ゆべしとは?種類や地域ごとの違いを徹底解説

もちもちとした食感と、甘じょっぱい味わいが魅力のゆべし。その歴史は古く、保存食として生まれたものが、時代とともに様々な形へと変化を遂げてきました。この記事では、そんな奥深いゆべしの世界を徹底解説。柚子を使った伝統的なものから、くるみやごまを使った現代的なものまで、地域ごとの違いや製法、おすすめの食べ方などを詳しくご紹介します。あなたのお気に入りのゆべしを見つけてみませんか?

ゆべしとは?その定義と多様な種類

「ゆべし」とは、主にもち米や米粉、砂糖、しょうゆなどを原料にして作られる日本の伝統菓子で、もっちりとした食感と風味豊かな味わいが特徴です。全国各地に存在し、使われる材料や味付け、見た目にバリエーションがあります。特に柚子やくるみを使ったものが有名で、甘いものからしょっぱいものまで多種多様です。お茶うけや贈答品としても人気があり、地域ごとの特色が光る郷土菓子の一つです。

ゆべしの名前の由来と歴史

「ゆべし」の語源は「柚餅子(ゆべし)」と書かれ、もともとは柚子の中に味噌やもち米を詰め、蒸して乾燥させた保存食が起源とされています。平安時代からその存在が記録されており、薬効を期待された高級な食品でもありました。時代が進むにつれて、各地で材料や製法が独自に発展し、現在のような菓子風のゆべしが定着しました。日本の食文化と共に歩んできた、歴史ある伝統食です。

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ゆべしの主な種類:柚子、くるみ、地域ごとの特色

ゆべしにはさまざまな種類があり、代表的なのが「柚子ゆべし」と「くるみゆべし」です。柚子ゆべしは、柚子の香りを生かし、さわやかな風味が特徴。一方、くるみゆべしはもちもちとした生地にくるみを混ぜ込んだ甘味のある菓子で、特に東北地方で親しまれています。地域によっては味噌を使った塩気のあるゆべしや、黒糖、醤油を加えたものもあり、各地の気候や食文化に根ざしたバリエーションが楽しめます。

くるみゆべしは、東北地方、特に宮城県や福島県などで古くから作られてきた郷土菓子です。もち米や米粉、砂糖、醤油を練り合わせた生地に、香ばしいくるみをたっぷりと混ぜ込んで作られます。もっちりとした食感と、くるみの歯ごたえ、ほどよい甘じょっぱさが絶妙に調和し、お茶うけや贈答品としても人気です。冷蔵保存で日持ちもしやすく、伝統的な和菓子として現代でも愛されています。

くるみゆべしの作り方:基本のレシピ

一般的な製法では、まず、くるみを軽くローストし、粗く刻みます。次に、砂糖、醤油、水を鍋に入れ、加熱してシロップ状にします。このシロップにもち粉を少量ずつ加え、ダマにならないよう丁寧に混ぜ合わせ、ゆべしの生地を作ります。生地に刻んだくるみを加えて混ぜ込み、再び加熱します。生地が透明感のある飴色になったら、平らな容器に流し込み、冷やして固めます。最後に、お好みの大きさに切り分けて完成です。砂糖の代わりに水飴を使用すると、よりしっとりとした食感になります。

地域別おすすめゆべし:ご当地ゆべし紹介

日本各地には、その土地ならではの材料や製法で作られた、個性豊かなゆべしが存在します。ここでは、特に魅力的なご当地ゆべしを、地域ごとに厳選してご紹介します。

【福島県】かんのや:家伝ゆべし

1860年創業のかんのやは、福島県を代表する老舗の和菓子店です。看板商品の「家伝ゆべし」は、鶴が羽ばたく姿をかたどった独特の形状で知られています。中には上品な甘さのこしあんが包まれており、もっちりとした生地との相性が抜群です。表面に散りばめられたけしの実が、香ばしい風味と食感のアクセントを加えています。「家伝くるみゆべし」も人気があり、こちらは、より一層柔らかい生地と、くるみの豊かな風味が楽しめます。

【福島県】柏屋:くるみゆべし もちずり

柏屋は、福島県を代表する銘菓「薄皮饅頭」で有名な老舗菓子店です。「くるみゆべし もちずり」は、その名の通り、餅のような滑らかな舌触りと、香ばしいくるみの風味が特徴です。比較的柔らかく、口当たりの良い生地の中に、くるみがバランス良く練り込まれています。あっさりとした甘さで、お土産やちょっとした贈り物にも最適です。

【福島県】みよし堂:多彩なゆべしが魅力

大正時代から続くみよし堂は、伝統のくるみゆべしに加え、ごま、抹茶、あん入りなど、バラエティ豊かなゆべしを提供しています。中でもくるみゆべしは、もっちりとした生地に、香ばしいくるみがたっぷり。その食感のコントラストが楽しめます。色々な味が楽しめる詰め合わせも人気です。

【福島県】大黒屋:素材本来の味を活かしたゆべし

大黒屋のくるみゆべしは、厳選されたもち米と風味豊かなくるみを贅沢に使用。添加物を一切使わない、こだわりの製法が特徴です。大きめのくるみが、生地の程よい弾力と絶妙に調和。本醸造醤油の香りが、素材の旨みを引き立てます。ごまゆべしもおすすめです。

【宮城県】甘仙堂:懐かしい素朴な味わい

甘仙堂のくるみゆべしは、小ぶりながらもずっしりとした重みがあり、もっちりとした食感が特徴です。地元・東松島産の醤油を使用し、素材本来の味を活かしたシンプルな味わいは、どこか懐かしさを感じさせます。ごま、柚子、苺、栗など、季節限定のゆべしも人気です。

【岩手県】千秋堂:くるみの食感が際立つゆべし

千秋堂のくるみゆべしは、大ぶりにカットされたくるみが特徴。生地に練り込むのではなく、表面に贅沢にトッピングされています。一口ごとにくるみの香ばしい風味と、心地よい食感が楽しめます。柔らかめの生地と、さっぱりとした甘さが絶妙。切り落としタイプなので、手軽に購入できるのも魅力です。

【山形県】作和庄:手作りのぬくもり伝わるゆべし

作和庄の「伝承ゆべし」は、一般的なくるみゆべしとは一線を画し、職人が一つひとつ丁寧に丸めて仕上げています。うるち米を原料とした米粉を使用し、山形県に古くから伝わる製法を守り続けています。定番のくるみを乗せて笹で包んだ「笹ゆべし」や、風味豊かな粒あんを包み込んだ「草ゆべし」など、バラエティ豊かなゆべしが楽しめます。

【山形県】杵屋本店:山形県産米粉の風味豊かなゆべし

杵屋本店の「やまがたゆべし」は、山形県が誇るブランド米、つや姫の米粉を贅沢にブレンドしているのが特徴です。心地よい歯ごたえともっちりとした食感が絶妙なバランスを生み出しています。山形県産の醤油を使用し、どこか懐かしい素朴な味わいの中に、香ばしいくるみがたっぷり練り込まれています。

【秋田県】蕗月堂:上品な味わいのくるみもち

蕗月堂の「くるみもち」は、見た目よりもずっしりとした重みがあり、食べ応えがあります。生地は柔らかく、優しい口当たりが特徴です。大粒のくるみが惜しみなく使われており、甘さを抑えながらも、醤油の香りが奥深く、軽やかさと満足感を両立しています。醤油味とゴマ味が楽しめる「二色くるみもち」もおすすめです。

【新潟県】本間屋:伝統の味、越後柚餅子

本間屋は、1829年創業の老舗柚餅子専門店。江戸時代に京都の僧侶から製法が伝授されたという「越後柚餅子」が看板商品です。くるみは使用せず、新鮮な柚子、もち米、水飴などを原料とする蒸しタイプのゆべしです。やわらかな食感と、爽やかな柚子の香りが口いっぱいに広がります。定番の棹菓子タイプから、ハーフサイズ、切り落としタイプの「ゆずっこ」まで、様々な種類が用意されています。

備中ゆべし(岡山県)

岡山県、かつての備中国は柚子の名産地であり、江戸時代から地元で採れた柚子を使ったゆべし作りが盛んでした。高梁のゆべしは、平たい板状、スティック状、サイコロ型など、多彩な形状が見られます。一方、矢掛のゆべしは、羊羹を使い丸い形に仕上げたものや、紐状のものが知られています。高梁のゆべしは、柚子、もち米粉、砂糖などを原料とし、餅のような柔らかさと、もちもちした食感が魅力です。矢掛のゆべしは、柚子の上の部分を切り、中身をくり抜いて、柚子風味の羊羹を詰めて蒸したものがよく知られています。

その他のゆべし:柚子の皮の佃煮

柚子の皮を調味料と共に丁寧に煮詰めたものも、「ゆべし」と呼ばれることがあります。これは古くから伝わる保存食であり、醤油、味噌、みりんなどで味が調えられています。ご飯のお供として親しまれています。主な産地は長崎県の壱岐などで、壱岐では柚子の皮のみを煮たものをゆべしと呼び、薬味として使われています。

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結び

ゆべしは、その種類の豊富さと歴史に裏打ちされた、奥深い和菓子です。柚子の香りを活かしたもの、くるみの風味が豊かなもの、地域ごとの伝統的な製法で作られたものなど、多種多様なゆべしが存在します。この記事を参考に、ぜひご自身のお気に入りのゆべしを探し、その豊かな風味を堪能してください。

質問1:ゆべしとはどのようなお菓子ですか?

回答:ゆべしは、もともとは柚子を用いた和菓子でしたが、現在では地域によって様々なバリエーションがあります。柚子をメインに使ったもの、くるみを使ったもの、保存食として珍重されるゆべしなどがあります。

質問2:くるみゆべしはどこで生まれたの?

答え:くるみゆべしは、主に東北地方で生まれたとされています。この地域では柚子の栽培が難しかったため、代わりに手に入りやすいくるみを使用したのが始まりと伝えられています。

質問3:ゆべしってどれくらい日持ちするの?

答え:ゆべしの種類や製造しているお店によって変わってきますが、だいたい製造日から1週間から1ヶ月くらいが目安です。購入するときは、必ず賞味期限をチェックしてくださいね。

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