マドレーヌ フィナンシェ
マドレーヌとフィナンシェ、どちらもフランス発祥の伝統的な焼き菓子です。一口サイズの可愛らしい見た目と、バターの豊かな香りが特徴的なこれらのお菓子は、午後のティータイムやちょっとしたおもてなしの場面で大活躍。素朴ながらも奥深い味わいが、老若男女問わず多くの人々を魅了しています。今回は、マドレーヌとフィナンシェの魅力に迫ってみましょう。
フィナンシェとマドレーヌの違いとは?
フィナンシェとマドレーヌ、どちらもフランス発祥の焼き菓子であり、パティスリーの定番かつ人気商品として知られています。リッチな甘みと豊かな香り、そしてやさしい口当たりが魅力的な両者ですが、実はその特徴には大きな違いがあるのです。
フィナンシェは、アーモンドパウダーを使用し、バターを焦がしたブールノワゼットを加えることで、香ばしく濃厚な味わいが生まれます。一方、マドレーヌは小麦粉とバターを使用し、レモンの風味を加えることが多く、しっとりとした食感が特徴的です。
見た目にも違いがあり、フィナンシェは小さな金塊の形をしているのに対し、マドレーヌは貝殻型の形が印象的です。また、フィナンシェはお菓子としてだけでなく、紅茶やコーヒーのお供としても人気があります。
このように、フィナンシェとマドレーヌは、それぞれの誕生経緯や名前の由来、材料の違いなどから、味わいと形状に違いが生まれているのです。バターの風味豊かな焼き菓子という共通点がありながらも、その個性の違いを楽しむことができるのが魅力といえるでしょう。
フィナンシェとマドレーヌの違い【語源・由来】
フィナンシェとマドレーヌは、ともにフランス発祥の焼き菓子ですが、その語源や由来には興味深い違いがあります。
フィナンシェの起源は、17世紀のフランス北部の教会で生まれたお菓子と言われています。当初は「ヴィジタンディン」と呼ばれていましたが、1890年に刊行された「フランス菓子覚書」によると、現在の形のフィナンシェを考案したのはパリの菓子職人ラヌだとされています。彼は金融街で店を営んでおり、多忙な金融マン(フィナンシェ)向けに、スーツを汚さず手早く食べられるお菓子を作ったのです。
一方、マドレーヌはフランス・ロレーヌ地方のコメルシーで生まれたとされ、「マドレーヌ」という女性の名に由来しています。その名の由来には諸説ありますが、ポーランド王が滞在中に召使いの女性「マドレーヌ」が作ったお菓子を気に入り、彼女の名を付けたという説や、一流女料理人「マドレーヌ・ポミエ」が作ったお菓子に王が彼女の名を付けたという説などがあります。
このように、フィナンシェとマドレーヌは、ともにフランスで生まれた焼き菓子ですが、その語源や由来には、金融街の多忙な金融マン向けに作られたお菓子と、「マドレーヌ」という女性の名に由来するお菓子という違いがあるのです。
フィナンシェとマドレーヌの違い【形】
フィナンシェとマドレーヌは、ともにフランス発祥の伝統的な焼き菓子ですが、その形には明確な違いがあります。
フィナンシェは、小さな金塊を思わせる四角い形が特徴です。この形は、フランスの金融街と縁が深く、「金の延べ棒」を模しているとされています。また、忙しい金融マンが片手でサッとつまめるように考案されたという逸話もあり、スーツのポケットにフィナンシェを入れていたというユニークな話も残っています。
一方、マドレーヌは「貝殻」型の焼き型を使用するのが大きな特徴で、特に「ホタテ貝」を模した横に広く膨らんだ型は、昔からあるクラシックタイプです。ホタテ貝はフランスでも古くから信仰されているキリスト教において、巡礼のシンボルとされています。キリスト教3大聖地のひとつであるスペイン・サンディエゴに到達した巡礼者は、ホタテの貝殻を持ち帰ることで、巡礼の証にしたと言われています。また、聖ヤコブのシンボルや巡礼路の標識もホタテの貝殻モチーフであったため、マドレーヌもホタテを模した形を使用するようになったと言われています。
日本では菊型で焼いたり、平たいカップに流して焼いたりする店もありますが、これは「パンドジェーヌ」という焼き菓子が日本に伝わったときにマドレーヌと混同されたためです。フィナンシェとマドレーヌは、形だけでなく食感も異なりますが、どちらもバターの香りが豊かで上品な味わいが魅力の焼き菓子です。
フィナンシェとマドレーヌの違い【材料】
フィナンシェとマドレーヌは、ともにフランス発祥の焼き菓子ですが、その材料や作り方に違いがあるため、食感や風味に大きな差が生まれます。
フィナンシェの主な材料は、アーモンドプードル(アーモンドパウダー)、卵白、グラニュー糖、薄力粉、バターです。特に、アーモンドプードルを豊富に使用し、バターを焦がしてから生地に加えることが大きな特徴となっています。この製法により、フィナンシェは表面がサクっと、中はしっとりとした食感に仕上がり、アーモンドと焦がしバターの芳醇な香りが楽しめます。
一方、マドレーヌは全卵を使用し、グラニュー糖、薄力粉、ベーキングパウダーを加えてふっくらと仕上げるのが一般的です。アーモンドプードルの使用量は少なく、代わりにバニラやはちみつ、レモンの皮のすりおろしなどを加えて風味付けをすることが多いです。マドレーヌは、ベーキングパウダーの働きでフワフワとした食感が生まれ、卵とバターのリッチで優しい味わいが口いっぱいに広がります。
食感と風味の違いから、フィナンシェはしっとりとした食感とアーモンドの芳醇な香りが好きな方や、男性にもおすすめです。一方、マドレーヌはふわっと軽い食感と、卵とバターの優しい甘さが好きな方や、お子さんや年配の方にも喜ばれるでしょう。カロリーについては、レシピによって異なりますが、一般的にマドレーヌのほうがバターの使用量が多いため、フィナンシェよりもカロリーが高くなる傾向にあります。
フィナンシェとマドレーヌの作り方
フィナンシェとマドレーヌは、フランス発祥の伝統的な焼き菓子です。どちらもバターと卵、アーモンドパウダーを使った生地が特徴的で、しっとりとした食感が楽しめます。
フィナンシェを作るには、まず小さめの鍋にバターを入れて火にかけ、しっかりコーヒー色になるまで焦がします。色づいたら、鍋のまま粗熱を取ります。次に、卵白とグラニュー糖をボウルに入れ、ホイッパーでコシを切るように混ぜ、薄力粉、アーモンドプードル、ベーキングパウダーを粗めのふるいでふるって加え混ぜます。粗熱が取れた焦がしバターを生地に加え混ぜ、型の9分目程度まで流し入れ、160~180℃程度に予熱したオーブンで約12~15分焼成します。焼けたら型からすぐに取り出し、粗熱が取れたら完成です。
一方、マドレーヌを作るには、まず型にポマード状のバターを薄く塗り、冷蔵庫で固めてから、表面に強力粉を薄くはたきます。次に、バターを電子レンジで溶かし、全卵をボウルに入れ、ホイッパーで溶きほぐします。グラニュー糖、バニラオイルを加えすり混ぜ、一緒にふるった薄力粉とベーキングパウダーを加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜます。溶かしバターを入れ、混ぜた生地を冷蔵庫で約1時間休ませます。生地を型の8~9分目程度まで絞り入れ、170~190℃に予熱したオーブンで10~12分程度焼成し、焼けたら型からすぐに取り出し、粗熱が取れたら完成です。
どちらもバターの風味が豊かで、口の中でホロッと崩れる食感が魅力的。紅茶やコーヒーのお供にぴったりの上品な焼き菓子です。
フィナンシェとマドレーヌの違いを知って、お菓子選びをもっと楽しく
パティスリーの人気者「フィナンシェ」と「マドレーヌ」。一見するとよく似たこのふたつのお菓子ですが、実は生地の配合や焼き方に大きな違いがあるのをご存知でしょうか。
フィナンシェはアーモンドパウダーを使った生地を焼き上げるのが特徴で、香ばしいブラウンバターを使うことでより深みのある味わいに。一方、マドレーヌは小麦粉が主体の生地を貝殻型で焼き上げ、バターを溶かすだけでしっとりとした食感が楽しめます。フィナンシェのサクッとした歯ごたえ、マドレーヌのふわっとした口当たり。同じフランス生まれのお菓子でありながら、味わいはまったく異なります。ふたつのお菓子を食べ比べてみれば、それぞれの個性の違いがよくわかるはず。
フィナンシェとマドレーヌ、あなたのお気に入りはどちら?お菓子への理解を深めることで、もっとお菓子選びが楽しくなること間違いなし。ティータイムが充実するお菓子を、ぜひ見つけてくださいね。
まとめ
マドレーヌとフィナンシェは、シンプルな材料で作られながらも、その味わいの深さと多彩な表情で私たちを魅了し続けます。手作りの温かみと伝統の味を楽しめるこれらのお菓子は、これからも多くの人々に愛され、ティータイムを彩り続けることでしょう。