小さな果実ながら、その鮮やかなオレンジ色と甘酸っぱい風味で多くの人々を魅了するアプリコット。食卓に彩りを添えるだけでなく、健康にも優れた効果をもたらすことでも知られています。ビタミンAやC、食物繊維を豊富に含むアプリコットは、日常の食生活に取り入れることで、より健康的でバランスの取れた生活をサポートします。生で食べるのはもちろん、乾燥アプリコットやジャムとしても楽しめる多彩なアレンジ法を紹介しつつ、美味しい食べ方について探っていきましょう。
アプリコットとは
「アプリコット」という名前はバラ科のサクラ属に属する植物を指します。混乱するかもしれませんが、アプリコットとあんずは実際には同一のもので、あんずを英語で言うとアプリコットとなります。ただし、西洋の品種をアプリコット、東洋の品種をあんずと分類することもあるため、一部で違いがあると認識される場合があります。
アプリコットの歴史
アプリコットは中央アジアの中国北西部やモンゴル、ネパール、ブータンを原産地とされています。中国では2000年以上前から栽培されており、杏仁豆腐の材料である「杏仁」が薬として使われていたと伝えられています。そこから徐々にヨーロッパへと拡がり、世界中に広まっていきました。
日本にアプリコットがもたらされた時期は不明確ですが、平安時代の記録によれば長野県で栽培されていたようです。当初は「唐桃」と呼ばれ、江戸時代に「あんず」という名称になりました。
アプリコットの栽培に向いているのは寒さと乾燥が特徴の地域で、日本では特に長野県、青森県、福島県などで多く栽培されています。これらの地域はりんごの名産地としても知られています。
アプリコットの最適な収穫時期について
アプリコットの収穫期は品種により異なるものの、主に6月から7月を迎えます。この期間に新鮮な果実を味わえるチャンスを逃さないでください。それ以外の時期はドライフルーツやジャムといった加工品でしか楽しめないため、旬の時期にお店で見つけたら、ぜひ新鮮なアプリコットを手に取ってその味わいを堪能してみてください。
アプリコットの魅力とは?
アプリコットは、その遺伝子的な特徴は梅や桃、すももに似ており、春には美しいピンク色の花を咲かせます。花の後には実が成り、大きさは約5cmで、熟すとオレンジ色になる桃に似た形をしています。中心部には硬い種が含まれているという点でも桃と共通しています。
アプリコットの花期は年度や地域の違いで異なりますが、概ね3〜4月に見られます。その後、実が青から成熟するのは6〜7月ごろです。
熟したアプリコットは、フルーティーかつ甘い香りが漂いますが、酸味が強いものもあります。そのため、多くはジャムやシロップ漬け、あんず酒、ドライフルーツに加工されます。日本で栽培される東洋種は酸味が強い傾向があり、ヨーロッパからの品種は酸味が控えめなのが特徴です。最近では、食用に適したアプリコットを増やすため、ヨーロッパの品種との交配が進められています。
生で楽しむアプリコットの極上の味わい
アプリコットには酸味が強いものと穏やかなものがあり、生で食べるのに適した種類や加工用の種類、両方に適しているものがあります。常温で保存することで追熟が可能で、まだかたいものや色の薄いものは時間が経つにつれ酸味が和らぎます。さらに、皮ごと食べることもできる果物です。
アプリコットを味わう絶品ジャムの楽しみ方
アプリコットを使ったジャムは人気があります。ケーキやクッキーの材料にしたり、紅茶に加えて楽しんだりするのもおすすめです。少し水で薄めると、ケーキの表面に光沢を出すナパージュとしても活用できます。
ドライアプリコットの楽しみ方と魅力
アプリコットをドライフルーツとして楽しむ人は多いかもしれません。水分が抜けて甘みが濃縮されるだけでなく、保存にも適しています。もちろん、そのままの状態でも美味しく味わえますが、ヨーグルトやアイスクリームのトッピングとして利用したり、ケーキやジャムの材料として使うなど、さまざまなアレンジが可能です。
絶品アプリコットを使ったお酒の楽しみ方
杏の甘酸っぱさとフルーティーな香りを生かしたブランデーやリキュールは、カクテルの材料として人気があります。また、アマレットリキュールは杏の種の中の仁、すなわち「杏仁」を原料としている飲み物です。このリキュールは杏の果実の甘酸っぱい味わいとは一線を画し、アーモンドのような深い香りと風味が楽しめるのが魅力で、「アーモンドリキュール」として知られることもあります。
アプリコットの美味しさを楽しもう!
今回の記事では、アプリコットの魅力やおいしく味わう方法について詳しく説明しました。新鮮なアプリコットは季節限定ですが、ジャムやドライフルーツに加工することで、年間を通じて楽しむことができます。