日常の食卓に彩りを添える小魚。しかし、その食べ過ぎが健康に与える影響については、あまり知られていないかもしれません。特にカルシウムやビタミンD、オメガ3脂肪酸を豊富に含むことで知られる小魚ですが、適量を守らないと逆効果になる可能性も。この記事では、小魚を食べ過ぎた場合のリスクや適切な摂取量について分かりやすく解説し、健康的な食生活をサポートします。
にぼしの食べすぎは大丈夫?健康上のリスクと1日の適切な摂取量、栄養の利点【管理栄養士監修】
いわゆる「煮干し」は、名前の通り魚介類を煮て干したもので、中でも魚の煮干しがよく知られています。そのまま食べられるため、軽食やスナックとして消費されることも多いでしょう。では、食べ過ぎた場合にはどのような影響があるのでしょうか?煮干しの栄養成分や1日に摂取する適切な量について考えてみましょう。
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にぼしが持つ栄養素とは?
にぼしは出汁としてだけでなく、直接食べても美味しい食品です。魚をまるごと食べられるにぼしには、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。(※この記事では、これ以降、魚としてのにぼしについてご紹介いたします。)
栄養の特性① 豊かなカルシウム含有量
カタクチイワシを乾燥させたにぼしに含まれるカルシウムは、100gでなんと2,200mgもあり、これは牛乳のおよそ22倍に相当します[*1]。にぼし100gを一度に摂取するのは難しいかもしれませんが、市販の「小魚ナッツ」にはだいたい5gほどのにぼしが含まれています。この5gで110mgのカルシウムを摂取でき、これは牛乳100mlに相当します[*1]。少量で効率的にカルシウムが摂れるのは嬉しいですね。
栄養の特色② DHAやEPAの含有
煮干しには、魚の脂に含まれるDHAやEPAが豊富に含まれています。これらはn-3系脂肪酸として知られており、血中コレステロールに悪影響を与えない点で注目されています。カタクチイワシの煮干しにはDHAが320mg含まれていますが、イカナゴの煮干しではその約2倍の770mgが含まれています。EPAも同様なので、DHAやEPAを余分に摂取したいなら、イカナゴの煮干しを選択するのも良いでしょう。ただし、カタクチイワシでも十分補うことが可能なので、魚料理が不足していると感じるときは、煮干しを活用してみてくださいね。
■煮干しは魚だけじゃない!?「煮干し」とは、その名の通り煮て干したもののことを指します。そのため、小魚だけでなく、ホタテ貝柱やサクラエビの煮干しなども存在します。ただし、一般的には煮干しと言えば、小魚を煮て干したものを指します。カタクチイワシ、イカナゴ、トビウオなど、様々な魚の煮干しがあり、特に一般的なのはカタクチイワシかもしれません。ちなみにカタクチイワシの煮干しは、「シコイワシ」、「セグロ」、「イリコ」、「チリメン」などとも呼ばれ、イワシの稚魚の大きさや地域によって異なる名前で呼ばれますが、煮て干してあれば全て「煮干し」です。
にぼしを過剰に摂取する際のリスクとは?
にぼしは栄養素の過剰摂取によるリスクが少ないため、通常の量を超えて食べても特筆すべきリスクはありません。ただし、高尿酸血症の方は摂取量に注意が必要です。
プリン体|高尿酸血症の方が注意すべきポイント
肉類や魚類はプリン体が多く含まれる食品であり、にぼしもその例外ではありません[*2]。では、にぼしを避けるべきなのでしょうか?基本的に、健康状態に問題がなければ、プリン体の摂取を特に制限する必要はないと言えます。プリン体は痛風や高尿酸血症の主な原因とされがちですが、実際には肥満やアルコール摂取の影響が大きいと考えられています[*3]。したがって、予防のためには適度な飲食を心掛けることが重要です。にぼしのプリン体について過度に心配する必要はありません。ただし、既に高尿酸血症がある場合には、痛風への進行を防ぐためにプリン体の摂取を控えることが有効です。しかし、にぼしに含まれるプリン体の量は種類や乾燥具合によって異なるため、具体的な数値で比較するのは現実的ではないでしょう。にぼしを含む肉や魚の摂取を過剰にせず、野菜を多く食べることをおすすめします。また、節度ある飲食を心掛けましょう。
子どものおやつ選びは注意が必要
にぼしは少量でカルシウムを補給でき、子どものおやつとしても優れています。ただし、与える際には水分を用意しておくと安心です。硬さがあるため、のどに詰まるのを防ぐためにも、事前に水分でのどを潤してから食べるようにしましょう。
にぼしの一日の適切な摂取量とは?
にぼしの過剰摂取はあまり心配する必要がありませんが、適切な量を知っておくことは、食材を選ぶ際の良い指標となります。1日にどれくらいの量が妥当なのでしょうか。
一日の適正な摂取量は30グラム
一日のにぼしの適量は約30gです。この分量を摂ることで、カルシウムを660mg得ることが可能です[*1]。日本の栄養基準によれば、成人女性は一日650mg、成人男性は年齢により750mgから800mgのカルシウム摂取が推奨されています[*4]。そのため、にぼし30gはカルシウムの摂取を効果的にサポートします。しかし、乳製品や大豆製品などもカルシウムの重要な供給源であるため、これらと併用してバランスよく摂取することが大切です。