桃とネクタリンのいいとこどり!幻のフルーツ「ワッサー」の魅力に迫る
「ワッサー」という名前を聞いたことがありますか?桃のような見た目と、ネクタリンのようなつるりとした舌触りを持つ、まさにいいとこどりの幻のフルーツです。長野県で生まれたこの希少な果物は、桃の甘さとネクタリンの酸味、そして独特のシャリシャリとした食感が楽しめます。今回は、ワッサーの知られざる魅力に迫り、その特徴や美味しい食べ方、さらにとっておきのアレンジレシピまで、詳しくご紹介します。

信州生まれの「ワッサー」とは?

ワッサーは、1990年(平成2年)に長野県須坂市にお住まいの、中村渡氏によって品種登録された、信州生まれの革新的な果実です。この独特なフルーツは、桃とネクタリンが自然に交配して偶然生まれたもので、それぞれの親の良いところを程よく受け継いでいます。良質なフルーツの産地として知られる長野県須坂市でワッサーが生まれたことは、長野県の高い農業技術と、新しい品種を生み出す情熱を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。ワッサーの発見と登録は、日本のフルーツ界に新しい風を吹き込み、その特別な風味と食感で多くの人々を魅了し続けています。地元長野県では早くからその価値が認められ、徐々に全国のフルーツ愛好家の間で「知る人ぞ知る」存在として注目を集めています。良質なフルーツの産地として知られる長野県須坂市でワッサーが生まれたことは、長野県の高い農業技術と、新しい品種を生み出す情熱を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。このように、ワッサーは単なる新しいフルーツではなく、長野県の豊かな自然の恵みと、生産者の絶え間ない努力と情熱が詰まった、特別な果物としての地位を確立しています。全国的な知名度はまだ桃やリンゴには及ばないかもしれませんが、一度味わえば忘れられない魅力を持つ、まさに隠れた名品として記憶に残ることでしょう。

ワッサーの主な特徴

ワッサーの最も顕著な特徴は、他にはない「食感」と「味のハーモニー」です。果肉は桃のような柔らかさに加えて、ネクタリンから受け継いだ、しっかりとした「やや硬め」の歯ごたえがあり、この独特の食感がワッサーを際立たせています。見た目にも特徴があり、果肉は鮮やかな黄色を帯びており、その色が透けて見えることで、皮にも「オレンジがかった」色合いを与えています。一般的な桃の果肉がピンクやクリーム色であることが多いのに対し、ワッサーの黄色い果肉は、見た目の魅力も高めています。ワッサーは絶妙な酸味も持ち合わせているため、より味が濃く感じられ、飽きずに楽しめます。この甘さと酸味のバランスが、ワッサーの風味に奥深さと奥行きを与え、後味をさっぱりさせてくれます。
さらに、ワッサーは皮がむきやすいという実用的なメリットも、大きな魅力の一つです。桃の場合、熟すと果肉が非常に柔らかくなり、皮をむく際に果汁が滴り落ちて手がベタベタになったり、扱いにくく感じたりすることがあります。しかし、ワッサーは果肉が比較的硬めであるため、皮をむいても果汁があまり垂れず、手が汚れにくいという利点があります。この特性により、少しコツを掴めば、包丁を使って簡単かつ綺麗にカットできます。果肉が硬いからといってジューシーさに欠けるわけではなく、一口食べれば、そのみずみずしさが口いっぱいに広がり、しっかりとした歯ごたえとともに、ワッサーならではの爽やかな食感と味わいを堪能できます。皮は薄く、丁寧に洗えば皮ごと食べられるため、手軽に栄養を摂取できる点も魅力です。これらの様々な特徴が、ワッサーを夏のフルーツの中でも特に魅力的な存在にしています。

ワッサーの収穫時期と旬

ワッサーの収穫時期は、夏の盛り、まさに旬の時期に集中しており、その時期にしか味わえない特別なフルーツです。具体的には、毎年8月の上旬から中旬にかけてが、ワッサーが最も美味しくなる時期とされています。この限られた期間に、長野県須坂市を中心とした産地では、ワッサーの収穫作業が本格的に行われます。
夏の暑い時期に、冷やしたワッサーを一口食べれば、その爽やかな甘酸っぱさと独特の食感が、体の中からリフレッシュさせてくれるでしょう。このように、ワッサーは旬が短いので、この時期を逃さずに、そのみずみずしい魅力を存分に味わうことが、最も美味しい楽しみ方と言えるでしょう。

ワッサーと桃・ネクタリンの違い

ワッサーは、桃とネクタリンが自然交配して生まれた品種で、両方の特徴を受け継ぎながら、独自の魅力を持つ果物です。

見た目の違い

見た目は桃に似ていますが、皮の色に違いがあります。 桃の皮はピンク〜赤色が多いのに対し、ワッサーはオレンジ色をしています。これは果肉がオレンジ色であるため、その色が皮にも現れているためです。 この違いは、店頭でワッサーと桃を見分ける際の目安になります。

味と食感の違い

ワッサーは、桃のジューシーさとネクタリンのシャキッとした歯ごたえの両方を備えています。 桃は完熟すると柔らかくなりますが、ワッサーは熟しても比較的硬めで、シャキシャキとした食感が特徴です。 味わいは、桃の甘さにネクタリンの酸味が加わり、奥行きのある風味が楽しめます。
また、果肉がしっかりしているため、皮をむくときに果汁が垂れにくく、手を汚さずに食べられるのもポイント。 きれいにカットできるため、手軽に楽しみたい方にもおすすめです。

サイズ感

ワッサーの果実は平均150g前後で、桃よりやや小ぶり。ネクタリンと同程度か、やや大きめのサイズです。
ワッサーは、見た目・食感・味すべてにおいて、桃とネクタリンの良さを取り入れながら進化した、ユニークで魅力的なフルーツです。
(出典:長野県果樹試験場『ワッサーの特性と栽培』, https://www.pref.nagano.lg.jp/nogyoken/fruit/documents/wassa.pdf, 2012-03)

ワッサーの隠れた魅力とおすすめしたい人

ワッサーは、長野県生まれのフルーツで、桃とネクタリンの良さをあわせ持つ品種です。食感はしっかりとしていて、甘さの中にほどよい酸味があり、爽やかな味わいが特徴です。
ただし、生産量が限られているため、まだ全国的な知名度は高くなく、特に長野県外では「聞いたことがない」という声も少なくありません。そのため、まだ知られていない“隠れた逸品”ともいえる存在です。
ワッサーは、以下のような好みを持つ方に特におすすめです。
  • 柔らかい桃よりも歯ごたえのある果物が好きな方  シャキシャキとした食感が楽しめるため、かためのフルーツが好みの方にぴったりです。
  • 甘いだけでなく、酸味とのバランスを重視する方  ワッサーは、桃の甘みとネクタリンの酸味をあわせ持っており、さっぱりとした後味が魅力です。
  • 手軽にフルーツを食べたい方  果肉がしっかりしているため、皮をむいたときに果汁で手が汚れにくく、外出先などでも気軽に楽しめます。
旬の時期は夏。まだ味わったことがない方は、この機会にぜひ試してみてはいかがでしょうか。きっと、新たなお気に入りになるかもしれません。

ワッサーの育て方

ワッサーの栽培は、美味しさを追求するために、とても丁寧な作業が必要です。例えば、ワッサー栽培で問題となるのは、シカやタヌキなどの野生動物による被害です。これらの動物は熟した果実が好きで、収穫間近のワッサーの木に大きな被害を与えます。そのため、農家は動物対策として柵を設置したり、見回りをしたりと、多くの時間と労力を使わなければなりません。これが、ワッサー栽培の難しさの一つです。
しかし、フルーツ栽培は簡単ではありません。特にワッサー栽培で問題となるのは、シカやタヌキなどの野生動物による被害です。これらの動物は熟した果実が好きで、収穫間近のワッサーの木に大きな被害を与えます。そのため、農家は動物対策として柵を設置したり、見回りをしたりと、多くの時間と労力を使わなければなりません。これが、ワッサー栽培の難しさの一つです。
また、ワッサーの品質とサイズを決める上で大切なのが、「摘果」という作業です。これは、実が小さいうちに、たくさん実ったものや形の悪いものを間引くことで、残った実に栄養が集中するようにする作業です。摘果を適切に行うことで、ワッサーは大きく、甘みと酸味のバランスが良い、美味しい果実になります。摘果の仕方によっては、普通の桃よりも大きなワッサーが収穫できることもあります。しかし、摘果の判断は難しく、間引きすぎると収穫量が減り、少ないと実の品質が落ちてしまうため、経験と技術が必要です。ワッサーの栽培は、天候や動物、人の手による管理など、色々な要素が関係する大変な作業なのです。

ワッサーの美味しい食べ方

ワッサーの醍醐味は、何と言ってもそのフレッシュな甘さと酸味のハーモニー、そしてシャキシャキとした食感です。最もシンプルで贅沢な食べ方は、生のまま味わうこと。産毛がない滑らかな皮は、丁寧に洗えばそのまま食べられるので、手軽に丸かじりできます。皮ごと食べることで、ワッサーの豊かな風味と栄養を逃すことなく堪能できます。もちろん、ジャムやコンポートにしても美味しくいただけますが、まずは生のワッサーならではのジューシーさと食感を味わってみてください。冷やしたワッサーを口にすれば、爽やかな甘酸っぱさと独特の歯ごたえが、夏の暑さを忘れさせてくれるでしょう。

見た目も味も長持ち、保存も簡単

果物の皮むきが苦手だったり、カットした後の変色が気になったりする方もいるでしょう。ワッサーは皮を剥く手間こそありますが、表面に毛がないため、丸洗いしてそのまま食べることも可能です。さらに、桃に比べて水分量が少なく、果肉の色味が濃いため、カット後も比較的変色しにくいのが特徴です(特に白桃よりも黄桃に近い性質を持ちます)。そのため、見た目を気にせず、手軽にカットフルーツを楽しみたい場合に最適です。また、食べきれない場合は、皮を剥いてカットし、冷凍保存することも可能です。冷凍したワッサーは、半解凍でシャーベットのように楽しむことができ、長期保存にも向いています。このように、ワッサーは果肉の硬さと色の持ちが良いことから、様々な方法で保存・活用できる、とても便利なフルーツです。

ワッサーのおすすめレシピ

ワッサーはそのままでもおいしいですが、料理やデザートに取り入れることで、甘み・酸味・歯ごたえを活かした多彩な味わいが楽しめます。ここでは手軽にできる3品をご紹介します。

焼きワッサーとモッツァレラのハーブサラダ

ほんのり甘いワッサーをグリルし、モッツァレラチーズとハーブで爽やかに仕上げたサラダです。前菜やワインのお供にもぴったり。

材料(2人分)

  • ワッサー…1個
  • モッツァレラチーズ(ひと口サイズ)…1/2袋
  • ベビーリーフ…ひとつかみ
  • オリーブオイル…大さじ1
  • レモン汁…小さじ1
  • 塩・こしょう…適量
  • バジルやタイムなどお好みのハーブ…適量

作り方

  1. ワッサーは種を取り、くし形に切る。軽く焼き目がつくまでフライパンで焼く。
  2. ベビーリーフを皿に盛り、焼いたワッサーとモッツァレラを散らす。
  3. オリーブオイル・レモン汁・塩こしょうを混ぜてドレッシングを作り、全体にかける。
  4. 最後にハーブを添えて完成。

ワッサーのはちみつヨーグルトマリネ

カットしたワッサーをヨーグルトとはちみつでマリネするだけの簡単デザート。朝食にもおすすめです。

材料(2人分)

  • ワッサー…1個
  • プレーンヨーグルト…100g
  • はちみつ…小さじ2
  • ミント(あれば)…少々

作り方

  1. ワッサーはよく洗って皮ごとくし形にカット。
  2. 器にヨーグルトを盛り、ワッサーをのせる。
  3. 上からはちみつをかけ、ミントを飾れば完成。

ワッサーのコンポート入りベイクドチーズケーキ

ワッサーの香りと食感を閉じ込めた、しっとり濃厚なチーズケーキ。焼いても崩れにくい果肉がポイントです。

材料(18cm型)

<コンポート用>
  • ワッサー…2個
  • グラニュー糖…40g
  • レモン汁…小さじ1
  • 水…50ml
<チーズケーキ生地>
  • クリームチーズ…200g
  • 生クリーム…100ml
  • 卵…2個
  • 砂糖…60g
  • 薄力粉…大さじ1

作り方

  1. ワッサーは皮ごと8等分にし、鍋に砂糖・レモン汁・水とともに入れ、中火で10分ほど煮てコンポートを作る。粗熱を取っておく。
  2. クリームチーズをやわらかく練り、砂糖・卵・薄力粉・生クリームを加えて混ぜる。
  3. 型に生地を流し、コンポートを軽く埋め込むように並べる。
  4. 170℃に予熱したオーブンで約40〜45分焼く。
  5. 粗熱を取り、冷蔵庫でしっかり冷やして完成。
気軽に楽しめるものから、おもてなしにもぴったりなレシピまで、ワッサーの魅力を最大限に活かしたメニューばかりです。 ぜひ旬の時期に、さまざまな料理でワッサーを楽しんでみてください。

まとめ

この記事では、桃とネクタリンの自然な交配から生まれた、信州生まれの特別なフルーツ「ワッサー」について詳しく解説しました。その独特な特徴、桃やネクタリンとの違い、まだあまり知られていない魅力、美味しい食べ方、そして創造性あふれるアレンジレシピまで、ワッサーの奥深い魅力を存分にお伝えできたかと思います。旬の時期に、ぜひ一度この新感覚フルーツ「ワッサー」を試して、その他に類を見ない甘さと食感を体験してみてください。そのまま食べるのはもちろんのこと、様々なレシピに取り入れることで、ワッサーの新たな魅力が発見できるはずです。

ワッサーとはどのような果物ですか?

ワッサーは、1990年に長野県須坂市の中村渡氏によって品種登録された、信州生まれの珍しい果実です。桃とネクタリンが自然交配して偶然生まれた品種であり、桃の甘さとネクタリンのさわやかな酸味、そしてしっかりとした歯ごたえのある食感が特徴です。果肉は鮮やかな黄色をしており、皮ごと食べられる手軽さも魅力です。

ワッサーの旬はいつ頃ですか?

ワッサーが最も美味しくなる旬な時期は、主に夏の真っ盛りである8月上旬から中旬にかけてです。この短い期間にしか味わうことができない、希少な果物として知られています。収穫したての新鮮なワッサーは、甘酸っぱい風味と独特の食感が際立ち、夏の味覚として多くの果物好きに愛されています。

ワッサーは桃やネクタリンと何が違うのですか?

ワッサーは桃とネクタリンの交配種ですが、外観、食感、味において独自の個性を持っています。見た目は桃に似ていますが、果肉がオレンジ色をしているため、皮も少しオレンジがかった色をしています。食感は桃よりも硬く、ネクタリンのようなシャキシャキとした食感を楽しむことができます。味は桃の甘さとネクタリンの酸味がほどよく調和し、バランスの取れた奥深い味わいが特徴です。また、桃のように皮を剥くときに果汁が滴り落ちて手がベタベタになることが少ないという点も魅力です。摘果の方法によっては、桃よりも大きく育つこともあります。

ワッサーの美味しい食べ方は?

ワッサーは、特有の甘みと酸味、そして硬めの食感を最大限に味わうために、生のまま食べるのが一番おすすめです。皮は薄くて栄養価が高く、桃とは異なり表面に毛がないため、丁寧に洗って皮ごと食べることで、ワッサーの風味と栄養を余すことなく堪能できます。カットした後も変色しにくいため、すぐに食べきれない場合は、皮を剥いてカットしてから冷凍保存することも可能です。サラダの材料として彩りや食感のアクセントに加えたり、デザートの材料としてコンポートやタルト、チーズケーキなどにアレンジして、さまざまな方法でその美味しさを楽しむのも良いでしょう。

ワッサーを活用したおすすめの調理法はありますか?

ワッサーは、そのまま食べる以外にも、様々な料理やスイーツに利用できます。特に試していただきたいのは、焼きナスと生ハムを組み合わせた「焼きナスと生ハムのワッサーバルサミコ風味」です。香ばしい焼きナスと生ハムの塩気に、ワッサーの爽やかな酸味が加わり、食欲をそそります。また、チーズとの相性も抜群で、「ワッサーとチーズの彩りマリネサラダ」は、ワッサーの甘みとチーズの濃厚さが口の中に広がる一品です。さらに、ワッサーをじっくり煮詰めてコンポートにし、それを練り込んだ「ワッサーコンポートの贅沢チーズケーキ」は、特別な日のデザートにもぴったりです。色々なレシピで、ワッサーの新しい魅力を発見してみてください。

ワッサーはどこで購入できますか?

ワッサーは、主に長野県を中心とした産地直売所や、一部のスーパーマーケットで見かけることができます。遠方にお住まいの方や、より手軽に入手したい場合は、インターネット通販サイトが便利です。特に旬を迎える8月上旬から中旬頃は、多くのオンラインストアでワッサーが販売されます。農家が運営するオンラインショップなどを利用すれば、より新鮮なワッサーを産地直送で手に入れることも可能です。まだ広く知られている果物ではありませんが、インターネットを活用すれば、全国どこからでも購入できるチャンスがあります。


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