みずみずしい甘さと爽やかな酸味が魅力のキウイフルーツ。自家栽培に挑戦する方も多いのではないでしょうか。キウイの収穫時期は品種や地域によって異なり、最適なタイミングを見極めることが、おいしいキウイを味わうための第一歩です。一般的には秋が収穫シーズンですが、早すぎると酸っぱく、遅すぎると落下してしまうことも。この記事では、キウイの品種ごとの収穫時期の目安や、収穫サインを見逃さないためのポイント、そして、豊かな実りを実現するための栽培管理のコツを徹底解説します。
キウイフルーツ栽培の基礎知識
キウイフルーツは、ビタミンやミネラルが豊富な健康果実として、家庭の庭先から本格的な農園まで、幅広く栽培されています。収穫適期は品種や場所によって変わりますが、おおむね10月下旬から11月初旬にかけて、最もおいしくなると言われています。ただし、キウイフルーツは収穫してから追熟させることで甘みが増すため、収穫時期の見極めが非常に重要です。ここでは、キウイフルーツの収穫時期を正確に判断する方法、品種ごとの収穫時期の目安、そして収穫量と品質を高めるための栽培管理のポイントを詳しく解説します。
収穫時期を見極めることの重要性
キウイフルーツの収穫時期は、その後の味に大きく影響します。収穫が早すぎると、追熟しても十分に甘くならず、逆に遅すぎると熟しすぎて風味が損なわれることがあります。また、霜による被害も考慮しなければなりません。適切な時期に収穫することで、追熟後の甘さを最大限に引き出し、おいしいキウイフルーツを収穫できます。さらに、収穫時期を適切に判断することは、その後の貯蔵方法や販売戦略にもつながります。
品種ごとの収穫時期の目安
キウイフルーツには様々な品種があり、それぞれ収穫に適した時期が異なります。一般的に、果肉が黄色の品種は10月下旬頃から、緑色の品種は11月上旬頃から収穫されることが多いです。以下に代表的な品種と収穫時期の目安をご紹介します。
- ヘイワード:10月下旬~11月上旬
- 香緑:10月中旬~10月下旬
- レインボーレッド:10月上旬~10月中旬
上記の時期はあくまで目安であり、栽培する場所の気候条件などによって収穫時期は前後することがあります。それぞれの品種の特徴を理解し、最適な収穫時期を見つけることが大切です。
収穫時期を正確に判断するためのポイント
収穫時期を判断するには、以下の要素を総合的に考慮することが大切です。
- 糖度測定:糖度計を使って果実の糖度を測り、目標とする追熟前の糖度に達しているかどうかを確認します。一般的に、追熟後に糖度が14度以上になるとおいしいと言われています。
- 果皮の色と硬さ:熟したキウイフルーツは、果皮の色が黄色や茶色っぽくなり、お尻の部分が少し柔らかくなります。まだ熟していないキウイフルーツは緑色で硬く、香りも弱いです。
- 香り:十分に熟したキウイフルーツは、特有の甘い香りが強くなります。
- 地域情報:地域の気候や栽培に関する情報を参考に、収穫時期を予測します。
これらのポイントを参考に、総合的に判断することで、より正確な収穫時期を見極めることができます。また、いくつかキウイフルーツを採取して、試しに追熟させてみるのも良いでしょう。
AI技術を活用した収穫時期予測
近年、AI(人工知能)を駆使した収穫時期の予測が注目されています。過去の栽培記録や気象データをAIに学習させ、最適な収穫時期や収量増加に繋がる作業を提案するシステムが開発されています。例えば、「アグリコンシェルジュ」は、農家が開花日や果実のサイズなどの情報を定期的に入力するだけで、収穫に適した時期や収量アップのための対策を知ることができます。これらの技術を活用することで、より効率的な栽培管理が実現可能です。

キウイフルーツの収益性:収量と経営収支について
キウイフルーツ栽培における収益性を把握することは、新規参入を検討する方や、現在の経営状況を改善したいと考える方にとって不可欠です。収穫量や販売価格、そして経営にかかる費用などを総合的に考慮し、収益性を評価する必要があります。
山口県が公開している「令和3年度果樹栽培指導指針」によると、キウイフルーツの代表的な品種であるヘイワードを栽培した場合、10アール(a)あたりの収穫量の目安は約2,500kgとされています。選果後の品質の良い果実の割合を90%以上と仮定すると、10aあたりの出荷量は約2,250kgと見込むことができます。販売単価を1kgあたり408円とすると、10aあたりの売上高は約918,000円となります。この売上高から、経営費(肥料代、農薬代、光熱費、動力費、農具の購入・修理費用、販売にかかる費用、管理費用、減価償却費など)として399,922円を差し引くと、約519,078円の利益が得られる計算になります。つまり、10aのキウイフルーツ農園を経営することで、およそ52万円の利益を見込むことができると考えられます。
収量アップと果実のサイズアップのための栽培管理
キウイフルーツ栽培でより多くの利益を得るためには、単位面積あたりの収穫量を増やし、果実を大きく育てることが重要です。以下に、収量アップと果実のサイズアップを実現するための栽培管理のポイントをご紹介します。
土壌づくりと肥料の与え方
キウイフルーツ栽培に適した土壌は、水はけが良いことが大切です。特に、以前水田だった土地を転用する場合には、排水対策をしっかりと行う必要があります。土壌のpHは弱酸性の6.0~6.5が理想的です。必要に応じて石灰を撒き、pHを調整しましょう。土壌を肥沃にするためには、有機物や完熟堆肥を施すことも重要です。10aあたり1トンから2トンの有機物や完熟堆肥を使用して土壌改良を行います。肥料を与えるタイミングは、収穫直後の11月中旬頃(基肥)、3月上旬頃(春肥)、5月下旬頃(夏肥)、9月上旬頃(秋肥)の年4回です。年間の肥料の総量を1とした場合、基肥を2/5、春肥、夏肥、秋肥をそれぞれ1/5程度の割合で施肥するのがおすすめです(10aあたり約30本のキウイフルーツの木を栽培する場合を想定しています)。
摘蕾・摘果
キウイの果実を大きく育て、品質を高めるためには、摘蕾と摘果は欠かせない作業です。特に、レインボーレッドのように多くの蕾をつける品種では、摘蕾・摘果によって実の数を調整することで、サイズや甘さに大きな差が出ます。レインボーレッドでは、結果枝の根元や先端、側花がない中心花は、実が小さくなる傾向があります。大きな実を育てるには、枝の中ほどに着生している中心花を3~5個残し、残りの側花はすべて摘蕾するのがおすすめです。また、結果枝につける実の数を減らすことで、糖度が増し、レインボーレッドの特徴である中心部の赤みがより鮮やかになります。結果枝に1個か2個の実を残し、葉と花の比率が5:1以上になるように摘果しましょう。摘果に最適な時期は、受粉後10~20日です。この時期に行うことで、果実の大きさが均一になりやすくなります。
病害虫対策
収穫量を確保するためには、適切な時期に病害虫を防除することが大切です。キウイ栽培で特に注意すべきは「花腐細菌病」です。この病気は、花が落ちたり、果実が奇形になったりするもので、開花時期に雨が多いと発生しやすくなります。以下の方法で対策を行いましょう。
- こまめな剪定で、枝葉が密集しすぎないようにする
- 風通しと日当たりを良くする
- 適切な肥料を与える
- 発芽前と生育期(4~5月頃)に農薬を散布する
剪定
適切な剪定は、キウイの樹を健康に保ち、良質な果実を安定して収穫するために非常に重要です。冬に行う剪定では、不要な枝や古い枝を取り除き、樹全体の風通しを良くします。夏に行う剪定では、勢いよく伸びる徒長枝を整理し、果実に十分な日光が当たるようにします。剪定作業は、翌年の収穫量に影響するため、丁寧に行うことが求められます。
キウイフルーツの収穫方法と保管方法
キウイフルーツを収穫する際は、剪定ばさみなどを使って、実の上にある茎をカットします。実を傷つけないように、涼しい朝夕の時間帯に丁寧に摘み取るのがコツです。収穫したキウイフルーツは、風通しの良い冷暗所などで保管します。まだ硬いキウイフルーツは、りんごやバナナなど、エチレンガスを放出する果物と一緒に保管することで、追熟が進み、甘く柔らかくなります。ビニール袋に一緒に入れて、常温で1週間ほど置いておけば、食べ頃になります。
収穫後の手入れ
キウイフルーツの収穫を終えたら、樹木のお手入れを行いましょう。キウイが休眠状態に入る時期に、肥料を与えたり、枝を切ったりする作業を行うことで、翌年の収穫に備えられます。収穫後の適切な手入れは、翌年の豊かな実りを促します。
結び
キウイフルーツ栽培では、最適な収穫時期を見極め、丁寧な管理を行うことで、高品質でおいしい果実を収穫できます。品種ごとの特徴を把握し、糖度、果皮の色、香りなどを考慮して、ベストな収穫時期を判断しましょう。また、土壌づくりから芽の整理、病害虫対策、剪定に至るまで、細やかな管理をすることで、収穫量の増加や果実の大型化を実現し、収益向上につながります。この記事が、キウイフルーツ栽培に励む皆様のお役に立てば幸いです。
質問1:キウイフルーツの収穫時期はいつ頃ですか?
回答:キウイフルーツの収穫時期は、品種や栽培地域によって異なりますが、一般的には10月下旬から11月上旬頃が目安となります。黄色の果肉の品種は10月下旬頃から、緑色の果肉の品種は11月上旬頃から収穫されることが多いです。
質問2:収穫時期を判断する上で重要な点は何ですか?
回答:収穫時期を判断する上で重要な点は、糖度を測定すること、果皮の色と硬さを確認すること、そして香りを確認することです。糖度計で糖度を測り、果皮が黄色や茶色に変化しているか、お尻の部分が柔らかくなっているか、甘い香りが強くなっているかを確認しましょう。
質問3:収穫後のキウイ、どうやって保存するのがベスト?
回答:収穫したキウイフルーツは、風通しの良い、涼しい場所で保存しましょう。もしキウイがまだ硬いようでしたら、リンゴやバナナといった、エチレンガスを放出する果物と一緒に保管すると、追熟が進み、より甘く、柔らかくなります。
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