ピタヤ(ドラゴンフルーツ)の魅力とは

鮮やかなピンク色や独特な形状で一目見たら忘れられない果物、それがピタヤ(ドラゴンフルーツ)です。南国の果実として知られるピタヤは、見た目のインパクトだけでなく、その豊富な栄養価と健康効果でも注目されています。ビタミンCや食物繊維がたっぷり含まれ、美肌や体内の調整に役立つと言われるこの果物。今回は、ピタヤの魅力と、その健康への効果について詳しくご紹介します。

ドラゴンフルーツ(ピタヤ)とは何か

ドラゴンフルーツ、またはピタヤとして知られるこの果実は、サボテン科のサンカクサボテンなどから収穫されるもので、特に赤い果実が特徴です。

ヒモサボテン属の植物は、アメリカ南西部からベネズエラやペルーにまで広がっており、特に食用とされる種はメキシコの亜熱帯高地とその周辺の海岸地帯に自生しています。これらの植物は、コロンブスが到達する前から栽培されており、19世紀末に商業的な栽培が開始されました。フランス人によってベトナムに導入されて以来、ベトナムでは100年を超える歴史を持つ作物となっています。

クジャクサボテンや月下美人など、似た特性を持つサボテンも存在しますが、これらはサボテン科クジャクサボテン属に属しています。ヒモサボテン属とクジャクサボテン属は密接な関係があり、見た目や花、果実が類似しています。

名前の由来

「ピタヤ」という言葉は、アンティル諸島の言語で「鱗のある果物」を指し、スペイン語では pitahaya と書かれます。ただし、スペイン語では「h」が発音されず、「y」がヤ行とジャ行の中間音(ジェイスモ)として発音されるため、「ピタジャ」などと聞こえます。中米では「ピタジャ」や「ピタージャ」とも発音されますが、地域によっては「ピタハヤ」と発音し、「pitajaya」と書くところもあります。日本ではピタヤまたはピターヤとして知られています。

ベトナム語での名称は「タイン・ロン (thanh long)」、つまり「青竜」を意味します。これは果実が成熟する前の緑色の状態と、その表面が竜の鱗のように見えることに由来しています。

中国語では「火竜果」と呼称されており、日本では果皮が黄色いものを区別してイエローピタヤとも呼ばれています。当初、ベトナムから輸入され始めた際にサンカクサボテン類の果実全般をピタヤと呼んでいましたが、ドラゴンフルーツという名は、ベトナムから輸出される際に中国語を英語に直訳した商品名が広まったものです。

形状

アボカドほどのサイズで、形状もそれに似ており、サボテン科の果実特有の緑の突起が表面に見られます。一般的に光沢のある鮮やかな赤の果皮が多いですが、中には黄色のものも存在します。

果実の内側

果肉は通常、ゼリー状の白色をしており、ほかにも黄色、赤色、紫色、桃色などさまざまな色が存在します。これらはそれぞれ、ホワイトピタヤ、イエローピタヤ、レッドピタヤなどと呼ばれています。果汁もたっぷり含まれていて、表面には黒い胡麻のような小さな種子がびっしりと付いています。この種子は取り除く必要はなく、果肉と一緒に食べることができ、キウイフルーツに似た食感を楽しむことができます。

ピタヤの風味

南国のイメージが強いフルーツながら、意外に控えめな味わいで驚かれることも多いです。ホワイトピタヤは、ほんのりとした甘さと酸味があります。レッドピタヤは、ホワイトより少し甘く、酸味もあります。イエローピタヤは、他のピタヤに比べてより甘く、さっぱりした味わいで、酸味はほとんど感じられません。ピンクピタヤは濃厚な甘さを持ち、一般的に流通しているピタヤの中で最も甘いと言われています。ゴールデンドラゴンはホワイトピタヤよりさらに淡泊とされ、ミニドラゴンはホワイトに似た風味です。果皮は生のままだと硬いですが、加熱すると柔らかくなり、茹でたり炒めたりして野菜としても楽しめます。

栄養成分

アルブミンやアントシアン、ブドウ糖、リン酸、ポリフェノールを始め、食物繊維やカロチン、カルシウム、鉄分、ビタミンB1・B2、ナイアシン、ビタミンCなど多くの成分が含まれており、健康食品としての評価が高まっています。赤肉種に含まれる色素は、天然の染料として口紅や衣類の染色に利用されていますが、衣服に付くと取れにくくなるため、取り扱いには注意が必要です。

主要な生産地

主に栽培されている地域には、中南米のメキシコやエクアドル、東南アジアのベトナムやマレーシア、さらには台湾や中国南部、イスラエルが挙げられる。最近では、オーストラリアやスペイン、アメリカ南部、日本でもその栽培が広がっている。

日本における流通

日本の市場に出回っている多くの果物は輸入品に頼っています。これらは保存性を高めるために未熟な状態で収穫され、ピタヤは特に収穫後も甘みが増しにくい果物であるため、甘さに乏しいことが少なくありません。

特定の品種を用いて、しっかりと木の上で完熟させ、適正な肥料を施すことで糖度が20度程度まで引き上げることが可能ですが、その代わり保存期間が短くなるため、通常の市場には出回らず、目にする機会が限られています。

21世紀に入ると、日本でも沖縄県や奄美群島、九州でピタヤの栽培が始まり、これらの地域では甘みが強く、完熟に近い果物を味わえるようになりました。また、九州や沖縄以外の地域でもハウス栽培が見られるようになっています。主に日本で栽培されているのはレッドピタヤ、ホワイトピタヤ、イエローピタヤです。

ピタヤ