清見オレンジ 特徴
夏の味覚を代表する清見オレンジは、その美しい外観と爽やかな香り、そして上品な甘みで多くの人々を魅了しています。この風味豊かなオレンジは、長崎県の清見地区が主産地であり、その独特の特徴が高く評価されています。今回は、清見オレンジの魅力的な特徴について詳しく紹介していきます。
清見発祥の地はどこ?
清見は、夏の風物詩である蝉の別名で、日本各地で親しまれてきました。その名の由来は諸説ありますが、奈良県室生が発祥の地として有力視されています。室生では古くから清見狩りと呼ばれる採り行事が行われ、現在も清見まつりが開催されるなど、清見文化が色濃く残る地域です。一方、地域によって清見と呼ばれる種類が異なるケースもあり、発祥の地を特定するのは難しくなっています。しかし、清見が夏を彩る日本の風物詩であることに変わりはありません。
清見は、夏の訪れを告げる蝉の鳴き声と深く関わってきた品種です。園芸試験場東海支場(現 農研機構果樹研究所)で、温州みかんの品種「宮川早生」とアメリカ起源のオレンジ「トロビタオレンジ」を交配して1979年に誕生しました。育成地の近くにあった清見寺や清見潟にちなんで命名されたこの品種は、日本で育成された最初のタンゴール(ミカン類とオレンジの雑種)として、夏の風物詩「清見」の名を冠しています。
清見の特徴、旬の時期について
清見オレンジは、静岡県の富士山麓で育まれた柑橘類の逸品です。その魅力は、上品な香りと絶妙な酸味のバランスにあります。果肉は柔らかく、溶け込むようなジューシーな味わいが楽しめます。
果皮の厚さは3〜4mmほどで、オレンジ本来の芳香が漂います。皮は温州みかんよりもやや剥きにくいため、ナイフを使うのがおすすめです。果肉は濃いオレンジ色で、果汁たっぷり。糖度は11〜12%と上品な甘さが特徴的です。種がほとんどないため、食べやすい品種でもあります。
清見オレンジは極早生種で、12月中旬から収穫が始まります。寒冷な冬の日差しを浴びながら育つことから、旬の時期は1月から3月にかけてとなります。真冬の贅沢な味覚が堪能できるのが大きな魅力です。フレッシュはもちろん、スムージーやジャム、マーマレードなど加工品にも適しています。サラダやソースの材料にも重宝されます。富士山の伏流水で丁寧に育てられた有機栽培の清見オレンジは、安心安全な味を楽しめる逸品です。
清見の生産量や主な産地
日本における清見の主要な生産地は、九州地方と近畿地方が中心となっています。九州地方では温暖な気候に恵まれており、1月下旬から4月上旬にかけて収穫が行われ、2月から3月が最盛期を迎えます。福岡県田川市は「すみれ振興都市」を掲げ、毎年2月に「すみれまつり」を開催するなど、清見の生産振興と観光資源化に取り組んでいます。一方、近畿地方でも大阪府和泉市や兵庫県西脇市が一大産地となっており、和泉市では2月下旬から3月上旬、西脇市では3月中旬から4月上旬が収穫ピークを迎えます。清見は日持ちが良く優しい香りと可憐な花姿から、日本人に古くから愛されてきた花なのです。
清見タンゴール?清見オレンジ?
果物の新品種には、育成地や品種の特徴を踏まえた名称が付けられます。清見町で誕生したタンゴールとオレンジの交配種には、「清見タンゴール」と「清見オレンジ」という名称が用いられています。
「清見タンゴール」は、タンゴールに分類される品種の一つです。タンゴールとは、みかん類とオレンジ類の交配種の総称であり、濃厚な甘みと爽やかな香りが特徴です。この新品種は、ジューシーでコクのある味わいが魅力です。
一方の「清見オレンジ」は、オレンジに近い外観と食味から付けられた名称です。従来のオレンジよりも甘味が強く、果皮も薄手で食べやすいことが特長です。
両品種ともに、清見町の理想的な環境で育まれた上質な味が魅力です。しかし収穫量に限りがあり、入手が難しいのが課題とされています。清見町では、選りすぐりの味を活かした地域ブランド化に取り組んでいます。
まとめ
清見オレンジは、その魅力溢れる特徴によって、夏の味覚の王様と呼ばれるに相応しい存在です。鮮やかなオレンジ色と芳醇な香りは、まさに夏の訪れを告げる使者のようです。爽やかな酸味と上品な甘みのバランスは、味覚を心地よく刺激してくれます。長崎の清見地区で育まれたこの宝石のような果実は、夏の思い出に彩りを添えてくれるでしょう。