はっさく、または八朔(はっさく)は、日本を代表する柑橘類の一つで、その爽やかな酸味と程よい甘さが特徴です。見た目はオレンジに似ており、硬めの皮と大きな果実が印象的です。その歴史は長く、江戸時代に広島県で発見されたとされています。今では全国で広く親しまれているはっさくですが、そのユニークな味わいや香り、さらには健康面での効果にも目を向けてみましょう。この記事では、はっさくの魅力と特長について詳しく探っていきます。
はっさくの概要
はっさくは、ミカン科ミカン属に属し、日本原産の柑橘類です。シャキシャキとした粒感、スッキリとした酸味とほどよい甘み、ほのかな苦味があり、他の柑橘にはない魅力が特徴です。外皮は黄色に近いオレンジ色で厚く、内皮も厚めで食べづらいため、皮をむいて身だけを食べるのが一般的です。
また、はっさくは柑橘類の中でも比較的大きく、温州みかんが直径約6cm、重さ約100gに対し、はっさくは小ぶりのもので直径8cm、重さ180g、大ぶりのものでは直径9cm以上、重さ350g以上になります。
はっさくの旬と名称由来の関係
さきほどはっさくは日本原産の柑橘であるとご紹介しましたが、1860年ごろに広島市因島にある恵日山浄土寺の境内で偶然発見されたフルーツだといわれています。
当時の住職が「八朔(八月の朔日)には食べられる」と言ったことから「八朔(はっさく)」という名前がついたのだとか。朔日とは「ついたち」とも読み、月の始まりの一日のことを表します。つまり、当時使われていた旧暦でいう9月1日には食べられるという意味です。しかし、実際の八朔の旬は2〜3月。八月の朔日とはだいぶ時期がずれるので、この逸話の真偽は不明なのだそう。
ちなみに旬の時期は2〜3月ですが、収穫されるのは12〜2月中旬の寒い時期です。収穫してから1〜2か月ほど貯蔵し、酸味が抜けて一番おいしくなったころに出回ります。
はっさくの特質
八朔(はっさく)は文旦やサボンに近い雑柑で、果皮がやや黄色く、大玉です。
黄橙色の皮は厚く手では剥きにくいですが、じょうのう膜も厚いため、袋を剥いて果肉を食べます。名前の由来である「八朔の頃(旧暦8月1日)」では果実がまだ小さいため食用に適しません。多くの人がはっさくの果肉だけを食べますが、中袋と皮にも豊富な栄養分があります。
はっさくの"苦み"の正体は「ナリンギン」という成分で、食欲抑制や脂肪分解を促進する作用があり、ダイエット効果が期待できます。また、血管を強化し、アンチエイジングや花粉症対策にも効果があるとされています。
はっさくの起源
八朔は1860年頃、広島県因島田熊町のお寺「恵日山浄土寺」の境内で発見された品種です。「八朔」の名は、当時の住職であった小江恵徳が「八朔には食べられる」と言ったことから名付けられたというのが定説です。ここでの「八朔」とは「八月朔日(さくじつ)」の略で、「朔日」とは「ついたち」、つまり「陰暦の8月1日(新暦の8月30日)には食べられる」という意味です。
はっさくの生産地
1位: 和歌山 23,991トン/年間(全国シェアは67%) 2位: 広島 7,161.9トン/年間(全国シェアは20%) 3位: 愛媛 1,309.5トン/年間(全国シェアは4%) 4位: 徳島 766.4トン/年間(全国シェアは2%) 5位: 大分 480トン/年間(全国シェアは1%)
八朔の風味
皮は厚いですが、剥いた時のさわやかな香りがたまらない柑橘です。上品な甘さとほどよい酸味に、独特のほろ苦さが特徴です。果肉の歯ごたえがあり、「プリ、パリッ!」とした「食感」と「味」のバランスがたまらず、「他の柑橘は食べなくても、『はっさく』は食べる!」という人もいる、少し癖になる味と言われています。
はっさくのカロリーの参考値
はっさくの可食部(※)100g当たりのカロリーは45kcalです。1個300gのはっさくの場合、可食部は約200gです。バナナが100g当たり86kcal、リンゴは57kcalと、馴染みのある果物と比較しても低カロリーです。
※ 砂じょう・生の場合。砂じょうとは中の袋の部分をむいた果肉のつぶつぶのことです。
はっさくに含まれる主要な栄養素は?ビタミンC
抗酸化ビタミンの一種であるビタミンCは、抗酸化作用でLDLコレステロールの酸化を防ぎ、ホルモンの生成をサポートし、鉄の吸収を助ける働きがあります。さらに、メラニン色素の沈着を抑制する作用もあります。
ビタミンCは熱や光に弱く、酸化しやすいため、はっさくのように皮をむいて生のまま食べる方が効率的に摂取できます。
はっさくに含む主要な栄養素とは?アスパラギン酸
アスパラギン酸はアミノ酸の一種です。
乳酸の分解とたんぱく質の合成を促進し、疲労回復に貢献します。ドリンク剤などでも利用されています。
はっさくに含まれる主要な栄養素は?クエン酸
柑橘類には共通してクエン酸が豊富に含まれており、カルシウムの吸収をサポートしたり、炭水化物の代謝を向上させるとされています。
さらに、疲労や肩こり、腰痛の原因である乳酸の抑制にも役立ちます。
はっさくに含まれる代表的な栄養素は?ビタミンP
はっさくの袋や筋の部分に豊富に含まれるヘスペリジンはビタミンPの一種で、ビタミンCの効果を助け、抗酸化作用をサポートします。
はっさくに豊富な栄養素は?β-クリプトキサンチン
オレンジ色の色素成分であるβ-クリプトキサンチンは、ビタミンAと似た働きを持ち、強い抗酸化作用を示し、免疫力を向上させる効果が期待できます。
特に皮の部分に多く含まれています。
はっさくのカット方法・皮のむき方は?
1. 皮にナイフを放射線状に入れ、中央を切り抜く外側の皮は硬いため、ナイフで放射線状に切り込みを入れ、上部の中央を丸く切り抜きます。
2. 皮をむき、身を取り出すために、1で放射線状に切れ込みを入れた皮を手でむき、身を取り出します。
3. ふさをバラします。取り出した身を一つずつのふさに分けます。
4. 内側の袋をむくために、バラしたふさの上部を包丁で落とし、袋を開くようにむいて中身を出します。
はっさくを楽しむ簡単レシピ:はっさくジュース
はっさくの酸味が気になる場合は、砂糖を加えたりバナナ1/2本を加えるのもおすすめです。苦みや食感が気にならない方は、袋ごとミキサーにかけると簡単に、はっさくをまるごと味わえます。
まるごと 八朔ゼリー
まるで本物のはっさく!はっさくゼリーのご紹介です。はっさくの皮を器にしてゼリーを固め、くし切りにしました。甘酸っぱくてなめらかな口当たりは、食後のデザートにもぴったりですよ。ぜひお試しくださいね。
はっさくの最適な保存方法
はっさくは冷暗所に保存すれば2~3週間もちますので、風通しの良い直射日光の当たらない場所に置きましょう。また、冷蔵庫に入れる場合は乾燥を防ぐためラップで包むか、ポリ袋に入れて野菜室で保存してください。適切な保存方法を守ることで、長く保存できておいしい期間を保てます。
美味しい八朔を選ぶ方法とは?
はっさくの旬は2月から4月の頃。美味しいはっさくを選ぶには、葉がしっかりついているか、皮のハリや香りが良いか、手に持ったときに重みを感じるかがポイントです。
はっさくの実の色は明るい橙色でツヤがあり、甘くさわやかな香りのものを選ぶと良いでしょう。重量感があり、皮にハリがあってヘタが緑色で瑞々しいものが美味しいはっさくと言えます。
皮がしわしわしたはっさくや、外皮に茶色い部分があるものは避けましょう。美味しいはっさくの大きさは直径7センチから10センチ、重量は300グラムから400グラムが適しています。
はっさくは日持ちする果物です。冷暗所に保存すれば2週間から3週間楽しめます。部屋の温度が高い場合は、ラップに包むか、袋に入れて冷蔵庫で保存すると長持ちします。
はっさくの品種とは?紅八朔
紅八朔は1951年(昭和26年)に広島で見つかった枝変わり品種です。枝変わりとは木の一部の枝にだけ生じる突然変異のことです。紅八朔は通常のはっさくよりも果皮にやや赤みがかかっているのが特徴です。
皮はやや厚めで果肉はしっかりしています。甘みにほどよい酸味が加わった果汁はとてもジューシーで、皮を剥くと良い香りが広がります。
はっさくの特長といよかんや甘夏との違い
ここまではっさくの特徴を解説しましたが、他にも「いよかん」や「甘夏」など、はっさくによく似ている柑橘類の果物がありますよね。これらはどのような違いがあるのか、それぞれの特徴についても見てみましょう。
伊予柑
いよかんは、酸味と甘みが調和した味わいで、果汁豊富なジューシーな食感が特徴です。外皮はオレンジ色で、温州みかんと比較すると厚めですが、はっさくよりは薄く、手でむけます。サイズははっさくより小さく、直径約8cm、重さ約250g程度のものが一般的です。
甘い夏
甘夏は夏みかんの変異で誕生した品種です。ほのかな苦味と爽やかな甘味が特徴で、果肉はプチプチとした食感が楽しめます。外皮ははっさくに似ており黄色がかったオレンジ色です。固めなので包丁などでむくのが良いでしょう。サイズははっさくより少し大きく、直径約10cm、重さ約450gです。
果肉も袋も皮も栄養満点のはっさく! 無駄なく楽しもう
はっさくはそのままでも加工しても、余すことなく実を楽しめる果物です。旬の時期には、ぜひ様々な方法で味わってみてくださいね。