あんずの花は、3月から4月にかけて開花します。この時期は気温の変動によって開花のタイミングが変わるため、地域や年によって異なる場合があります。あんずの花が咲く地域は特に限定されていませんが、長野県が多く、ここでは春の訪れとともにあんずの花が見られることで知られています。あんずの花はピンク色で、個々の花は小さいものの、満開の時期にはあたり一面が華やかな花で埋まり、非常に見ごたえがあります。

生のあんずの旬は非常に短く、6月下旬から7月上旬の約2週間ほどです。この期間にしか生のあんずを楽しむことができないため、見逃さないようにしましょう。生産者にとってこの時期は忙しい時期であり、長野県が生食用あんずの主要な産地として知られています。収穫されたあんずは熟度に応じてグループ分けされます。色付いて柔らかいものは早めに食べることが推奨され、冷蔵庫で冷やしてから皮を剥かずに丸かじりするのが美味しい食べ方です。一方、色付きが薄く硬いものは追熟が必要で、常温で半日から数日かけて熟させることが推奨されます。

特に「杏月」という品種は、厳しい選定基準をクリアしたプレミアムなあんずで、糖度12度以上のものだけが「杏月」として市場に出荷されます。冷蔵保存での鮮度保持にも工夫が施されており、鮮度を保つための専用パッケージが使用されています。サイズは大玉で120g程度と定められており、旬にしか味わえない特別なあんずです。

あんずにはさまざまな品種があり、それぞれの品種で収穫時期や味わいが異なります。以下に主要な品種とその収穫時期を紹介します。

信州大実（しんしゅうおおみ）

収穫時期：7月上旬〜中旬

特徴：円形の果実で80〜90g程度。果皮は橙黄色、果肉も橙黄色。糖度は10％前後で、ジャムに最適です。

信山丸（しんざんまる）

収穫時期：7月上旬

特徴：短楕円形で40〜50g程度。果皮は濃い橙色、果肉も橙色。糖度は10％前後で、あんずシロップ漬けやジャムに適しています。

信陽（しんよう）

収穫時期：6月下旬〜7月上旬

特徴：楕円形で50〜60g程度。赤橙色の果皮と橙黄色の果肉。糖度は10〜12％で、生食専用です。

信月（しんげつ）

収穫時期：7月中旬〜下旬

特徴：短楕円形で80g程度。果皮は橙黄色、果肉も橙色。糖度は10％前後で、生食やジャムに適しています。

信州サワー（しんしゅうさわー）

収穫時期：6月下旬〜7月上旬

特徴：楕円形で大きめの果実。生食やシロップ漬け、ジャム加工に適しています。

ハーコット

収穫時期：7月上旬〜中旬

特徴：カナダ生まれの品種で、大きめの楕円形。生食用として栽培されています。

これらの品種は、それぞれに特有の味わいや用途があり、あんずの魅力を多角的に楽しむことができます。

あんずの花は、春の訪れとともにピンク色に咲き誇り、地域によっては見ごたえのある景色を楽しませてくれます。生のあんずの旬は短く、6月下旬から7月上旬に限られていますが、その時期にしか味わえない新鮮なあんずの美味しさを堪能するチャンスです。品種によって収穫時期や味わいが異なるため、自分の好みに合ったあんずを選ぶことで、より一層楽しむことができます。あんずの花から実までのプロセスと、それぞれの品種の特徴を理解することで、旬のあんずをより深く味わいましょう。