妊娠中はさまざまな食品の安全性について気を配る必要があります。特にチーズ類は、生乳を使用したものや熟成が充分でないものがリステリア菌のリスクを伴うため、慎重に選ぶことが求められます。マスカルポーネチーズはそのクリーミーな食感と風味から、スイーツや料理に幅広く利用されていますが、妊娠中に安全に食べることができるのでしょうか。本記事では、妊娠中にマスカルポーネチーズを安全に楽しむためのポイントと選び方について詳しく解説します。
妊娠中でもチーズは食べられる?
妊婦の方もチーズを摂取することは構いませんが、種類の選択には細心の注意が求められます。特に加熱処理されていないチーズをそのまま口にすると、食中毒を引き起こすリスクがあるためです。
チーズは、主に次の2タイプに分けることができます。
● ナチュラルチーズ
● プロセスチーズ
ナチュラルチーズは加熱処理が施されていません。一般的に、妊娠中は避けるべきものとされています。
妊娠中に適したチーズ
妊婦さんにとって、プロセスチーズは安全な食品です。このチーズはナチュラルチーズを加工し、加熱殺菌されてから製品化されています。
製造中に加熱処理が行われることで、リステリア菌感染のリスクがなくなります。
ただし、塩分が多いので摂取量には注意が必要です。それでも、プロセスチーズは以下のような妊娠中に必要とされる栄養素が豊富に含まれています。
・体の成長に欠かせない「たんぱく質」
・歯と骨を健康に保つ「カルシウム」
・神経管の問題を防ぐ「葉酸」
・貧血予防の「亜鉛」 など
適切な量を守って楽しんでください。
妊娠中に避けるべきチーズ
妊娠中はナチュラルチーズの摂取は避けるべきです。ナチュラルチーズは、凝乳を酵素などで固めた後にホエイを取り除いたり熟成させたりして作られます。
ナチュラルチーズには、加熱処理がされていないため、食中毒の危険性があるため生での摂取は控えた方が安全です。
ナチュラルチーズの例として以下のものがあります。
・クリームチーズ
・カッテージチーズ
・モッツァレラチーズ
・マスカルポーネチーズ
・ゴルゴンゾーラ
・パルミジャーノレッジャーノ
・チェダー など
ナチュラルチーズを控えるべき理由
妊娠中にナチュラルチーズを控える主な理由は、リステリア菌が引き起こす食中毒のリスクを避けるためです。この菌は食品を介して感染し、健康に影響を及ぼす食中毒菌の一種です。
未殺菌の牛乳や加熱されていないナチュラルチーズなどの乳製品を摂取することによって、リステリア菌に感染する可能性があります。それに伴い、母体への影響も心配されます。
妊娠中に母体がリステリア菌に感染することで、重い症状が現れることは珍しいですが、早産や流産を引き起こす可能性も考えられます。特に妊娠中は、リステリア菌に感染する可能性が高くなるため、注意が必要です。

チーズのタイプを見分ける
「ナチュラルチーズ」か「プロセスチーズ」かを見分けるには、食品表示のパッケージをご覧ください。「プロセスチーズ」と記載されているものを選ぶのが良いでしょう。
種類名で「プロセスチーズ」、そして原材料名に「ナチュラルチーズ」と表記されていても心配には及びません。プロセスチーズは、ナチュラルチーズを粉砕し加熱と乳化を行って作られるため、その記載は普通です。
ピザ用チーズなどの加熱して使う商品には、「要加熱」といった表示があります。食品表示欄で確認し、必ずその指示に従うようにしましょう。
妊娠中のチーズ摂取に関する留意事項
チーズを摂取する際には、妊娠中の場合特に以下の事項に気をつけることが重要です。
ナチュラルチーズを加熱する
ナチュラルチーズをどうしても食べたい場合、まず十分に加熱することが大切です。熱に弱いリステリア菌は、高温で加熱すれば妊婦の方でも安心して食べられます。
この菌を完全に除去するためには、中心温度を75℃以上にして1分以上加熱する必要があります。妊娠中はそのまま食べるのを避けましょう。
国内産チーズを選択する
国内生産のチーズを選ぶことで、より安全に消費できると考えられます。多くの国産チーズは、法的基準に従って殺菌されたミルクを用いて作られています。このため、ナチュラルチーズであっても安心して食べることが可能です。
ただし、「加熱用」とパッケージに明記された商品は、必ず調理加熱を要します。指示に従い、しっかりと加熱した上で食べるようにしてください。
食べても大丈夫かどうか迷う場合は、製造メーカーの提供する「Q&A」や「よくある質問」のページを参照することをお勧めします。リステリア菌に関する情報が得られるでしょう。
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