ブッシュドノエルとは
クリスマスシーズンに欠かせない、華やかで美味しいデザートがブッシュドノエルです。何世紀も前から、特にフランスで親しまれてきたブッシュドノエルは、クリスマスの贅沢なテーブルを一段と引き立ててくれます。その名が示す通り、ブッシュドノエル(フランス語で「クリスマスの木」を意味します)は、伐採された木の丸太を模倣した形状が特徴。巧みにロールケーキで再現されたこの伝統的なデザートがどのようにして創り出され、世界中のクリスマステーブルに広がったのか、その魅力と歴史を一緒に見ていきましょう。
ブッシュドノエルとは
クリスマスの季節が近づくと、目にすることが増える特別なデザート。それが「ブッシュドノエル」、すなわちクリスマスにしか味わえない伝統的なフランスのデザートです。フランス語で「クリスマスの薪」を意味するこの華麗なデザートは、その名前通り、切り株を思わせる形状が特徴です。
基本的な作り方は、スポンジケーキを薄く広げ、そこにチョコレート クリームを塗り、巻き上げるという手順です。最後にチョコレートやアイシングで装飾し、一部ではブッシュ ド ノエル に、フルーツやナッツ、生クリームをトッピングとして使用することもあります。豊かな見た目と絶妙な味わいが融合したブッシュドノエルは、クリスマスディナーのフィナーレを華やかに彩ります。
日本でもこの見た目の魅力と味わいが評価され、クリスマスシーズンに家庭やレストラン、洋菓子店で作られ、提供されます。フランスの伝統をここ日本で体験できるという点も、ブッシュドノエルがクリスマスのお祝いとして人気を博している理由の一つでしょう。
ブッシュドノエルの意味とは
「ブッシュドノエル(Bûche de Noël)」とは、フランスでクリスマスを祝う際に欠かせない伝統的なデザートで、「クリスマスの丸太」という意味を持っています。スポンジケーキを細かく焼き上げ、それをクリームで巻き、最終的にはチョコレートで包み込むスイーツで、まるで本物の丸太のような見た目をしています。
その名前と形状は、中世のヨーロッパの習慣に由来します。当時、冬至やクリスマスに家族が集まり、暖炉で大きな丸太を燃やすという習慣がありました。なぜ丸太を模して作っているかというと、この丸太には、厄除けの力があるとされ、その火で災いを払い、新しい一年を迎えることが目的だったとされています。
近年では、実際に暖炉で丸太を燃やす家庭は少なくなりましたが、その代わりに、クリスマスパーティーなどで、この「クリスマスの丸太」を模したブッシュドノエルが、家族団らんのテーブルに上るようになりました。この豊かなチョコレート風味のスイーツは、子供から大人までが喜ぶ一品で、年末の贅沢なひとり時間をより一層鮮やかに彩ってくれます。まさに、現代に古代からの風味と願いを伝え続ける優れたデザートといえるでしょう。
ブッシュドノエルの由来とは
「ブッシュドノエル」という名前がついたフランスの伝統的なクリスマスケーキには、ヨーロッパの古代習慣が込められています。その始まりは、年末に家族みんなで大きな木を切り、神聖視した上で、丸太全体を何日もかけて燃やし、神々への感謝や来年の豊穣を願う儀式にさかのぼります。これが「ユール(冬至祭)」という名で知られるようになりました。
キリスト教が広まるにつれ、この儀式も変化し、「ユールログ(冬至祭の丸太)」と呼び、特に年末行事として重要視されるように。家々では暖炉にくべる薪を、木に付けた葉やリボンで飾り、時には聖水で清めてから一晩中燃え続けることで来年の厄除けを祈ります。
19世紀のフランスで、進化した形の「ブッシュドノエル」が誕生。大きな薪として焼かれていた丸太をスポンジケーキで表現し、チョコレートや生クリームで飾りつけることで、見た目は丸太でありながら味わいは洗練されたデザートとなりました。
恋人へプレゼントができなかった若者が薪の束を贈るという恋愛話も、ケーキが薪に見立てられる由来の一つとされています。
ブッシュドノエルは、長い歴史と伝統を持つクリスマスケーキ。そんな由来を知りながら、心地よいクリスマスムードを満喫してみてはいかがでしょうか。