卵 アレルギー

卵アレルギー

卵アレルギー

卵は栄養豊富で多くの料理に使われる代わりに、一部の人々にとっては健康や生活に悪影響がある可能性があります。その具体的な例が「卵アレルギー」です。

卵アレルギーの原因

卵アレルギーは、卵に含まれるタンパク質(特に卵白に多く含まれる)に対して免疫系が過剰に反応することで生じます。アレルギーの基本的なメカニズムは、本来無害な物質を体が「危険」と誤って認識し、それに対して防御反応を起こすことです。

卵アレルギーの発症要因と考えられるもの
・遺伝的要素
・腸管バリア機能の発達度
・初めて卵を摂取する時期
 2021年から生後5~6か月から加熱卵黄を離乳食に与えてもよいとされています*1
 出典:日本小児アレルギー学会:「食物アレルギー診療ガイドライン2021」

卵アレルギーの症状

卵アレルギーの症状
卵アレルギーは主に小児に多く見られ、症状は個人差があります。一般的に摂取後2時間以内に現れることが多いです。

1. 皮膚症状
発疹、蕁麻疹(じんましん)
かゆみ、赤み、腫れ

2. 呼吸器症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまり
咳、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難
重症例ではアナフィラキシーショック(急激な血圧低下、頻脈、意識障害など)

3. 消化器症状
腹痛、吐き気、嘔吐
下痢

卵アレルギーが疑われる場合は、自己判断せず医療機関を受診し、適切な診断と指導を受けることが重要です。
卵アレルギー

卵アレルギーの治療法

卵アレルギーの主な対応方法には以下があります:
1. 耐性獲得(経口免疫療法)
医師の指導のもと、極少量から始めて徐々に摂取量を増やし、体を慣らしていく方法です。特に小児では年齢とともに腸管機能が発達し、アレルギーが軽減・消失することが期待できます。

2. 原因食物の除去
アレルギー症状を引き起こす食物(卵)を一定期間避ける方法です。除去期間は個人の症状や年齢などを考慮し、医師と相談して決定します。

【緊急時の対応】
重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)に備え、医師の処方によりアドレナリン自己注射器(エピペン®)を携帯することもあります。
※いずれの治療も自己判断せず、必ず医師の指導のもとで行ってください。

卵アレルギーに注意が必要な食品とは

卵アレルギーに注意が必要な食品
卵アレルギーがある方は、以下の食品に注意が必要です:

●卵を含む主な食品
卵料理全般(ゆで卵、目玉焼き、オムレツなど)
マヨネーズ、タルタルソース
パン、ケーキ、クッキーなどの菓子類
かまぼこ、ちくわなどの練り製品
一部の麺類(卵麺など)

●食品表示で確認すべき成分
全卵、卵黄、卵白
アルブミン
リゾチーム
レシチン(卵由来の場合)
オボムチン、オボグロブリン

食品を購入する際は、必ずアレルゲン表示を確認しましょう。食品表示法では、卵は特定原材料として表示が義務付けられています。
出典:消費者庁:「食品表示法における食物アレルギー表示制度について」

卵アレルギーの方への代替食品について

卵は料理やお菓子作りに欠かせない食材ですが、卵アレルギーの方にとっては注意が必要です。幸い、近年では卵の代わりになる食材や製品が多く登場しており、安全でおいしく調理することが可能です。


例えば、お菓子作りでの代用には「無糖のりんごソース」や「バナナ」、「豆腐」が人気です。これらは生地をしっとりさせ、自然な甘みも加わるため、焼き菓子に最適です。また、つなぎとして使いたい場合は、片栗粉と水を混ぜたものや、「アクアファバ(ひよこ豆の茹で汁)」が有効です。アクアファバはメレンゲの代用にもなります。


さらに、市販の卵不使用のマヨネーズやドレッシングなども増えており、日常の食事に取り入れやすくなっています。大豆アレルギーにも配慮した商品もありますので、選ぶ際には原材料の確認を忘れずに。


アレルギー対応の食生活は工夫が必要ですが、代替食品を上手に活用することで、安心で豊かな食卓を楽しむことができます。

【卵なし】バナナと豆乳のしっとりマフィン(6個分)

材料:

熟したバナナ…2本(約200g)

砂糖…40g(甘さ控えめ)

サラダ油…50ml(またはココナッツオイルでもOK)

無調整豆乳…100ml

薄力粉…150g

ベーキングパウダー…小さじ2


作り方:

1:オーブンを180℃に予熱します。マフィン型に紙カップを敷いておきます。

2:ボウルにバナナを入れて、フォークでよく潰します。

3:潰したバナナに砂糖・油・豆乳を加えてよく混ぜます。

4:そこに薄力粉とベーキングパウダーをふるいながら加え、ゴムベラでさっくり混ぜます。

5:生地を型に均等に流し込み、180℃のオーブンで20〜25分焼きます。

6:焼き上がったら竹串で中まで火が通っているか確認し、粗熱を取って完成!

まとめ

卵アレルギーへの理解と適切な対応は、健康管理の重要な一部です。症状が疑われる場合は早めに医療機関を受診し、正確な診断と指導を受けましょう。食事管理においては、卵を含む食品を適切に識別し、バランスのとれた代替食品を取り入れることが大切です。

※本内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の治療や診断を推奨するものではありません。卵アレルギーの診断・治療については、必ず医師にご相談ください。

記事監修者 紹介

県立広島大学 人間文化学部 健康科学科 2013.4-2017.3

管理栄養士/栄養士 取得

阪神調剤薬局 (管理栄養士/登録販売者/事務) 2016.4-2020.6

飲食店を営む家で育ち、食事を通して多くの人の元気を支えたいという思いで管理栄養士を目指しました。調剤薬局では栄養相談会を実施したり地域のイベントでの講演など、地域の方の健康を支えるサポートをしていました。出産を機に退職しましたが、「食事を通して多くの人の元気を支えたいという思い」は変わらずフリーの管理栄養士として活動しています。