""月餅""は中国の象徴的な焼き菓子であり、特に中秋の名月を祝う際に欠かせない存在となっています。日本では「げっぺい」、中国では「ユエピン」と呼ばれるこの菓子は、見た目も味も多彩です。

月餅はいくつかのバリエーションがあります。その中には、こしあん、豆あん、胡麻あんといった定番のあんから始まり、稀には豆やナッツ、果物やソルトエッグ（塩漬けダックエッグ）なども詰めることがあります。その形状もさまざまで、小さな円形が基本ですが、四角形のものや表面に色が施されたものもあります。

そして、月餅のもう一つの魅力はその表面に刻まれた花模様や文字で、これは特殊な型を使って作られます。ケーキの品質や美しい詩、菓子職人の店名など、月餅に関連するさまざまな情報が刻印されています。

月餅は、夜空に浮かぶ明るい月を家族と眺めながら食べることで、その深い団欒の時を感じさせます。また、親しい友人や家族への贈り物としても選ばれることが多く、中秋の名月の祝福の贈り物とも言えます。

すこしでも中秋の名月の風情を味わいたい方は、まずは月餅を試してみることをおすすめします。その独特の風味と美しさにより、中秋の名月がより一層引き立てられること間違いなしです。

複数の見解がありますが、中国の四大伝統祭りである春節、清明節、端午節と共に、「中秋節」の奉納菓子として始まったのが月餅の由来とされています。

「中秋節」は、まさに一大事というほど大規模な祭りで、これは中国全土が毎年祝います。月の美しさが際立つ秋の中盤、「家族の絆」や「円満」を象徴する満月を観賞しながら、家族との貴重な時間を過ごすのが一般的です。

そんな中で、中秋節には欠かせない存在となっているのが、まるで満月のような形をした月餅です。地方や地域によりますが、丸い形状のスイカやカキ、ブドウ、スモモなどの果物や、月餅に類似した焼きパンを準備する習慣もあると言われています。放射状に均等に切り分けられた月餅を家族で共有しながら、家族の裕福さと幸せを願い祈ります。

ちなみに、中秋節は日本の伝統行事「お月見」の起源であるとも伝えられています。月餅ではなくお団子を供えるといった細部の違いはありますが、美しい月に対する敬愛の心情はどちらも共通しています。

月餅の味の種類をご紹介します。

こしあん

月餅といえば、定番のこしあんです。薄皮に包まれたあんこの優しい甘みが魅力で、食べるとやみつきになる美味しさです。さらに、くるみや木の実、ドライフルーツなどが加えられることもあり、食感や味にアクセントをプラスします。

蓮の実あん

蓮の実をすりつぶして作られる白いあんこで、中国では非常に人気があります。すっきりとした甘みと滑らかな口当たり、上品な風味が特徴です。

塩漬け卵

こしあんや蓮の実あんの中に、満月に見立てたアヒルの卵の塩漬けが入った月餅もあります。卵の塩気とあんこの甘みの組み合わせが絶妙で、一度食べ始めると止まらなくなると評判です。

ナッツ

ピーナッツ、クルミ、ごま、アーモンドなど、ナッツ類がたっぷり入った月餅も人気です。一口食べれば、ナッツの香ばしい風味と食感が口いっぱいに広がり、至福の美味しさを堪能できます。

チョコレートクリーム

意外な組み合わせと思われがちなチョコレートクリームと月餅ですが、相性は抜群です。お子様のおやつとしても、コーヒーや紅茶のお供にもおすすめです。

その他のバリエーション

かぼちゃ、緑茶、むらさきいも、お肉やハムなど、多彩なフレーバーの月餅が存在します。さらに、最近ではコーヒーやカレー、アイスクリームなど、新しいバリエーションの月餅も次々と登場しています。

月餅は、中国の豊かな文化と歴史を感じさせる伝統的な焼き菓子です。「京式月餅」のさっぱりとした甘さや、「潮式月餅」の独特な渦巻き模様など、様々な種類があり、それぞれが異なる魅力を持っています。季節や地域によって異なるバリエーションが楽しめる月餅は、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。