南アメリカ原産の果物、ペピーノは、その独特なフレーバーと多機能性でますます注目を集めています。この小さく可愛らしいフルーツは、メロンと洋梨の絶妙な風味を持ちながら、栄養豊富でカロリーも低いことから健康志向の方々にも人気です。ペピーノは生での楽しみ方だけでなく、料理やスイーツに取り入れることで新たな味わいを生み出すことができます。この魅力的なフルーツの特徴とその活用法を探ってみましょう。
ペピーノ
ペピーノ(Solanum muricatumAit.;シノニム:S. guatamalenseHort.)またはペピノは、ナス科ナス属の多年生植物です。果実は多汁で甘く芳香があり、生でスライスして食用になります。原産地は南アメリカで、古代からアンデス山脈一帯で栽培されてきました。チリやニュージーランドで品種改良されています。
ペピーノの特性
ペピーノの果実はメロンに似た風味を持ち、生食に向いています。ニュージーランドでは活発に栽培され、優れた品種が生まれています。日本でも近年、育種が進み、苗や果実付きの鉢が一般に出回るようになりました。成長が速く1m程度まで育つ多年草ですが、寒さに弱いため、日本では一年草として育てられることが多いです。気温が最低10℃以上、最高25℃以下の場所であれば、常に開花・結実しますが、夏場は開花しても結実が少なくなります。
ペピーノの由来
エクアドルを含むスペイン語圏では、ペピーノ・ドゥルセ(pepino dulce)と呼ばれる果物があり、「ペピーノ」は「キュウリ」、「ドゥルセ」は「甘い」という意味です。この果物は、英語でmelon pear、pear melon、melon shrub、sweet cucumberなどとも呼ばれます。これらの名前は、ペピーノの味や香りがキュウリやメロン、ナシに似ていることに由来しています。
ペピーノの形状
草の姿は主に叢生で、茎は木化し小潅木状になります。葉は楕円形で互い違いに付きます。花は10個程度の房状をなし、そのうち1から3つが結実します。
果実は漿果で、クリーム色に紫の縦じま模様が多く見られます。品種によりますが、紫のしまが増えほぼ紫一色になったときが食べごろです。
ペピーノの育て方
種子の発芽率が低く、品種が固定されていないため、挿し木で増殖される。最適な生育温度はアンデスの高地のような日中20 - 25℃、夜間8 - 15℃であり、30℃を超える高温に弱いため、真夏には遮光が必要です。低温には比較的強く、気温が零下にならない限り越冬可能ですが、霜には注意が必要です。多年生の植物ですが、霜や病害虫に弱いため、栽培上は一年生作物として扱われ、温室で育てられることも多い。
温室や室内で越冬させる場合、ナス科の他の作物同様に連作障害の問題が生じやすいため、土壌の消毒やコンパニオンプランツの導入が必要です。秋に挿し木苗を作り、越冬管理することで、株の更新による連作障害の防除が可能であり、親株が枯れた際の保険となります。実生では春に種を撒くが、発芽率が低く、親と異なる特性が現れる問題が生じます。
草花の苗より肥料を多く必要とし、特にリン酸肥料は花芽が付き始める時期に重要です。
ペピーノは脇芽が出やすく、放置すると花や実の付きが悪くなるため、通常は3本仕立て、品種によっては1本仕立てにします。過湿を嫌うため、多湿には注意が必要で、日本の梅雨期には特に気を付けた方が良いです。葉が少し水枯れし始めたら、わずかに水を与える程度で良いです。実ができ始めたら、乾燥させた方が糖度の高い果実が得られます。急な雨で大量の水が入ると実が割れることもありますが、食用には問題ありません。
根が比較的深く張るので、鉢植えの場合は深鉢を使い、水はけを重視して鉢底石の量や用土を調整します。
ペピーノ 種類
ロイヤルカスタードは日本で主要な品種で、見た目で成熟度がわかり、濃い紫色の縞が入ったら収穫のサイン。早く食べないとエグ味が出る。
ロイヤルカスタード
生食やサラダに適し、鉢植えでも育てやすい。2021年の主な国内品種である。
アップリンミミー
ハート形の果実が観賞価値を高め、リンゴのような香りが特徴の中生種。
モンローダンス
野菜的性質が強く、炒め物や漬物向き。縦長の果実が特徴で未熟果を漬物に。
ロイヤル
生食とジャムに向く早生種。
フィリー
主に観賞用。
ハローイブニング
生食やスイーツに適したオレンジ色の果肉を持つ晩生種。
エルカミーノ
紫色の縞模様が特徴のニュージーランドで普及している早生種。
ミスキ
糖度が高く、早生種で豊産性を持つニュージーランドの普及種。
ゴールドNo.1
生食から炒め物まで幅広く使える糖度が高い早生種。
ゴールドボーイ
ゴールドNo.1の改良種で、晩生種として糖度が高くフルーティー。