2000年代初頭から静かに続いてきた焼き芋ブームが、コロナ禍をきっかけにさらに勢いを増しています。焼き芋専門店の増加に加え、近年の「機械の進化」と「品種改良」が大きな要因となっています。

従来は石焼き芋が一般的でしたが、今では遠赤外線を利用した焼き芋オーブンの普及により、スーパーやコンビニでも手軽に購入できるようになりました。移動販売というイメージから脱却し、いつでも気軽に焼き芋を楽しめる環境が整ったのです。

また、さつま芋の品種改良も進み、自然な甘みと栄養価の高さから、若い女性を中心にダイエットフードとしての需要が高まっています。オレンジ色の鮮やかな焼き芋はインスタ映えも良く、SNSでの映え写真の投稿が人気の火付け役となっています。

健康志向が高まるコロナ禍において、手軽で栄養価の高い焼き芋は最適なおやつと見なされ、その魅力が再認識されました。機械化と品種改良により手に入りやすくなったことで、都心の空に焼き芋の甘い香りが漂う日が増えつつあります。

生命力溢れるオレンジ色が目を惹くサツマイモは、まさに地中の宝石と呼ぶにふさわしい存在です。その鮮やかな色合いは、豊富に含まれるβ-カロテンによるものです。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持、免疫力の向上に貢献します。また、抗酸化作用に優れ、老化防止にも一役買っています。

サツマイモが持つ栄養価の高さは、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維の豊富な含有量にも表れています。食物繊維は便秘の改善や生活習慣病の予防に役立ち、カリウムは高血圧症のリスクを下げる働きがあるとされています。加えて、ビタミンCは免疫力の維持を助け、抗酸化作用を発揮します。

焼き芋で手軽に味わえるサツマイモですが、調理方法によってさらに栄養価がアップします。蒸し焼きにすれば、ビタミンCの損失が少なく抗酸化力が高まります。冷めても美味しいので、朝食のおかずやおやつとしても最適です。色鮮やかで栄養満点のサツマイモを、賢く食生活に取り入れましょう。

オレンジ色のさつまいもは、鮮やかな色合いと風味が魅力的な品種です。その中でも、ジェイレッド、ベニキララ、アヤコマチなどが代表的な品種として知られています。

ジェイレッドはカロテン含有量が高く、ジュースや調理用としても活用されています。人参のような鮮やかなオレンジ色が特徴で、スムージーやシチュー、サラダなどに使われ彩りを添えます。

「紅きらら」は甘みと食味のバランスが良いことから、焼き芋やふかし芋などに適しています。マツコデラックスの番組でも紹介され、話題となった品種です。

アヤコマチは冷めても甘く美味しいため、スイートポテトやポタージュに向いています。収穫後2~3週間が最も美味しい時期とされています。ベイクドチーズケーキなどのお菓子作りにも人気があります。

その他、ハロウィンスイートは濃いオレンジ色が特徴的で、かぼちゃのようなニュアンスがあるさつまいもです。焼き芋やスイーツに用いられ、秋の味覚としてお勧めです。

さつまいもは、栄養豊富で活用法が多彩なだけでなく、鮮やかなオレンジ色が食卓を華やかに彩ってくれる絶品の根菜です。秋の味覚の代表格として古くから愛され続けてきた理由がよくわかります。豊かな収穫の喜びを感じさせる色合いと、調理法次第で幅広い表情を見せる味わいは、日本人の心に深く根付いた存在と言えるでしょう。