紅あずま 紅はるか

紅あずま 紅はるか

紅あずま 紅はるか

日本の秋を彩るさつまいもといえば、紅はるかと紅あずまがよく知られています。これらの品種は、赤紫色の皮と甘みのある肉質で、多くの人々に親しまれています。しかし、見た目や味だけでなく、これらの品種の違いについて知っていることは重要です。ここでは、紅あずまと紅はるかの違いについて詳しく探ってみましょう。

紅はるかと紅あずまの違い

「紅はるか」と「紅あずま」は、同じ「紅」が冠された赤紫色のさつまいもですが、外見は似ていても、その甘さや食感は異なります。それぞれの特徴と違いについて、詳しく見ていきましょう。


紅はるか 紅あずま

生産量※1 2位(シェア15.4%) 3位(シェア13.0%)

品種登録※2 2010年 1985年

交配品種※2 ・九州121号 ・コガネセンガン(黄金千貫)

・春こがね ・関東859

産地 鹿児島県など九州が中心 千葉県や茨城県など関東が中心

外観 ・明るい赤紫色 ・濃い赤紫色

・凸凹が少ない ・ゴツゴツしている

肉色 黄白 黄

甘さ 強い甘味 ほど良い甘味

・そのまま:およそ35度 ・そのまま:およそ14度

・加熱後:およそ50~60度 ・加熱後:およそ32度

食感 ・ねっとり、とろとろ、粘質 ・ホクホク ・粉質

※1:かんしょをめぐる状況について|農林水産省農産局地域作物課(令和4年6月) ※2:品種登録ホームページ(新)|農林水産省

紅はるかと紅あずまの違い【生産量と産地の違い】

最初に、紅はるかと紅あずまの生産量と産地の違いについて見ていきます。


農林水産省のデータ(※)によると、2019(令和元)年に栽培されたさつまいもで、作付が多かった品種は、1位がコガネセンガンでシェア22.1%、2位が紅はるかで15.4%、3位が紅あずまで13.0%という結果に。


このデータから、紅はるかと紅あずまはさつまいもを代表する人気品種だということがわかります。


根強い人気を誇る紅はるかと紅あずまですが、紅はるかは鹿児島県や大分県などの九州地方で、紅あずまは千葉県や茨城県など関東地方で主に栽培されています。この産地の違いから、紅はるかは西日本で人気が高く、紅あずまは関東で人気が高いと一般的には言われています。


しかし実際は、どちらの品種も日本各地で生産されている上、流通量も多く、最近では焼き芋や干し芋を専門に扱う小売店も増えてきていますので、地域差はあまり感じられなくなりました。


ちなみに1位のコガネセンガンという品種に聞き馴染みがないという方が多いかと思いますが、主にいも焼酎の原料として使用されているため、スーパーなどで見かけることが少ない品種となっています。

紅あずま 紅はるか

紅はるかと紅あずまの違い【交配品種と品種登録年月日の違い】

「紅はるか」と「紅あずま」を、交配品種と品種登録の時期で比較してみましょう。 「紅はるか」は、「べにはるか」という品種名で2007年9月に出願され、2010年3月に登録が完了しました。この品種は、「九州121号」と「春こがね」を交配して生まれた比較的新しい品種です。一方、「紅あずま」は、「ベニアズマ」という品種名で1984年3月に出願され、1985年7月に登録が完了しました。この品種は、「コガネセンガン」と「関東859」を掛け合わせて誕生し、ホクホク系の代表格とされています。


紅はるか 紅あずま

品種名称 べにはるか ベニアズマ

交配品種 ・九州121号 ・コガネセンガン(黄金千貫)

・春こがね ・関東859

出願日 2007/09/18 1984/03/31

登録日 2010/03/11 1985/07/18

対照品種 ・高系14号 ・高系14号

・べにまさり ・ベニコマチ


紅はるかの親である「春こがね」は、紅あずまと関東103号を掛け合わせた品種です。つまり、紅はるかと紅あずまは、祖父母と孫という関係性にあります。

紅はあずまの違い【外観と肉色の違いるかと紅】

次に、紅はるかと紅あずまの見た目の違いについて見てみましょう。

紅はるかと紅あずまは、どちらも「紅」と名前につく通り赤紫色の外皮を持ちます。しかしよく比較してみると、紅はるかは明るい赤紫色をしているのに対して、紅あずまは濃い赤紫色をしています。

また形も少し違っており、紅はるかは平面に凸凹があまりないのに対して、紅あずまはゴツゴツしています。 加えて、肉色にも違いがあります。さつまいもを切った時に出る乳白色の液体はヤラピンという成分なのですが、紅はるかは他の品種と比べてヤラピンを多く含んでいるため、白と黄色の中間色のような肉色となっています。一方、紅あずまは鮮やかな黄色をしています。

次に、紅はるかと紅あずまの味わいについての違いをご紹介します。

紅はるかは、「(他の品種と比べて)はるかに優れている」ことからこの名前が付けられました。その名の通り、紅はるかが持つ糖度は群を抜いて高く、生の状態でおよそ35度、加熱後はおよそ50〜60度にまでアップします。ねっとりした食感で、クリーミーな味わいが人気の理由です。

対して紅あずまは、「これぞ焼き芋」というホクホク感が味わえる品種です。糖度は生の状態でおよそ14度、加熱後でおよそ32度と紅はるかに比べると低いですが、ちょうど良い上品な甘さで料理などにも使いやすく、ホクホク感だけでなくしっとり感もあるバランスが取れた品種となっています。

紅はあずまの違い【食べ方の違い】

紅はるかと紅あずまは、どちらもシンプルに焼き芋で食べても美味しいのですが、それぞれの違いを活かした食べ方もおすすめです。


ねっとりして甘さが強い紅はるかは、甘露煮やケーキといった甘さが活きるアレンジがよく合います。また、紅はるかが持つしっとり感と甘みが引き立つ干し芋も絶品です。


対して紅あずまは、その程よい甘さと繊維の少なさを活かして、天ぷらや煮物、スープ、大学芋といった料理との相性が抜群です。スイートポテトにすれば、紅あずまならではのホクホク感と素朴な甘さが味わえます。

紅あずま 紅はるか

まとめ

紅はるかと紅あずま、両方とも美味しいさつまいもですが、その違いは興味深いものです。紅はるかはねっとりとした甘みが特徴で、甘露煮や干し芋などの甘い料理に最適です。一方、紅あずまは程よい甘さとホクホク感があり、天ぷらやスイートポテトなどの料理に向いています。どちらの品種も、秋の味覚を楽しむ上で欠かせない存在です。