王林とは

果物の王様とも称されるリンゴ。その中でも、ひと際存在感を放つのが「王林」という品種です。甘さと香り、そしてその独特な風味で、多くのリンゴ愛好家を魅了し続けています。では、王林とは具体的にどのような特徴を持ち、何がその魅力なのか。栽培の歴史から美味しい食べ方まで、その奥深い世界を探ってみましょう。家庭でのデザートとしても最適な王林の秘密を解き明かしていきます。

王林の特質

「王林(おうりん)」は福島県の大槻只之助氏によって開発された青りんごの品種です。親品種は「ゴールデンデリシャス」と「印度」とされ、1943年に初めて実をつけました。1952年にこの名前が付けられ、以来、青りんごの品種の中で長らく栽培面積1位を保持しています。このりんごは黄緑色の皮を持ち、やや縦長の形状で重さは約300gです。甘みが強く酸味は控えめで、香りが豊かです。シーズン中盤あたりからはわずかに黄色味を帯びたものも市場に出回ります。王林の特徴として、皮に小さな果点が目立つことが挙げられます。また、茶色いヒビ状の「サビ」が生じることがあり、見た目には影響しますが、ザラザラしたものの方がより甘く美味しいとされています。さらに、貯蔵性が高いのも魅力で、10月中旬ごろから翌年の夏にかけて市場に流通します。

王林の見分け方と選定方法

王林は黄緑色のりんごで、熟すとともに黄色味を帯びてきます。そのため、酸味が少ないものを好む場合は、緑が濃いものよりも黄色味のあるものを選ぶと良いでしょう。さらに、王林は表面の点々(果点)が目立ち、茶色いサビがあるもののほうが甘みが強いとも言われます。そのため、外観の美しさにはあまりこだわらなくても良さそうです。また、手にしたときに軽いものより、重みを感じるもののほうがジューシーです。

王林を保存するための方法

乾燥した環境や暖房が効いた部屋に置くと、すぐに鮮度が落ちます。新聞紙で包んでからポリ袋に入れ、涼しく暗い場所や冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。王林は保存が利くりんごですが、それでも鮮度が良い状態で10日以内に消費するのが理想的です。特に果肉が柔らかいものは冷蔵保存し、できるだけ美味しいうちにお召し上がりください。

王林の楽しみ方

赤いりんごだけでなく、青りんごにもポリフェノールや食物繊維が果皮に豊富に含まれています。もし果皮のざらざら感が気にならないようであれば、一緒に皮ごと食べるのが良いでしょう。薄切りにしてサラダに加えるのも一案です。そのまま食べるのはもちろんですが、スムージーやサラダに取り入れるのも素晴らしい選択です。大量にある場合は、加熱してジャムやコンポートにすると、赤りんごとは異なる風味を楽しむことができます。

王林が市場に出回る時期と主な生産地

王林は一年中市場に出回っていますが、特においしい時期は10月下旬から11月にかけてです。貯蔵されたものは次の夏まで販売されています。2022年の王林の収穫量で最大の産地は青森県で、その量はおよそ4万2,600トンです。次に多いのは岩手県で約2,530トン、続いて三番目に多いのは山形県で約2,080トンとなっています。

王林