糖質の世界には、まだまだ奥深い物語が隠されています。「転化糖」という名称は、その甘美な本質を表すよりも、むしろ光との相互作用を表す言葉となっています。

透明な液体に糖が溶けていると、そこを通過する光は独特の旋回を見せます。この「旋光性」と呼ばれる現象は、糖の種類によって異なる挙動を示します。ブドウ糖は右回りに、一方の果糖は左回りに光を回転させるのです。

しかし、ブドウ糖と果糖が結合して生まれたショ糖になると、この旋光性は右回りへと一変します。ところが、ショ糖が加水分解されブドウ糖と果糖に分かれた時、光の回転方向は再び左回りへと「転化」するのです。この「転化」した状態こそ、「転化糖」なる呼称の由来なのです。

つまり、転化糖とは単に糖が化学変化を起こした産物ではなく、光という自然現象を通して名付けられた、神秘的ともいえる存在なのです。その独特の性質ゆえに、転化糖は食品の風味や質感を左右する重要な役割を担っているのです。

転化糖は、ぶどう糖と果糖の混合物で、製菓材料店で手軽に購入できます。お菓子づくりによく使われ、すっきりとしたキレのある甘味と、しっとりとした仕上がりが特徴です。ガナッシュやアイスクリームでは砂糖の結晶化を防ぎ、なめらかな舌触りを実現します。焼き菓子の焼き色を濃くするので、美味しそうな見た目に仕上がります。

嗜好性が高く、保存期間も長くなるというメリットもあり、甘さが強いので使用量を抑えられます。ただし、90℃以上に加熱すると甘味が失われる点に注意が必要です。お菓子作りで砂糖の代わりに使ってみれば、新たな楽しみが広がるでしょう。糖の性質を知れば、活用の幅が広がり、おいしさが増すはずです。

転化糖は、デンプンを加水分解して作られる糖質で、白砂糖よりも甘さが強く、カロリーも約3分の2と低めです。消化吸収が穏やかなため、血糖値の上昇を抑えられるのが特徴です。マフィンやパン、ジャムなどの菓子作りに活用でき、料理にも使えるオールマイティーな甘味料といえます。体に優しく糖質制限をしたい人にもおすすめできる転化糖は、健康的なライフスタイルを送るのに役立ちます。