マカロン 発祥

マカロンの発祥地はイタリア?フランス?
「小さな粉つぶ」を意味するイタリア語「マッカローネ」から名前を取り、甘い誘惑として世界中を魅了するスイーツマカロン。しかし、その舞台はイタリアからフランスへと転じ、その進化の歴史は国境を越えました。
16世紀、カトリーヌ・ド・メディシスの結婚を機に、マカロンがフランスへと渡され、当初は単なるアーモンドクッキーとして迎えられました。しかし、17世紀に入ると、サンドイッチのように2つのクッキーにクリームを挟んだ、現代のマカロンの形となりました。中でもパリのパティスリー"Ladurée"のマカロンは名高く、世界中から愛され続けています。
マカロンはその名の通り、イタリアで生まれながら、フランスでその特徴的な形と風味を獲得しました。この異国の土地で育ったスイーツは、その歴史を知ることでさらにその深みを感じさせてくれます。
地域によって製法や特徴は異なり、フランス各地には様々なバリエーションのマカロンが存在します。基本的には卵白、アーモンド、砂糖を使うものの、「マカロン・ダミアン」、「マカロン・ナンシー」、「マカロン・ド・サンテミリオン」、「マカロン・ド・モンモリオン」といった、各地域の特色を持つマカロンが楽しめます。まさに、マカロンは一つとして同じものはない、という多種多様な魅力をもつスイーツと言えるでしょう。
マカロンはパリ生まれの「マカロン・パリジャン」から今の見た目に

マカロンの歴史
「マカロン」という言葉の起源は、イタリア語で「砕く」を意味する"ammaccare"語に由来し、その起源はアーモンドペーストが主要な材料として用いられていたことが関連していると言われています。「マカロン・ムー(macaron mou)」とは「やわらかいマカロン」を意味し、これがその正式名となります。
マカロンの起源と見られるのが、イタリア北西部ピエモンテ地方に伝わる伝統的な焼き菓子「ビスコッティ・アマレッティ」で、その歴史は古代ローマまで遡ります。
16世紀のルネッサンス時代に、フィレンツェのメディチ家からカトリーヌ妃がフランスのヘンリー2世と結婚する際、彼女に同行した料理長がビスコッティ・アマレッティの製法をフランス宮廷で伝えたとされています。こうしてイタリアの地元の菓子がフランス全土に広がり、地方ごとに独特のレシピが発展し、 マカロンが生まれたと伝えられています。
日本で初めてマカロンが登場したのは1968年、六本木の「ルコント」にてアンドレ・ルコント氏が初めて提供したものでしたが、その初期の頃は全く人気を博せなかったようです。
1982年にダロワイヨが東京・自由が丘に出店し、その後、パリの老舗パティスリー「LADURÉE (ラデュレ)」や「ピエール・エルメ・パリ」などが日本に進出。華麗で美しいマカロンは瞬く間に人気を得て、高級ギフトや贈り物の定番となりました。
日本のマカロンは、パリ風マカロン?
「マカロン・パリジャン」、あるいは「マカロン・リス」「マカロン・ジェルべ」とも呼ばれる、2枚の生地の間にガナッシュやクリームを挟んだこの洋菓子は、19世紀中頃、ラデュレ創業者の孫、ピエール・デフォンテーヌ氏によって考え出されたスタイルです。パリを中心に人気に火がつき、そのブームは日本海を渡り、我が国にもその風味と名前が定着しました。
しかし、その後日本で生まれたマカロンは、一時の流行ではなく、個々の美味しさと良質さで、フランスの伝統的なマカロンと肩を並べるまでになりました。日本のマカロンは、細部まで丁寧に時間をかけて作られた美しい一品であり、その見た目と品質、独自のアーモンド風味はとても高い評価を受けています。
パリから発信されたこのお菓子が、日本の感性と技術、現地の素材を取り入れた結果、出来上がったマカロンは、パリのそれとは一味も二味も違う、新しい魅力に溢れています。それが日本の抹茶や桜など和のエッセンスを取り入れたマカロンであり、訪日外国人からも愛される日本発のマカロンです。これらは確かに「パリ風」ではありますが、「風」であることを超え、パリのマカロンとは独自の進化を遂げた日本のマカロンなのです。
まとめ
マカロンは、8世紀イタリアから派生したと見られ、フレンチ・トリックにより、その姿が現在の形に進化しました。装飾的でカラフルな外観から流れ出る華やかさと、甘く上品な味わいは、世界中の食通を魅了し続けています。まさに、マカロンは一見の価値ありの芸術的なスイーツです。