日本の冬を彩る果実:温州みかんの魅力

日本の冬には、心温まる風物詩がたくさんありますが、その中でも特に鮮やかに季節を彩るのが温州みかんです。手軽に美味しい果実として親しまれるこのみかんは、寒い季節にぴったりの甘さと爽やかさを持ち、家族団らんのシーンに欠かせない存在です。厳しい冬の寒さの中で、手に取った瞬間に広がるその香りと味わいは、まさに日本の冬の象徴とも言えるでしょう。この記事では、そんな温州みかんの魅力について詳しくご紹介します。

 

温州みかんについて

温州みかんとは、一般的にみかんと呼ばれているもののことです。温州みかんには品種があり、主な品種には高橋早生、日南1号、宮川早生、興津早生、青島温州、寿太郎温州などがあります。10月は極早生温州が、10~12月までは早生温州が、12~3月下旬までは普通・晩生が収穫されています。

温州みかんの歩み

長崎県で柑橘類の栽培が始まったのは江戸時代のころ。佐世保市では江上文旦、平戸市では平戸文旦が育てられ、伊木力(諫早市)、長与(長与町)では温州みかんの栽培が始まりました。明治時代に入ると、特に伊木力(諫早市)で温州みかんの栽培が盛んになりました。

温州みかんの収穫時期と主な産地

温州みかんの生産量で最も多いのは和歌山県で、次いで静岡県、愛媛県です。また、温州みかんは収穫時期に応じて以下の4種類に分類されます。・極早生:9月~10月下旬頃に収穫・早生:10月下旬~12月下旬頃に収穫・中生:11月下旬~12月下旬頃に収穫・晩生:1月以降に収穫

温州みかんの種類と収穫時期

温州みかんにはさまざまな品種があり、それぞれの品種には旬の時期があります。

早摘みみかん

長崎県で生まれた早生みかん、原口早生(はらぐちわせ)は昭和45年に西海市の山奥にある原口誠司さんのみかん畑で発見されました。宮川早生の枝変わりで、大粒で柔らかく、甘みが強いのが特徴です。さらに、皮が薄く食べやすいため、幅広い年齢層に人気があります。早生みかんの出荷のピークは11月頃です。

晩成みかん

晩生(おくて)みかんの出荷ピークは通常の12~3月と同じです。晩生みかんには樹上で熟成させたり貯蔵してから出荷するものがあり、この方法で余分な水分が抜け、酸味が和らいで出荷されるため、甘みが増します。晩生みかんの皮とじょうのう膜(薄皮)は硬く、長期保存に適しています。

美味しい温州みかんの見極め方

温州みかんを選ぶとき、美味しいみかんを見分けたいですよね!そんなときは外観や重量で判断しましょう。

ヘタのサイズが小さいもの

ヘタの切り口が小さいほど、果実が甘くなります。木になっているときに軸が太いと水分が沢山送られ大味になりやすいですが、軸が小さい(ヘタが小さい)場合は水分が果実にあまり送られず、味がギュッと凝縮され濃厚な甘さになります。また、ヘタは緑色よりも黄色に近いものほどよく熟している証拠で、甘みも黄色に近いものの方が強くなります。

表面が滑らかで、皮が浮いていないもの

みかんの皮のブツブツ模様は「脂胞」と呼ばれます。この斑点のキメが細かいほど、みかんが甘くて美味しい証拠です。

大きさは小~中程度(Mサイズ程度)

一見同じに見えるみかんですが、丸いものや扁平形のものなど形には個体差があります。美味しいみかんを選ぶなら、扁平形のものを選びましょう。みかんは横に成長する際に甘さを蓄えるとされています。

果実全体が深いオレンジ色のもの

たくさんの太陽の光を浴びたみかんは、皮が鮮やかなオレンジ色になります。光合成を活発に行うことで、甘みがどんどん増していきます。

温州みかんのカロリーおよび栄養価

温州みかんのカロリー、栄養価は以下の通りです。温州みかん(じょうのう・普通)可食部100gあたり・カロリー 49kcal・ビタミンC 32mg・βクリプトキサンチン 1700μg温州みかん(砂じょう・普通)可食部100gあたり・カロリー 49kcal・ビタミンC 33mg・βクリプトキサンチン 1800μg「じょうのう」とは果肉の粒々を包んでいる薄皮の袋を指し、「砂じょう」は薄皮を剥がした粒々の果肉を指します。薄皮があることで栄養素の量に少し違いがあります。ビタミンCとは、水溶性ビタミンのひとつで、体内でコラーゲンの生成に関与するほか、抗酸化ビタミンのひとつとしても知られています。βクリプトキサンチンは人の血液中に存在する主要カロチノイドのひとつです。これまでの国内外の研究により、β-クリプトキサンチンがいくつかの種類のガン、糖尿病、関節リウマチ、動脈硬化等の発生リスクを低下させる可能性があることが示されてきました。

温州みかんの保存テクニック

温州みかんには、ただ置いておくよりもおいしさを保つ保存方法があります。

温州みかんの切り方と食べ方

みかんのヘタを下にして、みかんを両手に持ち片方の親指を表皮に押し込みながら両手で均等にゆっくり力を加えて、実を半分に割ります。このときヘタ部分は完全に切り離さず、半分になった果実を同様にさらに半分に割ります。4分割された果実は、ヘタ側から剥ぎ取るように表皮から取り離します。反対側から外すと白いスジが残ります。スジが気にならない場合は、食べやすい大きさにしてそのまま食べます。袋やスジは良質の繊維質ですので、できれば飲み込んでしまうのがよいです。

温州みかんの組み合わせ食べ方

食べ終わったみかんの皮を適当な大きさに切り、お湯でよく洗浄し、風通しのいい場所で10日ほど陰干しして乾燥させます。乾燥した皮に同量の千切り生姜と水を加えて約半分になるまで煮詰めます。煎じた生姜みかん湯は、咳による咽喉の痛みを和らげると云われています。ハチミツを加えるとさらに飲みやすくなります。

温州みかんに近い!人気の柑橘類リスト

柑橘類はミカン科ミカン属、キンカン属、カラタチ属の植物全般を指します。温州みかんもその一種で、他にも多様な柑橘が含まれます。

せとか

トロリと、とろけるような濃厚な甘さを持つせとかは、清見にアンコールという品種を掛け合わせ、さらにマーコットという品種を掛け合わせて作られた品種です。せとかは、長崎県口之津町からの地名(早崎瀬戸)と瀬戸内地方での栽培が期待されること、品種の良い香りにちなみ名付けられました。せとかの旬は2月で、果実は250gほどの大玉、果皮は橙色から濃い橙色で、表面はなめらかで美しく、外皮も薄くて浮き皮がなく締まっています。

不知火(デコポン)

不知火(デコポン)は清見とポンカンを掛け合わせた品種です。ヘタの部分がポッコリと出ているのが特徴でデコポンとも呼ばれます。品種名は不知火(しらぬひ)です。大きさは温州みかんよりも二回りほど大きく、外皮は厚いが簡単に手で剥けます。果実に種はなく、薄皮もそのまま食べることができます。果汁がたっぷりで、甘みがありコクもあります。デコポンは熊本県果実農業協同組合連合会の登録商標で、他県では不知火という名前で出荷されています。旬は2~5月頃です。

ポンカン

ポンカンはインド原産の柑橘で、中国から台湾を経て明治29年に鹿児島に伝来しました。味はみかんより甘くてコクがあり、独特な甘い香りが特徴です。外皮は剥きやすく、薄皮が柔らかいため袋のままでも食べられます。旬は11~12月で、貯蔵されたものは1~2月頃に出回ります。

はるみ

はるみは清見タンゴールとポンカンの交配種で、市場にはあまり出回らない晩生柑橘です。柔らかく果汁がたっぷりで、爽やかなオレンジの風味があります。粒がプチプチとして大粒で、種が少なく薄皮も食べられるほど薄いのが特徴です。旬は2~4月中旬頃となり、食べ頃は2月頃となります。

ジューシーな温州みかんを堪能しよう

温州みかんの種類や美味しいみかんの見分け方、アレンジレシピをご紹介しました。温州みかんは時期によって酸味と甘みのバランスが変わり、それぞれの美味しさを楽しめます。またビタミンCやβ-クリプトキサンチンといった栄養も含まれています。そのまま食べてももちろん美味しいですが、アレンジをすると美味しさの幅も広がるので、いろいろな食べ方にチャレンジしてみてください。

温州みかん