ふじりんごには「有袋栽培」と「無袋栽培」の二つの方法があり、それぞれで異なる特徴が生まれます。有袋栽培は、りんごに袋をかけることで色合いを鮮やかにし、見た目を良くする伝統的な方法です。一方、無袋栽培で育てたふじりんごは、袋を使用しないため太陽の光を多く浴び、糖度が高くなる傾向にあります。こうした無袋栽培で育ったふじりんごは「サンふじ」と呼ばれ、甘さを重視する消費者に支持されています。サンふじは食味を優先するために広く栽培されており、長野県産の無袋ふじには「サンつがる」同様、登録商標として認められています。貯蔵性においては有袋栽培の方が優れているため、保存性を重視する場面では有袋栽培のふじも選ばれることがあります。また、長野県では2010年から「ムーンふじ」という、新しい色合いのふじりんごも登場しています。ムーンふじは袋をかけたまま育てることで独特のクリーム色に仕上がり、新たな魅力を備えた品種として注目されています。

ふじりんごの生産量は、日本国内のりんご全体の生産量とほぼ同様の分布を持っています。青森県が主要産地であり、全国のりんご生産量の半数以上を占め、特にふじりんごの栽培でも圧倒的なシェアを誇っています。次いで長野県や福島県が続き、これらの地域でふじりんごが広く栽培されています。青森県では寒冷な気候がりんごの栽培に適しており、糖度や品質の高いりんごが育ちやすい環境が整っています。長野県や福島県も山間部の冷涼な気候が特徴で、それぞれの地域が異なる風味や特徴を持つふじりんごを提供しています。こうした主要産地は、日本国内のりんごの供給を支えるだけでなく、海外への輸出も行っており、ふじりんごは世界的にも評価の高い品種となっています。

ふじ林檎は、日本を代表するりんご品種の一つであり、その特徴的な甘みと豊かな風味で知られています。果実は美しい赤みがかった皮を持ち、緻密でみずみずしい果肉が特徴的です。糖度が高く、ほのかな酸味が絶妙にバランスされており、食べると独特の満足感が得られます。また、保存性に優れているため、長期間にわたって美味しさを保つことができるのも魅力です。ふじ林檎は日本国内外で高い人気を誇り、幅広い料理や加工品に利用されています。