フランス発祥のダックワーズサンドは、その軽やかな食感と豊かな風味で多くのスイーツ愛好家を魅了してきました。一見シンプルなこのお菓子には、実は奥深い味わいの秘密が隠されています。外側はサクサクと軽く、内側はしっとりとしたアーモンドメレンゲが特徴的な生地。さらに、その間にはバタークリームやガナッシュなど多彩なフィリングが挟まれ、一口ごとに異なる味わいを楽しむことができます。このダックワーズサンドの魅力を、食感や風味に着目して解剖してみましょう。
ダックワーズの歴史と独特な風味
ダックワーズの出自を紐解く。
ダックワーズはフランスにルーツを持ち、アーモンド風味のメレンゲを使用して焼き上げられるお菓子です。このデザートは、日本の洋菓子店で非常に人気がありますが、日本で見ることができるダックワーズは独自のアレンジが施されています。その名前は、フランスの南西部に位置するDax(ダックス)という街から由来しています。この地域では、19世紀の終わりに「アンリ4世」と呼ばれるスポンジケーキ風のお菓子があり、それがダックワーズの原型です。フランスでは、このお菓子はダコワーズと呼ばれ、主にホールケーキの土台として使用されてきました。このダックワーズが現在の日本の形態へと変化したのは、フランス在住の日本人パティシエによる創意からでした。日本でのダックワーズは、ケーキの土台としての大型ではなく、和菓子の最中に似た小判型に進化しています。このデザインは、試行錯誤を重ねながら完成し、日本中で広まりました。さらには、この日本風のダックワーズがフランスでも良好な評価を得ているという話もあります。
ダックワーズの魅力的な味。
ダックワーズの味わいは、外側はさっくりとしている一方で、内側はしっとりと柔らかな食感が楽しめます。通常、その中にクリーミーなフィリングを挟むのが一般的です。この生地の食感と中のクリームが口の中で絶妙に融合し、上品な甘みを堪能できます。様々な洋菓子店では、生地やクリームに様々なアレンジを加え、同じ形ながらも多彩な味わいや色を持ったダックワーズが提供されています。例えば、クリームにイチゴやレーズンを入れたり、抹茶を取り入れたりすることで、ダックワーズは多様なバリエーションが生まれます。
手軽に作れる美味しいダックワーズのレシピ
【材料】
◎ベース
・卵白125g
・グラニュー糖75g
・アーモンドパウダー90g(可能であれば皮付きアーモンドを粉状にしたもの)
・粉糖50g
・薄力粉8g
【手順】
◎生地準備
1. あらかじめ粉糖50gとアーモンドパウダー90gを混ぜてふるっておきます。この準備は「タンプルタン(TPT)」と呼ばれます。
2. 卵白をボウルに入れ、グラニュー糖を加えしっかりと泡立て、角が立つまで泡立ててください。
3. ふるったタンプルタンに薄力粉を加え、メレンゲに混ぜ込みます。手早く、少ない回数でしっかりと混ぜてください。
4. 焼紙を敷いた天板の上に絞り袋で生地を絞り、リング状の型に詰め、表面を平らにならして粉砂糖をふりかけ、200℃のオーブンで約10分焼き上げます。
*焼き上がったダックワーズに、キャラメルクリームやチョコレートクリームを挟んで完成です。
【作成のポイント】
ダックワーズはケーキの土台としてよく使われますが、ムースの底生地にも適しています。普段は「ビスキュイ・ジョコンド」というアーモンド生地が使われますが、同様の材料で作ったダックワーズも魅力的です。粉砂糖を振って焼くことで独特の食感を維持できます。
【ワンポイント】
旬のリンゴを使ったムースを作る場合、刻んだリンゴをキャラメルで煮て、カスタードクリーム、ゼラチン、軽く泡立てた生クリームと組み合わせたムースを、ヘーゼルナッツ粉とくるみを混ぜたダックワーズに合わせると、少し濃厚なムースとダックワーズが絶妙に調和します。
ダックワーズを成功させるための秘訣
泡立てたメレンゲがしっかりと艶を持っていることが、生地作りの基本ですね。粉類は優しく滑らかに混ぜ、少し高温のオーブンで素早く焼くことも重要です。
まとめ
バリエーションが豊富なダックワーズは、シンプルな作り方と形の変化が特徴で、独特の食感を楽しませてくれます。多彩なクリームの色や味わいの中から、お気に入りのダックワーズを見つけてみるのもおすすめです。