愛されています。

ジャンドゥーヤとよく比較されるスイーツに「プラリネ」がありますが、実は製法や食感に明確な違いがあります。プラリネは、まずナッツにカラメル化した砂糖を絡める「キャラメリゼ」という工程を経るのが特徴で、香ばしさとカリッとした食感が魅力です。一方、ジャンドゥーヤはナッツをローストしてから砂糖とともにすり潰し、チョコレートと混ぜ合わせるため、より滑らかで繊細な口当たりになります。また、プラリネはチョコレートを使わない場合もありますが、ジャンドゥーヤには必ずチョコレートが含まれます。つまり、似ているようでまったく異なる背景と仕上がりを持つ2つのスイーツなのです。

ジャンドゥーヤは家庭でも作ることができ、材料さえ揃えば意外とシンプルな工程で完成します。まずヘーゼルナッツをオーブンで香ばしくローストし、しっかり冷ました後、粉糖とともにフードプロセッサーで滑らかになるまで撹拌します。次に、湯煎で溶かしたダークチョコレートと混ぜ合わせ、バットに広げて成形し、室温でじっくり冷やすことで完成です。お好みによりアーモンドを使ったり、ミルクチョコレートやホワイトチョコレートに変更することで、風味を変えることもできます。手作りジャンドゥーヤは、市販品とは違ったナチュラルな味わいを楽しめるのが魅力です。

ジャンドゥーヤを選ぶ際は、使用されているナッツやチョコレートの種類に注目してみましょう。ヘーゼルナッツをベースにしたものは香ばしくまろやかな味わい、ピスタチオを使ったものは濃厚でナッツ特有のコクがあります。アーモンド使用のものは軽やかで香ばしく、どれも異なる風味が楽しめます。加えて、チョコレートの種類も重要なポイント。ミルクチョコレートは甘くてクリーミーな仕上がり、ビターチョコレートはナッツとのバランスが取れた深みのある味が特徴です。さらに、ベリー系やシトラス、スパイスなどが加えられたジャンドゥーヤもあり、食べ比べを楽しむのも醍醐味です。