秋の訪れとともに、梨のシーズンがやってきます。この季節ならではのジューシーで甘い梨を楽しみたい方は多いでしょう。しかし、市場やスーパーでどの梨を選べば良いのか迷うことも少なくありません。見た目の美しさだけでなく、味わいや食感をしっかり楽しむためには、いくつかのチェックポイントがあります。本記事では、そんな美味しい梨を選ぶためのコツや見分け方を詳しくご紹介します。自宅で最高の梨を味わうためのガイドとして、ぜひお役立てください。
識別時の注目すべきポイント
美味しい梨の見極め方について見ていきましょう。
太めの軸・均一な色合い
梨を選ぶ際には、太い軸と均一な色合いのものが良いとされています。太い軸は栄養の吸収を示すとも言われます。「秋麗」は特に色ムラが特徴的なので、その点を気にする必要はありません。
「南水」はしっかりとした形状で、軸も頑丈です。シャリっとした食感と糖度16.1度という甘味を持ち、ジューシーさが際立っています。
重量感が手に伝わる
見た目がしっかりとしており、大きさが同じなら重みを感じるものを選ぶと良いでしょう。重さがあるものは、水分が豊富でジューシーな食感が楽しめます。
果皮のなめらかさ
果皮が褐色で表面がザラザラしている赤梨の品種、たとえば「豊水」や「新高」、「南水」などでは、そのざらざら感が果実の熟成度合いを測る指標になります。
このザラザラした点々は「果点コルク」と呼ばれ、気孔が塞がってコルク化したものです。熟していない状態ではざらつきが強く、熟すに従って目立たなくなり、完熟に近づくほど表面は滑らかになっていきます。
梨の特徴として、未熟なものは果肉がかたく酸味が強めですが、成長すると柔らかくなり甘みが増してきます。つまり、甘く完熟したものを求めるなら、ざらつきが少ないものを選ぶのがポイント。ただし、表面が滑らかすぎて赤みが濃い果実は、過熟の可能性もあります。
ざらつき具合は品種や個体、保存状態によっても変わるため、ひとつの目安として理解しておくとよいでしょう。表面が滑らかでわずかに柔らかさが感じられる果実もあります。
色合い
赤梨は成熟が進むにつれて色合いが変化し、緑から黄土色、最終的に赤茶色になります。これに伴い酸味も徐々に和らいでいきます。
その結果、皮が赤みを帯びているものは、酸味が弱く甘さを感じやすいと言えます。酸味を楽しみたい場合は、赤みの少ないものを選ぶと良いでしょう。
ただし、外見の赤色が必ずしも高い糖度を意味するわけではありません。緑色でも甘いものがあるため、あくまで参考程度にしてください。
「幸水」も赤梨の一種ですが、特性によりシーズン初めは黄緑色が多く、終わりに近づくと赤みが増す傾向にあります。
青梨は成熟すると黄色がかかった色に
青梨の「二十世紀」や「かおり梨」は、熟すにつれて果皮が緑色から黄緑色、そして黄色へと変化します。このため、黄色みがかった果実のほうが酸味が少ない傾向にあります。
酸味が少ない梨を好むならば、黄色みを帯びたものを選ぶのが良いでしょう。ただし、熟しすぎると果肉が柔らかくなることがありますので注意が必要です。
長持ちさせるなら完熟手前のものを選ぶ
熟した果物は保存期間が短く、時に柔らかくなることもあります。長持ちさせたいなら、赤梨は少し赤みがかかったもの、青梨は明るい緑から薄黄色の完熟に近いものを選ぶのが良いでしょう。
代表的な甘い梨の品種とその魅力
これからは、人気のある甘い梨の品種とその特性についてご説明いたします。
幸水梨
幸水は千葉県で生まれた品種で、長野県や茨城県、新潟県などでも広く栽培されています。これは「豊水」や「新水」と共に三水と呼ばれ、その名前と人気は全国的に知られています。梨の中ではやや小ぶりですが、果肉は密で多汁です。甘さと酸味のバランスが良く、上品な香りが魅力です。旬は8月初旬から9月の間で、収穫期が短いので、食べ頃を逃さないようにしましょう。
新高
新高は、天の川という品種を元に新潟県で開発された主要な品種の一つです。この梨は新潟県の品種の特徴を受け継いでおり、特に大きめの果実で知られています。平均して800g以上になることが多く、その大きさも魅力の一つです。果肉は柔らかく、舌触りが非常に滑らかで、甘味が広がる上品な味わいが楽しめます。食べ応えがあり、家族全員で味わうのに最適な人気品種です。この梨の旬は10月から11月です。
秋麗
秋麗は、主に熊本や新潟で育てられる青梨の一種です。その特徴は、酸味が控えめで、甘さが口の中で広がり、風味豊かであることです。果肉は白く柔らかで、舌触りはとても滑らかです。一般的な秋麗は黄緑色ですが、無袋栽培されると洋梨に似た茶色のサビが発生することがあります。この梨の旬は8月下旬から9月にかけてです。
新王
新王は新潟県で新美月と同時期に誕生した新しい梨の品種です。その特徴的な粗い形状は見る人の目を引きます。スイーツのような濃厚な甘さと独特のザクッとした食感が楽しめるため、「新王」として名づけられました。収穫期は新美月に比べてやや遅く、9月中旬から10月中旬にかけて旬を迎えます。