忙しい毎日の中で、パンを余すことなく美味しく楽しむためには、冷凍保存が欠かせません。新鮮な状態を長持ちさせつつ、必要なときにすぐに取り出せるのは大きな魅力です。しかし、ただ冷凍すれば良いわけではありません。適切な方法で保存しなければ、せっかくの風味と食感が損なわれることも。本記事では、パンの冷凍保存のテクニックを詳しく解説し、その日持ちの目安についても紹介いたします。あなたの大切な食卓をより豊かにするために、ぜひお役立てください。
パンは常温保存で良い?
短期間、たとえば翌日までに消費する場合は、パンを密閉して常温保存するのが良策です。ただし、注意点として、密閉の際は手で直接触れないようにすることが重要です。手にある菌がパンに移るのを防ぐためです。しかし、気温が20~30℃と高く、かつ湿度も高い夏や梅雨、また長雨の続く秋には特に注意が必要です。このような時期はカビが生えやすく、特に水分の多い食パンが注意を要します。状況によっては、その日のうちか翌日までに食べきるようにしましょう。
パンは冷蔵保存できる?
長期間保存する際に、解凍の手間が省ける冷蔵保存を選びたくなるかもしれません。しかし、これは適切な方法ではありません。冷蔵庫ではカビの繁殖を完全に防ぐことができず、温度によってはカビの成長が遅れるものの、胞子が存在すれば増殖は避けられません。冷蔵庫に放置して安心するのは誤りです。また、冷蔵保存によってパンのでんぷんやグルテンの劣化が進行しやすくなり、保存環境が原因で味や食感を損なうリスクが増します。
パンの冷凍保存
パンをしばらく保存したい場合、常温保存では2日程度が限界ですし、冷蔵保存は推奨されません。ではどのようにして長持ちさせるのでしょうか。その答えは冷凍保存です。冷凍庫内の-18℃以下の環境では、カビの繁殖を防ぐことができます。この温度はまた、でんぷんやグルテンの劣化を遅らせることができるため、解凍後にリベイクしてもパンの風味を保ちやすくなります。
自宅で冷凍した場合の保存目安は約2週間
パンを家庭で冷凍保存した際には、約2週間程度の保存が目安となります。通常、常温での保存には冷凍した場合の賞味期限は設定されていません。
冷凍パンの保存期間は種類にも依存しますが、一般に常温保存よりも長持ちします。常温で保存する場合、賞味期限は概ね1~5日程度なので、それよりも保存期間が延びると考えられます。
ただし、家庭での冷凍は専用の設備やパッケージではありません。その結果、家庭用冷凍庫で保存する際には、約2週間で食べきることが勧められます。

冷凍して販売されているパンの賞味期限
次に、冷凍して販売されているパンの賞味期限について考えてみましょう。これらのパンは、賞味期限が大まかな基準として示されています。
特別な加工が施されているため、冷凍に適した品質で作られています。例えば、水分や油の量を調整したり、特定の添加物を使用するなどの方法があります。
そのため、家庭で冷凍したパンよりも長持ちすることが多いです。ただし、賞味期限はおおよその指標に過ぎず、開封状況や保存環境によって変わることがあります。
特に、冷凍パンは−18℃で保管することが推奨されています※1。家の冷凍庫では温度が不安定なことがあるため、賞味期限よりも早めに消費するのが良いでしょう。
さらに、パンのタイプによって保存期間や賞味期限は異なります。
食パン・フランスパン
食パンやフランスパンといったパンを冷凍する場合、次の手順を踏むことができます。
冷凍する際には、パンをできるだけ空気を含まないように包むと良いでしょう。こうすることで、冷凍中に霜がつくのを避けることができます。
さらに、保存用の袋やフリーザーバッグに入れることで、パンへのにおいの移りや冷凍焼けを防ぐことができます。パンを冷凍する際には、できる限り短時間で冷凍することを心掛けましょう。冷凍庫に急速冷凍の機能がある場合はそれを利用すると良いです。
菓子パン・惣菜パン
今回は、菓子パンや総菜パンの冷凍保存方法についてご案内します。これらのパンも他のパンと同じ方法で冷凍できますが、具材に注意が必要な場合もあります。
解凍時に温めると溶けやすい生クリームを含むパンは冷凍に向きません。また、冷凍で食感が変わる可能性のあるジャガイモ、ゆで卵、生のフルーツを使用したパンも避けるのが賢明です。
個別包装のパンはそのまま開封せずに密封袋に入れて凍らせることができます。パン屋で買った未包装のパンは、ラップでくるんでから保存袋に入れて冷凍してください。
冷凍パンを美味しく味わうための解凍テクニック
冷凍したパンを美味しく楽しむためには、冷凍方法だけでなく解凍方法にも工夫が必要です。一般的には、冷凍庫から出した後、直接焼くか、一度自然解凍や電子レンジで解凍してから焼くのが美味しさを引き出すポイントです。
ここでは、異なる種類のパンに合わせたおすすめの解凍テクニックを解説します。
食パン
冷凍食パンを美味しく食べたい時は、まず冷蔵庫で自然解凍し、その後トースターで焼く方法が最適です。時間がない場合は、冷凍のままトーストすることも可能です。
電子レンジを使用して解凍する際は、オートモードを避けるのが賢明です。オートモードはパンの水分を飛ばしがちで、結果的に硬くなることがあります。軽くラップをかけて500Wで20~30秒加熱すると良いです。
さらに、ターンテーブルの端に配置することで、均一に加熱できます。
バゲット・ベーグル
次に、凍ったバゲットやベーグルを解凍する方法についてです。これらのパンは油脂分が少ないため、時間が経つと固くなりやすい特性があります。
解凍時には、パンの表面に少量の水を霧吹きでかけて水分を補うと効果的です。その後、ラップで包み、600Wの電子レンジで30秒から1分ほど加熱してください。
最後に、トースターで焼けば、バゲットはカリカリに、ベーグルはもちもちに仕上がります。
クロワッサン
まず始めに、凍ったクロワッサンを冷凍庫から出し、ラップを外して約10分間自然解凍します。その次に、クロワッサンをアルミホイルでくるみ、120℃に設定したオーブントースターで7~8分ほど加熱します。
焼き上がったクロワッサンをオーブントースターから出してから2分程度置くと、溶けたバターが固まり、カリッとした食感が戻ってきます。