【2024年最新】絶対食べたい!みかん全33品種図鑑:東大みかん愛好会が厳選&徹底解説
冬の味覚といえば、やっぱり「みかん」!スーパーには様々な品種が並び、どれを選んだら良いか迷ってしまいますよね。実はみかんの世界は奥深く、新品種や高級品種が続々と登場しているんです。そこで今回は、日本全国の個性豊かなみかん全33品種を徹底解説!ミカンの消費拡大を目指す「東大みかん愛好会」が、それぞれの特徴や味わいを厳選してご紹介します。あなたにとって最高の「推し」みかんを見つけて、この冬はみかん三昧といきましょう!

個性豊かな33品種の味と食感

ミカンへの深い愛情を持つ「東大みかん愛好会」のメンバー3名が、独自の視点からミカンの魅力を解説します。人並み外れた探求心でミカンを芸術的に捉える「村山さん」、愛好会の中でも群を抜くミカンの知識を持ち「歩くミカン図鑑」とも呼ばれる「平田くん」、そして、豊かな感性で表現する食レポがまるでポエムのようだと評判の「大串さん」が、それぞれのミカン愛が詰まったコメントを添えてご紹介します。東大みかん愛好会が独自に作成した「ミカンの味と食感マップ」では、様々なミカンを食べ比べ、甘みと酸味のバランス、そして食感を、なめらかでとろけるような「とろとろ」と、果肉感をしっかりと感じられる「シャキシャキ」に分類しました。このマップを参考に、ぜひご自身の好みにぴったりのミカンを見つけて、この冬は様々な品種を食べ比べてみてください。ここでは、各品種を甘味の強いものから順に詳しく見ていきましょう。

紅まどんな

「紅まどんな」は、南香(なんこう)と天草を掛け合わせ、2005年に愛媛県の試験場で品種登録された新しい柑橘です。甘平と同様に、愛媛県でのみ栽培が認められている希少な品種として知られています。この品種の最大の特徴は、薄い外皮と、ゼリーのようにとろける食感です。外皮がデリケートなため手で剥くのは少し難しいかもしれませんが、半分にカットしてスプーンで味わうことで、果肉がとろける食感を存分に楽しむことができ、特におすすめです。その上品な食感と濃厚な甘さは、一度食べたら忘れられない味わいです。

せとか

「せとか」は、「清見」に「アンコール」を掛け合わせたものに、さらに「マーコット」を掛け合わせたタンゴール品種です。長崎県の試験場で開発され、2001年に品種登録されました。サイズはやや大きめで扁平な形をしており、外皮は非常に薄くてなめらか、そして、中の薄皮(じょうのう膜)が非常に薄いのが特徴です。アンコール由来のエキゾチックな香りと、他の柑橘とは一線を画す、深く濃密な甘さが魅力です。その贅沢な味わいと、とろけるような舌触りから、「柑橘のトロ」とも呼ばれ、広く愛されています。生産量の約7割が愛媛県産で、愛媛県が主要な産地となっています。旬は2月から3月下旬で、この時期に最も美味しく味わうことができます。

あすみ

「あすみ」は、2014年に品種登録された、比較的歴史の浅い柑橘です。スイートスプリングとトロビタオレンジの交配種に、さらに人気品種であるはるみを掛け合わせて生まれました。その名前は、日本の柑橘業界の明るい「明日」を担う、はるみの子供のような存在であることから名付けられました。サイズは温州みかんと同程度で、手に取りやすいのが特徴です。味は非常に濃厚で、強い甘みが特徴。人によっては甘すぎると感じるほどの凝縮感があります。さらに、他にはない独特の香りが楽しめます。外側の皮も、中の薄皮も非常に薄く、手で簡単に剥けるため、手軽に食べられるのも魅力です。旬は2月から3月にかけてで、この時期に最も美味しく味わうことができます。

甘平(かんぺい)

「甘平(かんぺい)」は、西之香(ニシノカオリ)というタンゴールとポンカンを交配して誕生し、2007年に品種登録された柑橘です。栽培が愛媛県のみに限定されている、希少価値の高い品種として知られています。その最大の特徴は、平たい形状と、果肉の粒がはじけるような独特の食感です。外皮も中の薄皮も非常に薄いため、剥く際に「パリッ」という心地よい音がするのが特徴的です。濃厚な甘みと豊富な果汁を含んでおり、手に取るとその重さに驚かされます。旬は1月下旬から3月中旬で、この時期が最も美味しい時期です。静かな場所で、ぜひその音にも注目して味わってみてください。「甘平」は、味と食感だけでなく、「聴覚」でも楽しめる、他に類を見ない柑橘と言えるでしょう。

津之輝(つのかがやき)

「津之輝」は、清見と興津早生を掛け合わせたものに、アンコールを交配して生まれた、2009年登録の新しい品種です。果皮は鮮やかなオレンジ色で、表面はややゴツゴツしています。手に持つとずっしりとした重みがあり、たっぷりの果肉が詰まっていることを予感させます。最大の特徴は、ゼリーのような、ぷりぷりとした食感です。濃厚な甘みが際立ち、薄皮も薄いため、手軽にそのまま食べられます。アンコールに似た、上品な香りが楽しめるのも魅力です。旬は1月中旬から2月中旬で、この時期に最もおいしくなります。

不知火(しらぬい)

「不知火(しらぬい)」は、1972年に長崎県の試験場で、清見と中野3号ポンカンを交配して生まれたタンゴールの一種です。最初に生産された熊本県不知火地方の名前にちなんで名付けられました。特に、糖度13度以上、クエン酸1.0%以下という厳しい基準を満たし、JAに所属する農家によって栽培されたものだけが、「デコポン」(登録商標)として出荷されます。外観の特徴は、ゴツゴツとした果皮と、上部に突き出た特徴的な突起(デコ)です。味は甘みと酸味が濃厚で、果汁も豊富。非常にジューシーな味わいが楽しめます。ハウス栽培のものは12月頃から、露地栽培のものは2月から4月頃に旬を迎えます。

せとみ

「せとみ」は、親である「清見」と「吉浦ポンカン」の良いところを受け継いだ柑橘で、山口県で生まれたオリジナル品種です。2004年に品種登録されて以来、その品質の高さから人気を集めています。特に、糖度と酸度のバランスが優れたものは「ゆめほっぺ」という特別な名前で販売され、高級ブランドとしての地位を確立しています。収穫後、時間をかけてじっくりと貯蔵されることで、酸味が和らぎ、甘さが際立つのが特徴です。口に入れると、プリプリとした食感とともに、濃厚な甘みが広がります。旬は3月から4月で、春の食卓を彩るのに最適な柑橘です。

清見(きよみ)

「清見(きよみ)」は、1979年に誕生した、日本初のタンゴールとして知られています。温州ミカンとオレンジの交配種であるタンゴールは、開発が非常に難しいとされていましたが、「清見」は宮川早生(ミカン)とトロビタオレンジを掛け合わせることで誕生しました。この成功は、日本の柑橘育種において非常に重要な出来事であり、後の新品種開発に大きく貢献しました。外皮は少し剥きにくいものの、中の果肉はプルプルとしたゼリーのような食感で、甘みが凝縮されています。長年愛され続けているその美味しさは、最新品種にも決して劣りません。旬は4月で、春の終わり頃に、そのジューシーな味わいを楽しむことができます。

南津海(なつみ)

「南津海(なつみ)」は、「カラマンダリン」と「吉浦ポンカン」を交配して生まれた、少し珍しい柑橘です。通常、新品種の開発は研究所で行われることが多いのですが、「南津海」は山口県の山本柑橘園の園主、山本弘三さんの手によって偶然生まれたというエピソードがあります。収穫時期が5月から6月と、他の柑橘に比べて遅いのが特徴で、初夏に旬を迎えます。果肉は鮮やかなオレンジ色で、非常に強い甘みと、ジューシーな果汁がたっぷり含まれています。他の柑橘とは一味違う、特別な美味しさを求める方におすすめです。

スイートスプリング

「スイートスプリング」は、八朔と上田温州を交配して誕生し、1982年に品種登録された柑橘です。外皮は硬めで厚く、手で剥くのは少し大変かもしれません。また、薄皮(じょうのう膜)もやや厚めなので、剥いて食べるのがおすすめです。果皮の色は緑色から黄色へと変化しますが、緑色の状態でも十分に熟しており、美味しく食べられます。見た目とは異なり、果肉は鮮やかなオレンジ色をしており、酸味や苦味がほとんどなく、非常に甘く感じられます。爽やかな香りと上品な甘さが特徴で、柑橘類が苦手な方でも比較的食べやすいと言われています。旬は1月から2月で、冬のデザートとして楽しまれています。

小原紅早生(おばらべにわせ)

「小原紅早生(おばらべにわせ)」は、1973年に香川県の小原氏の農園で偶然発見された、宮川早生(代表的な温州みかんの品種)の枝変わり(突然変異)です。最大の特徴は、その名の通り、鮮やかな赤橙色の果皮です。一般的な温州みかんと比較すると、その色の違いは明らかで、見た目の美しさが際立ちます。味は温州みかんよりも甘みが強く、濃厚な風味が楽しめます。手で簡単に皮がむけるため、手軽に食べられるのも魅力です。価格はやや高めですが、その美味しさは価格に見合うものです。12月が旬で、年末年始の贈り物としても人気があります。

天草

「天草」は、清見と興津早生を交配し、さらにページオレンジを交配して生まれた品種で、1995年に品種登録されました。果皮は赤みがかった橙色で、ほぼ球形をしています。この品種の特筆すべき点は、そのとろけるようなジューシーな食感です。紅まどんなや大分果研4号など、ゼリーのような食感が特徴の品種の親品種として使用されていることからも、その品質の高さがわかります。外皮と薄皮が非常に薄いため、手でむくのは難しいですが、スマイルカットにして食べるのがおすすめです。旬は1月で、冬にみずみずしい美味しさを堪能できます。

はるみ

「はるみ」は、ポンカンと清見を交配して1999年に登録された品種です。手で簡単に皮がむけ、種がほとんどなく、薄皮も薄いため、非常に食べやすいのが特徴です。甘みだけでなく、柑橘ならではの濃厚な風味が強く感じられます。果肉の粒(さじょう)がしっかりとしており、独特の食感が楽しめます。同じ親から生まれた品種には、不知火やせとみ、はるきなどがありますが、それぞれ異なる個性を持っています。旬は2月で、東大みかん愛好会では、その粒々感から「柑橘のイクラ」と愛情を込めて呼ぶこともあるそうです。

みはや

「みはや」は2014年に登録された新しい品種です。津之望(つののぞみ)に清見とイヨカンを交配したものを、さらに交配して誕生しました。特徴的なのは、濃い赤橙色の果皮で、果肉も同様に濃い色をしています。果皮はつややかで、見た目も美しいです。独特の芳香があり、甘みが強く、濃厚でありながらもさっぱりとした後味が特徴です。酸味は控えめで、甘さが際立っています。温州みかんよりは皮がむきにくいものの、薄皮は薄くそのまま食べられます。旬は12月から1月で、冬の始まりに鮮やかな色と美味しさを届けてくれます。

はるか

「はるか」は、日向夏の自然交雑によって生まれたとされる柑橘です。日向夏と同様に、果肉を包む白い内皮(アルベド)まで甘いのが特徴ですが、果実のお尻部分にある丸いリング状のくぼみが「はるか」ならではの目印です。一般的に、このリング状のくぼみが浅いほど良質な「はるか」であるとされています。果皮はやや厚く、手で剥きにくいと感じるかもしれませんが、お尻のリング部分から剥き始めると比較的容易に手で剥くことが可能です。甘さと爽やかさを兼ね備えた味わいで、多くの人々を魅了しています。旬の時期は3月から4月にかけてで、春の息吹を感じながら味わうことができる柑橘です。

水晶文旦

「水晶文旦」は、名前が示すように、果肉が水晶のように透明感のある美しい文旦です。栽培が非常にデリケートで難しく、市場に出回るもののほとんどが、丁寧に管理されたハウスで栽培された希少な品種です。一般的な文旦と比較して、際立って果汁が多く、まるで砂糖菓子のような上品な甘さと、かすかな苦みが絶妙なバランスで調和しており、文旦の中でも特に洗練された味わいが特徴です。その繊細な風味と食感は、まさに高級フルーツと呼ぶにふさわしいでしょう。旬は10月から11月頃で、秋の深まりとともにその豊かな風味を堪能できます。

ネーブル

「ネーブルオレンジ」は、早生種のスイートオレンジの一種です。果実の底部にある特徴的な窪み(へそ)が、英語で「へそ」を意味する「Navel」の由来となっています。形状は丸みを帯びたものからやや縦長のものが多く、外皮と内側の薄皮が薄く、種が少ないため、生のまま食べるのに適しています。手で剥くのは少し難しい場合があるため、ナイフでカットして食べるのが一般的です。濃厚な甘さと、フレッシュで爽やかな香りが楽しめます。多くはアメリカからの輸入品で、11月頃から4月頃まで市場に出回りますが、国産のものは2月から3月頃に旬を迎えます。搾ってフレッシュジュースにするのもおすすめです。

伊予柑

「伊予柑」は、山口県で偶然発見された柑橘で、みかんとオレンジの自然交配種であると考えられています。その後、愛媛県で栽培が盛んになったことから、「伊予」柑と呼ばれるようになりました。現在でも愛媛県が日本一の生産量を誇り、愛媛県を代表する柑橘として広く知られています。果皮はやや厚めですが、手で比較的簡単に剥くことができます。果汁が非常に豊富で、口いっぱいに広がる爽やかな甘みが特徴です。伊予柑にはいくつかの品種があり、中でも「宮内伊予柑」が広く栽培されています。旬は12月下旬から2月頃で、冬から春にかけての時期に、みずみずしく爽やかな甘さを楽しむことができます。専門家によると、「これほどまでにジューシーで、清々しい甘さは、伊予柑ならではの味わいです!」とのことです。

紅まどか

「紅まどか」は、文旦の仲間であり、「平戸文旦」と「麻豆文旦」を親に持つ品種です。名前の"紅"が示すように、果肉が淡いピンク色をしていることが大きな特徴です。文旦の仲間の中では甘みが強く、苦味が少ないため、文旦が苦手な方でも比較的食べやすいと言われています。ただし、皮に傷がつきやすく、市場に出回ることが少ない希少な品種です。その美しい色と上品な味わいは、もし見かけたらぜひ味わっていただきたい逸品です。旬は1月中旬から2月頃で、短い期間しか楽しむことができません。

ポンカン

「ポンカン」は、インドが原産地とされ、アジア各地で広く栽培されている柑橘類です。種が多いというデメリットはありますが、皮がむきやすく、じょうのう膜も薄いため、手軽に食べられます。酸味が少なく、やわらかな甘さが際立っているのが特徴です。また、ポンカンならではの、さわやかな香りも楽しめます。実はポンカンには、太田ポンカン、吉田ポンカン、今津ポンカンなど、いくつかの種類があり、それぞれ風味が少しずつ異なります。品種改良にもよく用いられ、不知火や甘平など、近年の人気品種を生み出す上で大きな役割を果たしました。旬は1月から2月で、冬の定番の柑橘として広く親しまれています。

媛小春(ひめこはる)

「媛小春(ひめこはる)」は、黄金柑(おうごんかん)と清見を掛け合わせて作られた愛媛県オリジナルの品種で、2008年に品種登録されました。黄色く、上部がふっくらとした独特の形をしており、「紅まどんな」や「甘平」と並んで愛媛県の主要品種の一つとして注目されています。黄色い見た目から酸っぱいと思われがちですが、実際には酸味は穏やかで、黄金柑から受け継いだ爽やかな風味と、清見から受け継いだまろやかな甘さが魅力の「知る人ぞ知る美味柑橘」です。外皮がむきやすく、薄皮も薄いため、気軽に食べられる点も嬉しいポイントです。旬は2月から3月で、春の訪れとともにその爽やかな甘さを堪能できます。

弓削瓢柑(ゆげひょうかん)

「弓削瓢柑(ゆげひょうかん)」は、名前の通り、ひょうたんのようなユニークな形をした珍しい柑橘です。房も細長く、一つ一つ丁寧にむいて食べるのが楽しい品種です。文旦の一種と言われており、その味はグレープフルーツによく似ていますが、グレープフルーツに比べて甘みと酸味がどちらも優しく、まろやかな味わいが特徴です。特に注目すべきは、グレープフルーツなどに含まれる「フラノクマリン」という成分が含まれていないため、特定の薬を服用している方でも安心して食べられるという点です。旬は4月から5月で、春から初夏にかけて味わえる貴重な柑橘です。

クレメンティン

「クレメンティン」は、北アフリカのアルジェリアで偶然生まれたとされる柑橘で、地中海マンダリンと他の柑橘との交配種と考えられています。その後、種なしの品種がスペインで見出され、日本へ導入されました。サイズはやや小ぶりで、丸みを帯びた形状をしており、外皮は手で容易に剥けるため温州みかんと似ています。特徴的な強い香りを持ち、食感はわずかにサクサクとしており、爽やかな甘みが広がります。佐賀県での栽培が盛んで、主要な産地の一つとなっています。旬は12月から2月にかけてで、冬の時期にこの小ぶりで芳醇な香りの柑橘を楽しむことができます。

日向夏(ひゅうがなつ)

「日向夏(ひゅうがなつ)」は、宮崎県を原産とする柑橘で、1820年頃に発見されたと伝えられています。小夏やニューサマーオレンジといった別名でも親しまれています。果肉はすっきりとした甘さと程よい酸味が特徴ですが、何と言ってもアルベド(果皮と果肉の間にある白い綿状の部分)の甘さが際立っています。薄く外皮を剥き、果肉を適当な大きさにカットして、アルベドと一緒に味わうのが一般的です。このようにアルベドを一緒に食すことで、日向夏本来の甘さが引き立てられ、他にはない美味しさを堪能できます。旬は4月から5月にかけてで、春から初夏にかけて爽やかな風味を届けてくれます。

晩白柚(ばんぺいゆ)

「晩白柚(ばんぺいゆ)」は、ザボンの一種であり、原産はマレー半島です。柑橘類の中でも最大級の大きさを誇り、重さ3キログラムを超えるものも珍しくありません。際立って厚い外皮を持ち、内側はふかふかとしたクッションのような感触が特徴です。果肉を包む袋も非常に厚いため、通常は全て剥いてから食します。酸味は控えめで、上品な甘さとほのかな苦みが調和した味わいが楽しめます。また、甘く爽やかな香りも魅力の一つです。果肉はしっかりとした硬さがあり、一粒一粒がシャキシャキとした食感をもたらします。旬は1月から3月で、冬の時期にその圧倒的な存在感と洗練された味わいを満喫できます。

河内晩柑(かわちばんかん)

「河内晩柑(かわちばんかん)」は、自然交配によって偶然生まれた品種で、1935年頃に熊本県の河内町で発見されました。文旦の血を引いていると考えられています。大きめのサイズで縦長の形状をしており、外皮は黄色くやや厚みがあります。果肉を包む袋もやや厚めですが、果肉の粒は柔らかく、非常に豊富な果汁を含んでいるのが特徴です。そのジューシーさから「和製グレープフルーツ」とも称され、爽やかな甘味、酸味、そしてかすかな苦味が絶妙なバランスで調和しています。旬は4月から7月と比較的長く、春から初夏にかけてのものは特にみずみずしく、シーズン後半のものは果肉がやや締まってきます。東大みかん愛好会の大串氏は「これほどまでにジューシーな柑橘が存在するだろうか? 否、ない。風呂上がりに冷やした河内晩柑を食すのは、まさに至福の瞬間である。」と絶賛しています。

土佐文旦

文旦の代表的な品種として知られる「土佐文旦」。その名の通り、高知県での栽培が盛んです。収穫は12月からですが、出荷されるのは甘みが増した2月頃から。厚い外皮とじょうのう膜をむくのは少し大変ですが、一房が大きく食べ応えがあります。独特のザクザクとした食感と、甘みと爽やかな苦みのバランスが絶妙。厚い皮は砂糖漬けにもでき、余すところなく楽しめます。

タロッコ

イタリア地中海原産のブラッドオレンジ「タロッコ」。国内で栽培される2種類のブラッドオレンジの一つです。サンギネッロ種の突然変異種とされ、近年は温暖化の影響で愛媛県南予地域でも栽培されています。外皮と果肉の濃い赤とオレンジのグラデーションが特徴的。皮はややむきにくいものの、薄い房の袋と少ない種が特徴です。濃厚な甘みと酸味があり、ジュースとしても人気。旬は3月から5月で、春に鮮やかな色と濃厚な味わいを楽しめます。

モロ

同じくイタリア地中海原産のブラッドオレンジ「モロ」も、国内で栽培されるブラッドオレンジの一種です。タロッコ同様、サンギネッロ種の突然変異種とされています。近年、日本でも栽培されるようになりました。外皮と果肉の鮮烈な赤黒い色が特徴で、甘美で独特な香りを放ちます。濃厚な甘酸っぱさに加え、わずかなえぐみが個性を際立たせています。アントシアニンが豊富で、健康面でも注目されています。主な産地は愛媛県で、旬は2月から3月です。

湘南ゴールド

「湘南ゴールド」は、黄金柑と今村温州を掛け合わせた神奈川県生まれの品種で、神奈川県のみで栽培されています。見た目は黄金柑と似ていますが、香りが豊かで甘みがやや強いのが特徴です。神奈川県では加工品開発も盛んで、果汁を使った様々な商品が販売されています。柑橘類のイメージが薄い神奈川県ですが、湘南ゴールドの加工品はお土産としても人気があり、地元で親しまれています。旬は3月から4月です。

八朔(はっさく)

八朔は、江戸時代後期に広島県因島のお寺で偶然発見されたと伝えられています。出自は不明ですが、文旦の血を引いていると考えられています。外側の皮も果肉を包む袋も厚く、果肉は引き締まっており、独特の歯ごたえが楽しめます。甘み、酸味、そしてわずかな苦味が絶妙なバランスで調和した、爽やかな味わいが特徴です。「八朔」という名前は、「8月1日に食べられる」という意味に由来しますが、実際には収穫後、一定期間置いて追熟させてから出荷されます。最も美味しい時期は2月から4月頃で、主な産地としては和歌山県が有名です。

黄金柑

黄金柑は、日本に昔から自生していたとされる柑橘類の一種で、明治時代には既にその存在が確認されていました。その見た目から、ゴールデンオレンジや黄蜜柑といった別名でも親しまれています。小さく鮮やかな黄色い外観から酸味が強いと思われがちですが、実際には、まろやかな甘さと程よい酸味が調和した、非常に美味しい柑橘です。その愛らしい見た目と上品な味わいから、多くのファンを持つ人気の品種です。ある専門家は「その小ささがとにかく可愛らしい。常にポケットに入れておきたいほどだ」と語っています。旬は3月から4月にかけてです。

甘夏

甘夏の正式な品種名は「川野夏橙」といい、大分県津久見市の川野豊さんの農園で、夏ミカンの枝変わりとして偶然発見され、1950年に品種登録されました。外皮は厚く、表面はゴツゴツとしており、果肉を包む袋も厚めです。非常に豊かな香りが特徴で、味は夏ミカンよりも酸味が穏やかで、優しい甘さとほのかな苦みが感じられます。果肉は硬めで、シャキシャキとした食感が楽しめます。主な産地は熊本県、鹿児島県、愛媛県で、日本全国で広く栽培されています。旬は1月から6月と比較的長く、長い期間楽しめる柑橘です。

まとめ

冬の食卓に彩りを与えるミカンは、一言で「ミカン」と表現するにはあまりにも多様な品種と、それぞれが持つ個性的な特徴があります。この記事では、ミカン愛好家が厳選した数々の品種について、その起源、味わい、食感、旬、そして興味深いエピソードを詳細に解説しました。例えば、ゼリーのようななめらかな舌触りが特徴の品種や、パリッとした食感が楽しめる品種、さらには、豊かな香りが魅力の品種など、ミカンの世界は深く、その魅力は尽きることがありません。また、美味しいミカンを選ぶための具体的なポイントとして、「色」「形」「大きさ」「皮の状態」「ヘタの状態」「重量感」などを挙げ、品種ごとに最適な食べ方として、スマイルカットやスプーンで食べる方法、独特な剥き方などもご紹介しました。さらに、美味しさを長く保つための保存方法として、低温保存や冷凍保存についても解説しました。これらの情報を活用して、ぜひ様々なミカンを味わい、あなたにとって最高のミカンを見つけてみてください。ミカンの奥深い魅力を知ることで、いつもの食卓がさらに豊かなものになるでしょう。

ミカンの品種、どう選ぶ?

ミカンの品種を選ぶ際、どんな味わいや食感を楽しみたいか、どのように食べたいかを考えると選びやすくなります。例えば、とろけるような食感が好きなら「紅まどんな」や「せとか」がおすすめです。シャキッとした食感と濃厚な甘さが好みなら「甘平」を試してみてはいかがでしょうか。酸味が少なく、まろやかな甘さを求めるなら「あすみ」や「スイートスプリング」がぴったりです。手軽さを重視するなら、皮がむきやすい「はるみ」や「ポンカン」を選ぶと良いでしょう。ミカンは品種によって旬の時期が異なるので、色々試して一年中楽しむのもおすすめです。この記事で紹介した品種の特徴や、東大みかん愛好会のコメントを参考に、自分好みのミカンを見つけてみましょう。

「タンゴール」ってどんなミカン?

「タンゴール」とは、温州ミカンなどのマンダリンオレンジとオレンジを掛け合わせてできた柑橘類のグループ名です。日本で最初にタンゴールとして登録された品種は「清見」で、日本の柑橘類の品種改良に大きな影響を与えました。タンゴールの特徴は、マンダリンオレンジのむきやすさや甘さと、オレンジの豊かな香りとジューシーさを両方持っていることです。そのため、さまざまな品種が開発されています。「せとか」や「不知火」、「甘平」などもタンゴールの仲間で、それぞれ独自の風味と食感を楽しむことができます。

美味しいミカンを見分けるコツは?

美味しいミカン(特に温州ミカン)を見分けるには、いくつかのポイントがあります。まず、「色」は濃くて鮮やかなものを選ぶと良いでしょう。形は丸いものより少し「扁平」な方が甘い傾向があります。大きさは「小さめ」のものが、甘さが凝縮されていることが多いです。皮の表面にある「油胞」が細かく密度が高いものや、「菊ミカン」と呼ばれる表面がデコボコしているものは、味が濃い可能性があります。また、ヘタの部分は「軸が細い」方が水分が少なく、甘みが凝縮されているサインです。最後に、手に取ったときに見た目よりも「ずっしり」と重みを感じるものは、果肉が詰まっていて美味しいことが多いです。逆に、軽すぎるものは水分が少なかったり、果肉がスカスカだったりするかもしれません。

みかん