メロンは、その甘くてジューシーな味わいと爽やかな香りで、多くの人々に愛される果物です。夏の風物詩として日本の食卓に登場することが多く、その魅力的な見た目と豊かな風味から、特別なギフトや贈り物としても重宝されています。本記事では、メロンの基本情報やその魅力、さらに楽しみ方をご紹介します。新鮮なメロンを最大限に楽しむためのヒントやレシピもお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
メロンとは?その魅力について
メロンは植物学的にはウリ科キュウリ属に属する野菜です。しかし、一般的には果物として親しまれています。
メロンは水分とカリウムを豊富に含んでいます。夏場に食べれば身体を冷やし、熱中症の予防にも役立つでしょう。甘くとろけるような果肉で、子供からお年寄りまで幅広く愛されている果物です。
メロンの主要な産地はどこ?
2021年度のメロンの国内生産量ランキングはこちらです。
主な生産地は茨城県で、国内総生産量の約24%を占めています。続いて熊本県や北海道が多いです。
ランキングには入っていませんが、山形県、青森県、愛知県、静岡県も有名です。特に静岡県は温室メロンの生産量が全国第1位で、美味しいメロンが全国各地で栽培されています。
メロンの由来
ヨーロッパにおけるメロンの歴史は古く、古代エジプトや古代ギリシャでメロンの仲間が栽培されていたことが分かっています。しかし、メロンは暖かい地方でしか育たなかったため、気候が合わない北ヨーロッパ地域で栽培されるようになったのは14~16世紀以降といわれています。
日本で現在の温室メロンが生産され始めたのは大正時代からですが、少なくとも弥生時代にはメロンの仲間「マクワウリ」が栽培されていたようです。それを裏付けるものとして、日本各地の遺跡から土器などとともにマクワウリの種が見つかっています。
日本のメロン栽培の歩み
マクワウリの栽培は弥生時代から始まったとされています。弥生時代の遺跡からはマクワウリの種が見つかっています。
西洋系メロンは明治時代に日本に導入され、温室で栽培されて高級品とされました。
代表的なメロン品種とその旬の時期
多様なメロンの品種の中から、代表的なものとその旬の時期をお届けします。
アンデスのメロン
アンデスメロンの旬は5月から6月頃で、主に茨城県や熊本県、山形県で栽培されています。
比較的手に入りやすく、栽培しやすいアンデスメロンは「安心ですメロン」の略称です。小ぶりで果皮の網目が細かく、マスクメロンのような甘さが特徴です。
アールスメロン
アールスメロンの旬は5月から10月頃で、主に静岡県、熊本県、茨城県で栽培されています。
メロンの中でも高級なアールスメロンは、立体的な網目模様が特徴で、上品な香りとみずみずしい甘い果肉が贈り物としても人気です。
クインシーメロン
クインシーメロンの旬は4月から8月頃で、茨城県、熊本県、山形県で栽培されています。
赤肉系のネットメロンであるクインシーメロンは、オレンジ色の果肉が特徴です。βカロテンを含み、栄養価が高く、コクのある甘さが楽しめます。
プリンスメロン
プリンスメロンの旬の時期は4月から6月頃で、主に茨城県と千葉県で栽培されています。
プリンスメロンは、網目がないノーネットメロンで、うりのような滑らかな外観を持ちます。果肉はオレンジ色で、香りは弱いものの強い甘みが特徴です。
夕張メロン
品種名は「夕張キング」で、親は「アールス・フェボリット」と「スパイシー・カンタロープ」です。1961年(昭和36年)に命名され、「夕張メロン」は夕張市農業協同組合の登録商標で、農協の定めた基準をクリアしたものだけが付けられます。果肉はオレンジ色で甘味が強く、果汁も豊富です。ただ、日持ちはあまりよくありません。
アムスカンタロープ
特徴として、やや楕円形で濃い緑色の果皮に、溝のような縦じまと荒い網目があります。果肉は淡緑色で甘味があり果汁も豊富です。1974年(昭和49年)に発表され、6月頃から市場に出回ります。
タカミメロン
ネットの盛り上がりが浅く細かい網目が特徴。果肉は緑色で糖度は約15度と高く、さわやかな甘味があります。果肉がややかためで日持ちが良いのも魅力。1990年(平成2年)に発表されました。
オトメメロン
2000年(平成12年)に登場した青肉メロンです。果皮のネットが細かく、果肉は淡い黄緑色をしています。果肉はみずみずしく、糖度も高めで、さわやかな香りと甘味が楽しめます。出荷時期は4~6月頃です。
ルピアレッド
赤肉種で果皮のネットが細かく、主に北海道で栽培されています。果汁が豊富でまろやかな甘さがあり、果肉がしっかりしているので日持ちも良いです。北海道のブランドメロンである「らいでんメロン」や「富良野メロン」はいくつかの品種を扱っていますが、ルピアレッドもその1つです。他の品種に比べて熟期が早く、7~8月頃に出荷されます。
ホームランメロン
ホームランメロンは乳白色の皮が特徴で、ツルツルとしたノーネットメロンです。白肉の「ハニーデュー」と緑肉の「ハニーデュー」が掛け合わさり誕生しました。果肉も白く、口当たりはなめらかで上品な甘味があります。主に熊本県や茨城県などで栽培されており、出回るのは3月から7月頃です。「ホームランスターメロン」とも呼ばれることがあります。
ハニーデューメロン
この品種は輸入メロンの大半を占め、主にメキシコ産とアメリカ産です。果皮は白く、果肉は淡緑色と薄いオレンジ色のものがあります。まろやかな甘味と多い果汁、ややかための果肉で香りは少なめです。「ハネデューメロン」や「ハネジューメロン」とも呼ばれます.
キンショーメロン
キンショーメロン(キンショウメロン)は「スペイン系メロン」と黄色い「マクワウリ」から誕生したメロンです。縦長の楕円形で、皮は濃い黄色をして網目がなく、果肉が白いのが特徴。肉質はややかためで歯ごたえがあり、さっぱりとした甘さです。4月頃から7月頃に店頭に並びます。
肥後グリーンメロン
果皮が濃い緑色のネットメロンで、熊本県特産の名前にちなみます。やや大玉で果肉は黄緑色。糖度は15度以上と甘く、熟すとやわらかくみずみずしい食味が楽しめます。5月下旬頃から収穫が始まり、7月頃まで店頭に並びます。
美味しいメロンの特徴と見分け方のポイント
美味しいメロンの特徴と見分け方のポイントをご紹介します。
形が整っており変わっていない
適切な栽培管理を行うことで、メロンは変形せず美しい楕円形に成長します。形が整っているメロンは、上手に栽培された証です。
ネットメロンの場合、表面の網目がはっきりしている
果肉が十分に成長すると、網目がはっきりと浮かび上がります。網目がはっきりしていれば、果肉も十分に甘い可能性が高いといえます。
かなりの重量
果汁や果肉が豊富に詰まったメロンの場合、持ったときに重さをしっかりと実感できます。
これらの特徴を持つメロンは、甘くてジューシーな可能性が高いといえます。
メロンの栄養価と健康効果
おもな栄養成分(可食部100g中)
カリウム(350mg)、βカロテン(赤肉メロン:3600mcg)
期待される効能
利尿作用、高血圧予防、動脈硬化予防、脳梗塞予防、心筋梗塞予防、糖尿病予防、がん予防(赤肉メロン)、風邪予防(赤肉メロン)
メロンに含まれるカリウムは果物の中でも特に多く、高血圧や動脈硬化予防に期待が持てます。カリウムは水分バランスを調整し、利尿作用やむくみ解消にも効果的です。
また赤肉メロンは非常に多くのβカロテンを含み、抗酸化作用により老化抑制やがん予防に期待できます。かつての日持ちの悪さやカロテン臭は現在改善され、味も日持ちも向上しています。
豊富に含まれるβカロテンには風邪予防効果もあります。
各地域の年間メロン収穫量
2021年のメロンの収穫量のうち最も多いのは茨城県で、約3万6,500トンの収穫量があります。2位は約2万5,400トンの収穫量がある熊本県、3位は約2万400トンの収穫量がある北海道です。
出典:農林水産省統計
農地面積・収穫量の変遷
2021年のメロンの栽培面積は約6,090ヘクタール。収穫量は約15万トンで、出荷量は約13万6,700トンです。
出典:農林水産省統計
メロンの輸入元と輸入数量
メロンは8か国から輸入されています。最大の輸入先はオーストラリアで、輸入量は約3, 773トン、全体の30%以上を占めています。2番目はホンジュラスの約2, 511トンで、全体の20%以上を占めています。3番目はメキシコの約2, 111トン。4番目はアメリカの約1, 964トンです。
出典:財務省統計
メロンの輸出先と輸出数量
2022年には12か国に輸出され、香港が約1,170トンでトップです。2位は約65トンのシンガポール、3位は約32.5トンの台湾です。
情報源:財務省統計
まとめ
メロンはウリ科に属する果物ですが、植物学的には野菜と分類されています。主に茨城県、熊本県、北海道で栽培されているほか、全国各地でも栽培が行われています。アンデスメロンやアールスメロンなどが有名で、5月から6月にかけて旬を迎える品種が多いです。1年中出荷されるメロンもありますが、春から夏にかけてが最も美味しい季節です。