パネトーネとは
クリスマスの時期になると、世界中の菓子店やスーパーマーケットでドーム形のペストリーを目にすることが増えます。それが、イタリア生まれのクリスマスケーキ「パネトーネ」です。しかし、パネトーネは単なるケーキ以上の特別な存在です。豊かなフレーバー、独特の製造過程、そして深い歴史と伝統が詰まっています。この記事では、パネトーネがどのような魅力を持つのかを解説し、今年のクリスマスをより特別なものにするお手伝いができればと思います。
パネトーネとは?
パネトーネとは、イタリア・ミラノ発祥の伝統的なクリスマスケーキで、卵や砂糖、バターをたっぷり使ったリッチな生地にドライフルーツが加えられています。そのふわふわとした軽い食感と、ドライフルーツの甘酸っぱい香りが魅力です。「パネトーネ」という名前は、イタリア語で「大きなパン」という意味で、特にパネトーネ種と呼ばれる自然酵母を使って作られるのが特徴です。この酵母は乳酸菌と酵母が共存する複合酵母で、イタリア北部の限られた地域でしか培養が難しいとされています。パネトーネ種を使用したパンは、日持ちが良く、独特の風味とやわらかな口当たりが楽しめます。
パネトーネの歴史
パネトーネの誕生にはいくつかの説がありますが、その一つにミラノを統治していたスフォルツァ家で起こったエピソードがあります。クリスマスの晩餐用ケーキを焦がしてしまったシェフに代わり、トーニという見習いコックが急遽、小麦粉、卵、砂糖、レーズンを使ってデザートパンを作ったところ、大変好評だったといいます。この「トーニのパン」が「パン・デ・トーニ」、さらには「パネトーネ」という名前に変わり、今日に至っています。
パネトーネとクリスマスの関係
パネトーネは、イタリアでクリスマスに欠かせない一品として愛されています。中世のころのイタリアでは小麦粉が貴重な食材であったため、パネトーネは特別なごちそうとして、キリストの生誕を祝うクリスマスに食べられるようになりました。また、パネトーネと並んでイタリアのクリスマスには「パンドーロ」というもう一つの伝統的なケーキも欠かせません。パンドーロは「黄金のパン」を意味し、バターと卵をふんだんに使った星形のケーキです。クリスマスシーズンには、パネトーネとパンドーロのどちらが好きかという話題もよく耳にします。
パネトーネの作り方
パネトーネは、強力粉、パネトーネ種、砂糖、卵、バターなどの材料を混ぜ合わせ、捏ねてからレーズンやオレンジピールなどのドライフルーツを加えて作られます。本格的なパネトーネは、何十時間もかけて発酵させ、紙型に入れて焼き上げ、焼きあがった後は逆さまに吊るして1~2日かけて冷ますという手間のかかる工程が特徴です。クリスマス前から少しずつカットして食べ続けるのが一般的で、日が経つごとにドライフルーツが生地に馴染んでいくことで味が変化するのを楽しむことができます。そのまま食べるほか、アイスクリームや生クリームを添えたり、トーストして楽しむのもおすすめです。さらに、生ハムやスモークサーモン、サラミなどの塩気のある食材ともよく合うので、さまざまな楽しみ方ができます。
まとめ
パネトーネは、イタリア・ミラノ発祥の伝統的なクリスマスケーキで、リッチな生地にドライフルーツが加えられたふわふわの菓子パンです。その名前は「大きなパン」を意味し、パネトーネ種という特殊な自然酵母を使用することで独特の風味と日持ちの良さを実現しています。クリスマスに特別なごちそうとして楽しまれ、長い歴史と手間のかかる製造工程を経て、家庭でもさまざまなアレンジで味わうことができる一品です。