かぼすは、美しい緑色とさわやかな香りが特徴の日本の柑橘類です。香酸柑橘類の一つであり、料理を引き立てる絶妙な酸味と風味で、多くの食卓に彩りを添えています。そのユニークな味わいや効能に注目が集まる中、多くの方がその使い方に興味を持っています。本記事では、かぼすの魅力や利用方法について徹底的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。かぼすの魅惑的な世界を、一緒に探索しましょう。
かぼすの概要
かぼすはデニスボールほどの大きさの濃い緑色のミカン科の果実で、香酸柑橘の一種です。柑橘類ならではのフレッシュな香りとさわやかな酸味が特徴で、絞った果汁や皮を使います。料理に香りや酸味を添えるために使うほか、果汁をジュースにしたり焼酎にレモン汁の代わりに加えたり、さまざまな使い方ができます。また、ポン酢やこしょうなどの調味料にも加工されます。名前の由来は、江戸時代に蚊をいぶすために刻んだかぼすの皮を使っていたことから「蚊いぶし」が「かぼす」に変化したとされています。当時は薬としても使われていたと伝えられており、現代とは異なる用途があったようです。
かぼすの特徴
かぼすは大分県の特産品であり、すだちに比べると重さも2〜3倍ほど重く、大きなものではテニスボールほどのサイズになります。すだち同様表面はツヤがあるため見た目はそっくりですが、切って中を見てみると果肉の色に違いがあります。すだちは緑味を帯びた黄色をしているのに対して、かぼすの果肉はオレンジがかった黄色。さらに味わいも異なり、かぼすはすだちと比べて酸味が穏やかです。一玉から大さじ2杯ほどの果汁をとることができるので、ドレッシングやジュースなどによく活用されます。
かぼすの生産地
かぼすの原産地はヒマラヤ地方であり、江戸時代に中国から日本に伝わりました。現在、日本国内で流通しているかぼすのほとんどは大分県で生産されています。日本に伝わった当初は全国で栽培されていましたが、元禄時代にある医師が京都から大分までかぼすの苗を持ち帰ったことがきっかけで、盛んに栽培されるようになりました。
かぼすの収穫時期
露地栽培のかぼすの旬は夏から秋にかけてです。また、春から初夏にかけてはハウス栽培のかぼすが流通しています。
かぼすの価格
旬の時期には1kgあたり数百円で流通していますが、ハウス栽培のかぼすが流通する時期には1kgあたり数千円となっています。
かぼすと類似の柑橘類との違い
かぼすに似た果実との違いや特性をお伝えします。
スダチ
かぼすとすだちの違いは大きさです。かぼすがテニスボールくらいの大きさであるのに対し、すだちはゴルフボールほどの大きさしかありません。どちらも濃い緑色をしており、見分けがつきにくいこともあります。見分ける方法としては、大きさを比較してみることがおすすめです。さらに、すだちはかぼすよりも香りが強く、その香りを楽しむために皮をマツタケやさんまに添えるのが定番の使い方です。
柚子
ゆずには濃い緑色の青ゆずと、黄色い黄ゆずがあります。かぼすと黄ゆずは色が違うため見分けやすいのですが、青ゆずはすだちと似ています。見分け方は大きさと皮の質感です。ゆずはかぼすとすだちの中間くらいの大きさで、皮がデコボコしています。なお、香りは独特で果汁には強い酸味があるのが特徴です。酸味が強く青ゆずは果汁が少ないため、主に皮を使います。
シークヮーサー
シークワーサーは、熟す前はかぼすのような深い緑色で、熟すとみかんのような橙色になります。果実の大きさはゴルフボールほどです。熟す前の深い緑色のものは青切りシークワーサーと呼ばれ、酸味が強いのが特徴です。熟したシークワーサーの果汁は、さっぱりとした酸味の中にわずかな甘味を感じます。柑橘類特有の爽やかな香りがあり、レモン汁のように料理に使ったり、果汁をジュースにしたりします。
かぼす、ゆず、すだちの違いの見分け方
まず一番わかりやすいのは大きさです。大きい方から順に、かぼす、ゆず、すだち。
かぼすはテニスボール、すだちはゴルフボールほど、青ゆずはその中間くらいの大きさです。かぼすとすだちは深い緑色で表面がつやつやしていますが、青ゆずはほんのり黄色が混ざり、ゴツゴツとした手触りが特徴です。
断面を見てみると、かぼすの果肉は赤みのある黄色、すだちは黄緑がかった色です。ゆずは種が多く果肉の量が少なめで、かぼすとすだちの中間くらいの薄い黄色です。
かぼす、ゆず、すだちの特性と利用法
次に、特産地や旬の時期などの基本情報、味や香り、栄養の特徴をご説明します。特に、栄養面では、かぼす、ゆず、すだちの栄養素やそれぞれの違いについても詳しく解説します。そして、それらの特徴に基づいて、どのような料理やシーンでの利用がおすすめかもご紹介しましょう。
クエン酸含有量トップクラス、それなのに甘さと酸っぱさの調和がとれた「かぼす」
大分県の特産品「かぼす」。年間収穫量は2位の宮崎県が24.5トンなのに対して、5400トンと圧倒的です!
熟すと黄色になるが、青玉のほうが芳香が豊か。そのため、旬は青い実が取れる8〜10月です。
すだちの3倍ほどの大きさで、一玉から約30ミリリットルの果汁が取れます。焼き魚の添え物以外にも、酢の物やドレッシング、ポン酢、鍋料理などに使えます。
他の2種よりも酸味のもとであるクエン酸が多く、甘みも含まれているため、甘みと酸味の調和がとれた柔らかな味わいが魅力。香りは上品で、白身の焼魚など繊細な味の料理に合わせても素材の風味を損ないません。
独特の華やかな香りと、複雑な風味が楽しめる「青ゆず」
高知県の特産品「ゆず」。11〜12月頃に出回る黄ゆずが知られていますが、8〜10月は青ゆずも流通しています。
種が多く、まだ小さい青玉から絞れる果汁はごくわずかです。また、青いうちは酸味と苦みが強く、糖度は高いものの複雑な味わいです。ただ、ゆずの皮には「ユズノン」と呼ばれる特有の香り成分が含まれているため、料理の香りづけには最適です。皮を削ったりスライスしたり、皮目を下にして果汁を絞ることで、その華やかな芳香を活用できます。
ゆず湯が人気なのもこの成分のおかげです。柑橘類の皮には血行促進作用があり、お風呂に入れると体を芯から温めてくれます。ユズノンは「50メートルプールに1滴入れても香る」と言われるほどの強い香りで、たくさんのお湯に入れてもしっかりと香ってくれます。
クセのない酸味と豊かな香りで、松茸やサンマと相性抜群な「すだち」
「すだち」は高知県に隣接する徳島県の特産品で、国内生産量の97%を占めます。すだちは青玉の方が風味豊かで、旬は8〜10月です。
3種の中では最も小さく、重さは20〜40グラムです。ゴルフボールと同じくらいか少し小さいサイズです。
特徴はクセのない酸味と強い香りです。苦みが少なく、どんな食材にも合うため、松茸やサンマなど香りの強い食材とも相性が良いです。皮にはポリフェノールの「スダチチン」が含まれ、体重増加の抑制や糖・脂質代謝の改善効果が期待されています。
かぼすの栄養価と健康効果
かぼすはビタミンCやクエン酸を豊富に含み、食欲増進や疲労回復に効果があると言われています。また、ビタミンCは抗酸化作用を持ち、体内でコラーゲンを生成するために必要な栄養素でもあります。さらに、かぼすにはスダチチンというポリフェノールの一種が含まれており、体重増加の抑制や糖・脂質代謝改善などへの効果が期待されています。
かぼすの美味しい活用方法
かぼすは香りや酸味を加えるため、料理に使われます。焼き魚の添え物としてはもちろん、唐揚げや刺身、天ぷらに絞っても美味しいです。ひと玉から約30mlの果汁が搾れるため、ジュースやドレッシング、ポン酢にたっぷり使うことができます。
レモン汁の代わりに焼酎やカクテルに加えたり、シャーベットやゼリーなどのデザート作りにもおすすめです。皮も刻んで料理の風味づけに使ったり、こしょうを作るのに使うこともできます。
かぼすの保存方法
かぼすは冷蔵保存も冷凍保存も両方できますので、使い勝手はとても良いです。冷蔵保存の場合は、数個をまとめてペーパータオルで包み、ジップロックなどに入れて口を閉じ、冷蔵庫の野菜室で保存します。これで1週間くらい保存が可能です。冷凍保存の場合は、かぼすを洗って水気を切った後、フリーザーバッグに入れて冷凍庫で保存します。これで数ヶ月保存が可能です。活用法としては、果汁を絞ってドレッシングやジュースに使ったり、皮を切ってお吸い物や酢の物に使ったりするのがおすすめです。
かぼすを活用した絶品レシピ
かぼすの特徴や他の柑橘類との違いがわかったところでここからは、かぼすを使った美味しいレシピをご紹介します。ドリンク、おかず、デザートなど簡単に作れるものを幅広くピックアップしているのでぜひ参考にしてみてくださいね。
カボスジュース
かぼすを使った美味しいドリンクをご紹介します。フレッシュなかぼすの果汁にはちみつを加えて、爽やかな甘酸っぱい味に仕上げました。かぼすの皮をすりおろして加えることで、豊かな香りを楽しめます。ぜひ、冷やしてお召し上がりください。
大葉とかぼすのモヒート風ドリンク
かぼすと大葉のモヒート風ジュースをお試しになりませんか?甘酸っぱさのあるかぼすと爽やかな風味の大葉を使って和風に仕上げました。大葉の香りがよく、非常に爽やかな後味です!簡単に作れるので、ぜひ試してみてくださいね。
大根とカボスのサラダ
かぼすの絞り汁を用いてドレッシングを作ります。シャキシャキした大根とともに、オリーブオイル、砂糖、しょうゆで作った和と洋の融合ドレッシングをお楽しみください。
主菜からデザートまで多彩なアレンジが楽しめるかぼす
いかがでしたか?かぼすの特徴や使い方、ほかの柑橘との違い、そしてかぼすを使った絶品料理などについてご紹介しました。かぼすは調味料やドリンクに限らず、主食からデザートまで幅広く利用できます。